ダークネス・ゲーム

弥生 桜香

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第七章

第七章「金曜日・ラストゲーム」46

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 友梨と昌獅は問題の階にたどり着き、そこに鎖と手錠がないことに気づき、ホッとしていた。

「えっと、今度はちゃんと問題なんだ。」
「「壁に描かれている花の花ことばを一つ答えよ」か。」
「結構普通だね。」
「壁に描かれている花って…。」
「ひまわりだよ。」
「何で、ひまわりなんだ?」
「ひまわりは英語だとサンフラワー、「太陽の花」だよ。」
「お前、もう少しまともな発音をしろよ。」
「うるさい。」

 昌獅の突っ込みに友梨は頬を膨らませる。

「どうしようかな、私が知っているのは一つだけど。」
「それでいいじゃねぇ、俺は知らん。」
「いっそ清々しいね。」
「そうか?」

 友梨は苦笑しながら書く。

「私はあなただけを見つめる?」
「うん、ひまわりの花って太陽の方に花を向けるの、そこから、ついた花言葉なんだよ。」
「……誰かに言われたいのか?」
「まさか、ただ、素敵だな、と思っただけ。」
「………。」
「自分を見てくれる人ってそうそういないから、素敵だな、と思ったのよね。」
「…友梨。」
「さて、扉も開いたみたい、行こう。」

 さっさと歩き出そうとする腕を昌獅は引き留める。

「見ててやるよ。」
「えっ?」
「お前は危なっかしいからな、だから、ちゃんとお前を見てやるよ。」
「…ちょっと、そういう意味じゃないんだけど。」

 昌獅の言葉に友梨は若干不服そうな顔をするが、昌獅はそれを無視して、彼女の手を握る。

「んじゃ、あと少しだ、行こう。」
「もう、さっき私が言いました。」

 友梨はどこか呆れた顔をしながら昌獅の手を握り返す。


「太陽」のカードの正位置 成功、誕生、祝福、約束された未来。

逆位置 不調、落胆、衰退、堕胎、流産。


 どこか不調だった少女は彼の陰で持ち直すことに成功した。

 ゲームの終わりまであと少し――。
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