もう一度君と…

第十一章

第十一章「ホワイトデー」５

　雫は何とか今日外出許可を取り、雪美にホワイトデーのプレゼントを渡そうと考えていた。
　そして、彼女の学校の前で待ち構えていると。

「何であんたがここにいるのよっ！」

　顔を真っ赤にして怒鳴る雪美が彼を睨んだ。

「雪美、話が。」
「わたしにはない、じゃあ。」

　去ろうとする雪美の手を掴むが、彼女は振り払う。
　否、振り払おうとするが、彼の力の方が強くて振り払えなかった。

「離してよ。」
「やだ、話を聞け。」
「いい加減にしてよね。」
「いい加減にするのはそっちだろう。」
「……。」
「雪美。」
「離して、離してよっ！」

　大げさに騒ぎ出す、雪美に雫は固まる。

「何々？」
「あれって、雪美。」
「えっ、あれ、まずくない、先生呼ばないと。」
「箒持ってきて。」
「薙刀じゃだめ？」
「……。」

　ニヤリと口角を上げる雪美に雫はあっけにとられる。

「お前。」

　雫がひるんでいる内に雪美は彼から逃げ出し、そして、涼也の家まで逃げてきたのだった。