もう一度君と…

弥生 桜香

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第十一章

第十一章「ホワイトデー」10

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 昨日三時間かけて碧のホワイトデー企画が無事に完了した。

「つーかーれーたー。」
「お疲れ様。」
「頑張ったね。」
「はい、ココア。」
「ありがと…って、これつめてー。」
「しょうがないじゃない、買ってきたけど渡す暇がなかったんだから。」
「……。」
「文句があるんなら飲まなくてもいいけど?」
「いや、飲む、飲む。」

 碧は奪われないように大事に抱えこむ。

「えーと、後どうする?」
「こいつのプレゼントの中身の選別。」
「えー、何でだよ。」
「あんたね、あんたが男だと分かっていてもこんなけ持ってくる奴らがいるのよ?」
「まともならいいけど、万が一変なものが混じってたらどうするの?」
「変なもん?」
「盗聴器。」
「小型カメラ。」
「媚薬。」
「睡眠薬。」
「変な物を混入されたり。」
「………。」

 さらさらと上げていく女子たちに碧は絶句する。

「だから、わたしたちが精査してあげる。」
「時間がかかるから一週間ほどね。」
「あっ、食べ物系は早めにやっておくから。」
「小さな子たちにでもあげればいいよ。」
「えっと、ありがとう。」
「そんじゃ、化粧落として帰ろっか。」
「だね。」
「いや、自分でやるし。」
「だーめ。」
「あんたの事だから適当に顔を洗って、はい、終わりとかかしそうだしね。」
「ちゃんとクレンジングで落とさないと。」
「化粧水も忘れずにね。」
「保湿クリームも。」
「後どうする?」
「本当ならちゃんとしたいけど。」

 まるでシャワーを嫌がる猫のように碧は警戒していた。

「これじゃ、駄目ね。」
「だよね。」
「二人でやればいいよね。」
「残りはこっちの片付け。」
「オッケー。」
「そんじゃ、行こう。」
「いーやーだ。」
「じゃ、そのまま帰るの?」
「……。」
「嫌だったら、ほら。」

 ずるずると碧を女子二人が引っ張る。
 そして、化粧を落とし、片付けもあらかたを済ませると、固まって帰宅した。
 女子たちが分かるのはここまでだった。
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