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第二章

《まるで嫁と姑》

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「……。」
「……。」
「……。」
「……。」

 呼び出しの連絡を受けて三日後、ようやくセイラとカルムは彼の実家に訪れる事が出来たのだが、何故か、セイラとルミナは対峙するように座っており、その横には居心地の悪そうな、男性陣が座っている。

「………。」
「………。」
「………。」
「………おい、ルミナ。」
「あなたは黙っていてください。」

 沈黙に耐え切れなかったカルムの父が口を開くがすぐにルミナが睨み黙らせる。

「はい……。」

 いつもは無駄に大きい体が小さくなり、セイラは気の毒に思うが、カルムは心の中でひっそりとざまあみろ、と思っていた。

「……この馬鹿が煩いから、本題に入りましょうか。」
「は、はい。」
「……。」

 ルミナの言葉にセイラは居住まいを正し、カルムはどことなく呆れたような顔をしているが、父親と違い余計な事を口にしない。

「セイラちゃん。」
「はい。」
「貴女の事を調べさせてもらったの。」
「……。」
「なっ!」

 ルミナの言葉にセイラは机の下に隠れている手を強く握り、カルムは勝手な事をした母親に怒りを覚える。

「黙って調べてごめんなさい。」
「いえ…。」
「何で。」
「カルム、貴方は黙っていなさい。」

 ルミナの言葉にカルムはぐっと言葉を飲み込むが、それでも、その眼は彼女を射抜くように睨んでいた。

「……。」
「あの二人がいなくてよかった。」

 セイラは最後までここに来ることをごね、そして、一緒に行くと言う双子の姉妹を思い出し、安堵の溜息を吐く。

「セイラ?」

 カルムはセイラの呟きのような言葉は聞き取れなかったのか不思議そうな顔をするが、セイラは説明する気がないのか首を横に振った。

「……。」

 カルムは釈然としないの顔を顰めているが、彼女に問い詰める気はないのかぐっとこらえている。

「……それで、何かありましたか?」
「……。」

 セイラがそう問えば、彼女は顔を顰めている。
 セイラは自分が何か仕出かしてしまったのかと慌てるが、よく見ればルミナの怒りはセイラには向けられていなかった。
 セイラはジッとルミナを見つめ、彼女の怒りの矛先を探る。

「……。」

 セイラはジッと見つめ、頭を働かせるが、分からなかった。

「…………ごめんなさいね。」

 ルミナはセイラの顔、カルムの顔を見て、眉を下げて謝った。

「いえ、何もされていませんし、言われていませんよ?」
「……。」

 セイラの言葉にルミナは悲しげに顔を歪める。

「……なあ、何で調べたんだ?」

 棘のある言葉にセイラはハッとなり、ルミナは苦笑する。

「カルム…。」
「いいのよ、この子はそう言う血を継いでいるから。」

 窘めるように言うセイラにルミナは諦めたように言った。

「セイラちゃん、貴方の出自は知っている?」
「……。」

 ルミナの言葉にセイラは本当は知っていたが、ここは敢えて首を振る。
 一方、セイラが首を横に分かっていたのかルミナは組んだ手を額に押し付ける。

「そう…、なら何で貴女の命が狙われているのは?」
「私の両親がある程度の地位、または権力……財力を持っていて、私が生きていては不都合を生じるから。」
「……。」

 正解だったのかルミナは悲しげに顔を歪ませた。
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