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第十二章
第十二章「中学三年」1
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中学最後の年。
涼也は張り出されたクラス分けの紙を見て何とも言えない顔をする。
まず、京也とはクラスは離れている。
当然だろう、双子が同じクラスになる事は少ないだろう、たとえ苗字が変わっていてもそれは変わらないだろう。
もう一つ、何故か涼也と樹、碧たちもクラスが離れており、涼也のクラスだといつもつるんでいる人が一人もいなかった。
「……。」
前の時は確か碧が同じクラスだったような気がした涼也だったが、それでも、だいぶと前の記憶だったので確信はなかった。
「一年どうなるんだろうな?」
苦い表情をして涼也は割り当てられた教室に向かった。
「おーい、涼也。」
「ん、ああ、碧、はよ。」
「はよ、なー、クラス分け見たか?」
「見たから移動しているに決まっているだろう?」
「それもそうだな。」
「隣のクラスだし、体育は合同だろう?」
「多分そうだと思う、それにしても、まさか、涼也と離れるなんてな。」
「あー、小学校三年からずっと同じクラスだっけか?」
「そうそう、てっきり最後まで同じクラスだと思ってた。」
「確かに、根拠もないけどそう思ってしまってた。」
「だよなー。」
碧は笑っているが、でも、その笑みはいつものような笑みではなくどこか陰りを見せていた。
「碧?」
「何だよ。」
「お前さ、あいつには言わないのかよ。」
「何がだよ?」
その笑みは何かを隠す笑みだった。
涼也はこれ以上彼の心に踏み入れるのはよくないと思って頭を振る。
「何でもねぇよ。」
「変な涼也。」
「変なのはお前だろう。」
「何だと。」
「教室過ぎたぞ。」
「えっ?」
碧は足を止め、振り返ると彼のクラスの番号がそこにあった。
「マジか。」
「マジだよ。」
「うわー、涼也サンキュー。」
「別にいいけどさ、同じクラスじゃないんだからしっかりしろよ。」
「わーってるよ。」
「だったら、いいんだけどさ。」
涼也は最後にちらりと碧を見る。
「……。」
碧の背中は何故かいつもよりも一回り小さく涼也の目には映った。
「何抱えているんだか。」
涼也はガシガシと頭を掻き、放課後話を聞くかと踵を返す。
涼也は張り出されたクラス分けの紙を見て何とも言えない顔をする。
まず、京也とはクラスは離れている。
当然だろう、双子が同じクラスになる事は少ないだろう、たとえ苗字が変わっていてもそれは変わらないだろう。
もう一つ、何故か涼也と樹、碧たちもクラスが離れており、涼也のクラスだといつもつるんでいる人が一人もいなかった。
「……。」
前の時は確か碧が同じクラスだったような気がした涼也だったが、それでも、だいぶと前の記憶だったので確信はなかった。
「一年どうなるんだろうな?」
苦い表情をして涼也は割り当てられた教室に向かった。
「おーい、涼也。」
「ん、ああ、碧、はよ。」
「はよ、なー、クラス分け見たか?」
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「それもそうだな。」
「隣のクラスだし、体育は合同だろう?」
「多分そうだと思う、それにしても、まさか、涼也と離れるなんてな。」
「あー、小学校三年からずっと同じクラスだっけか?」
「そうそう、てっきり最後まで同じクラスだと思ってた。」
「確かに、根拠もないけどそう思ってしまってた。」
「だよなー。」
碧は笑っているが、でも、その笑みはいつものような笑みではなくどこか陰りを見せていた。
「碧?」
「何だよ。」
「お前さ、あいつには言わないのかよ。」
「何がだよ?」
その笑みは何かを隠す笑みだった。
涼也はこれ以上彼の心に踏み入れるのはよくないと思って頭を振る。
「何でもねぇよ。」
「変な涼也。」
「変なのはお前だろう。」
「何だと。」
「教室過ぎたぞ。」
「えっ?」
碧は足を止め、振り返ると彼のクラスの番号がそこにあった。
「マジか。」
「マジだよ。」
「うわー、涼也サンキュー。」
「別にいいけどさ、同じクラスじゃないんだからしっかりしろよ。」
「わーってるよ。」
「だったら、いいんだけどさ。」
涼也は最後にちらりと碧を見る。
「……。」
碧の背中は何故かいつもよりも一回り小さく涼也の目には映った。
「何抱えているんだか。」
涼也はガシガシと頭を掻き、放課後話を聞くかと踵を返す。
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