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第二章
《学ぶ 10》
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「カルムっ!」
「何だ?」
「これを燃やして。」
セイラは目で紙を指す。
「いいのか?」
「ええ。」
「それじゃ、行くぞ。」
カルムは指先に炎を出し、そして、それを紙に向かって投げる。
セイラはカルムの生み出した炎に向かって力を込める、
炎は金色の煌めきとともに紙に着火した。
『ほお。』
『なるほど。』
精霊王二人はセイラの行動に目を見張っていた。
『まさか、その火の加護を持ったものの火に光の力を籠めるとは。』
『互いの相性がいいからなしえた事ですね。』
「……。」
二人の言葉でセイラは自分の思い付きが間違いじゃなかった事を知りホッとする。
「セイラ様、大丈夫ですか?」
「大丈夫。」
「……。」
脱力したセイラにミラが心配そうに聞いてくる。
「ミラ、水を用意してくれる?」
「井戸に行ってまいり――。」
「ううん、ミラの力で出したものを。」
「セイラ様?」
「お願いできない?」
セイラは無茶だったかな、と思ったが、ミラは近くにあったカップに力を込める。
コポコポと水が生み出され、カップの半分くらいになると彼女は念じるのを止めた。
「このくらいでよろしいでしょうか?」
「ありがとう。」
セイラは最後の力を振り絞るように水に自分の力を込める。
うまくいったのが分かったとたん、セイラの足から力が抜ける。
「セイラっ!」
床に座り込む前にカルムがセイラを支える。
「セイラ様。」
「ミラ、その水をウノちゃんに飲ませてあげて。」
「ウノちゃんですか?」
「ベッドに眠っている子よ。」
「……分かりました。」
ミラは言われるままセイラとミラの力を宿した水を彼女に飲ませる。
こくこくと喉が動き、彼女の呼吸が落ち着き始める。
セイラはそれを見届けると、ぎりぎりまで保っていた意識を手放した。
「お疲れ、セイラ。」
優しい声音が降り、セイラは安心しながら眠りについた。
「何だ?」
「これを燃やして。」
セイラは目で紙を指す。
「いいのか?」
「ええ。」
「それじゃ、行くぞ。」
カルムは指先に炎を出し、そして、それを紙に向かって投げる。
セイラはカルムの生み出した炎に向かって力を込める、
炎は金色の煌めきとともに紙に着火した。
『ほお。』
『なるほど。』
精霊王二人はセイラの行動に目を見張っていた。
『まさか、その火の加護を持ったものの火に光の力を籠めるとは。』
『互いの相性がいいからなしえた事ですね。』
「……。」
二人の言葉でセイラは自分の思い付きが間違いじゃなかった事を知りホッとする。
「セイラ様、大丈夫ですか?」
「大丈夫。」
「……。」
脱力したセイラにミラが心配そうに聞いてくる。
「ミラ、水を用意してくれる?」
「井戸に行ってまいり――。」
「ううん、ミラの力で出したものを。」
「セイラ様?」
「お願いできない?」
セイラは無茶だったかな、と思ったが、ミラは近くにあったカップに力を込める。
コポコポと水が生み出され、カップの半分くらいになると彼女は念じるのを止めた。
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「ありがとう。」
セイラは最後の力を振り絞るように水に自分の力を込める。
うまくいったのが分かったとたん、セイラの足から力が抜ける。
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床に座り込む前にカルムがセイラを支える。
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「ウノちゃんですか?」
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「……分かりました。」
ミラは言われるままセイラとミラの力を宿した水を彼女に飲ませる。
こくこくと喉が動き、彼女の呼吸が落ち着き始める。
セイラはそれを見届けると、ぎりぎりまで保っていた意識を手放した。
「お疲れ、セイラ。」
優しい声音が降り、セイラは安心しながら眠りについた。
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