今世ではのんびりしたいのですが…無理ですか…

第三章

《弟 ４》

　三人はカフェから出て、大きな道に出た。
　不意に、セイラは顔を上げ、カルムを見つめる。

「カルム、私は姿を隠すわ。」
「ああ。」
「お姉様？」
「ソクド、またね。」

　そう言うとセイラは人込みに姿を隠す。

「お姉様っ！」

　追いかけようとするソクドをカルムが抑える。
　そして、彼らの前から、セイラの姿が見えなくなった。
　セイラは風を読み、ミラとレラの気配の他に二人の知らないものを感じ取った。

　もし、あそこでセイラと会えば確実に、その場の空気が悪くなるだろうと思ったからだ。

　それは正解だった、もし、セイラがいればこうなっていただろう。

　付添の人はきっとセイラを罵倒するう。

　ソクドはそれを聞いて胸を痛める。

　一番恐ろしいのは、カルム、ミラ、レラの三人だ。

　カルムはきっと抜刀する。

　ミラもきっと氷の刃とかを出し。

　ミラも風の刃を生み出す。

　刃傷沙汰になれば確実にこちらが不利になる。

　さらに言えば、ソクドとの約束も果たせなくなる。

　それは出来るだけ避けたかった。

　だから、セイラは身を隠す事にしたのだ。

　そうすれば、傷つく人は少なく済むから。

　だけど、彼女は分かっていなかった。

　彼女が身を隠す事で、疑問を抱いたソクドがセイラの身に起こっている事を知ってしまう事に。

　聡い、彼がそこにたどり着けることに、彼女は気づいていなかった