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第二章

《名前 6》

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「ところで、セイラ様。」
「何かしら?」
「お片づけは済まされたのですか?」
「あっ。」

 しまったというような顔をするセイラにミラは苦笑をする。

「どちらが終わっていないのですか?」
「レラとミラあと、カルムの部屋だけよ。」
「「……。」」
「……二人とも顔色悪いわよ?」
「ちょっと待ってください。」
「何で、主人がわたしたちの部屋を片付けようと思っているんですか。」
「だって、大掃除だもの、あまり片付けがいかないところをやるものでしょ。」
「絶対だめです。」
「そうですよ。」
「……。」

 なぜここまで二人が嫌がっているのか分からないセイラは首を傾げるほかなかった。

「分かったわ。そうね、夕飯までには時間があるから…。」
「セイラ様は精霊王様方のお名前を考えるべきです。」
「そうですっ!」

 迫力のある二人にセイラはギョッとしながら頷く。

「おー、ただいま。」
「ちょうどいいところに帰ってきたわね。」
「ええ。」
「ちょっと、カルム、来なさい。」
「あっ?」

 レラの言葉にカルムは怪訝な顔をしながらも近寄ってくる。

「何だよ。」
「セイラ様が精霊王様方のお名前を考えるのでそばにいて欲しいのです。」
「いいけど、何でそんなに必死なんだよ。」
「セイラ様がわたしたちの部屋の掃除をなさるとおっしゃったのよ。」
「ふーん。」
「何をのんきにしているのですか、貴方の部屋もなのよ。」
「いや、別に俺の部屋に何かあるわけじゃないし。」
「ああ、さっぷうけいだもんね。」
「だろ。」

 カルムの部屋を思い出したレラは納得というように腕を組み頷いている。

「それでもです。」
「へいへい、お前らは見られたらまずいものがあるから片付けられたくないんだろう。」
「違います。」
「えへへ。」

 否定するミラとごまかすように笑うレラにカルムはあきれたようにため息を零す。

「まあ、どうでもいいけど、行くんならさっさと行けよ。」
「……今回は貴方の言葉に従いますけど、今回だけですからね。」
「へいへい。」

 軽い調子のカルムにミラは眉を吊り上げるが、レラが彼女の服を引っ張れば咳ばらいを一つする。

「それでは、セイラ様少しばかり席を外しますが、何かあればお呼びください。」
「ええ。」

 セイラは頷き、カルムを見つめる。

「ごめんなさいね、何か巻き込んでしまって。」
「んな事ねぇよ。」

 カルムは椅子を引き、セイラの隣に座る。

「んで、名前決まってないのは?」
「ノームと光の方、闇の方ね。」
「ふーん。」
「色は…そうねノームは黄色系にして、光の方と闇の方は…どうしましょう…。」

 光の精霊王とノームが黄色系に思えるのだが、どうしたものかとセイラは頭を悩ます。

「取り敢えずノームを考えてから決めればいいじゃねぇ?それに光と闇は色縛りなしにするとかさ。」
「そうね、そうさしてもらうわ。」

 セイラはカルムの案に納得し、少し前に書いたノームをイメージして書いた漢字と睨みあいっこを始めた。
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