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第七章
第七章「ハロウィン」15
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「さーて、皆、お兄さん、お姉さんが用意してくださったお菓子があるから並びなさーい。」
「「「「はーい。」」」」
進行役のクラスメートの合図によって、お菓子を用意している人たちはそれぞれ自分のお菓子を持って二人一組になって子どもたちを待つ。
「とりっく、おあ、とりーと。」
舌足らずな子どもに涼也は手作りのパンプキンパイを手渡す。
「うわ、おいしそう。」
「本当よね。」
「……。」
涼也は隣で金平糖を渡す従姉にジトリと視線を向ける。
「何よ。」
「俺からもらう気満々だろう?」
「当たり前よ。」
「だよな。」
「そうじゃなければリクエストなんてしないわよ。」
「だよなー。」
ガクリと肩を落としながら涼也は大目に作っておいて正解だったと心中で呟いたのだった。
そして、まるで作業のようにお菓子を配っていると、最後の一人がやってくる。
「トリックオアトリート。」
「はい。」
「どうぞ。」
「ありがとう、お兄ちゃん、お姉ちゃん。」
「いいわね。」
「ああ。」
中にがクソガキがいて何度涼也や雪美の堪忍袋の緒が切れそうになったことやら。
実際、涼也のクラスメートの中にはブチ切れた人もいて、退場させられていた。
因みに暴言を吐いた子どもは藍妃によってお説教を受けていた。
「んー、涼ちゃーん。」
「はいはい。」
無邪気に手を出しだす雪美に涼也は呆れながらも比較的大きめに切っているパンプキンパイを差し出す。
「ありがとう、お返しに。」
雪美はお返しとばかりにキャンディを涼也に手渡す。
「はいはい。」
涼也は苦笑しながらそれを見ると固まる。
「ハバネロ味?」
「変わってるでしょ?」
「……。」
涼也だってある程度は辛いものは平気だ。平気だが。
「この髑髏マークに真っ赤な字に注意と書かれているんだけど。」
「大丈夫、大丈夫。」
ニコニコと笑っている雪美に涼也は恨みがましそうに彼女を睨む。
「酷い従姉だ。」
「あら、このパンプキンパイ美味しい。」
「……。」
あからさまに誤魔化す雪美に涼也は溜息を零す。
「調味料代わりに使えないかな。」
「どうなんだろうね。」
「……。」
涼也は溜息を零し、ポケットにそれを突っ込む。
「おーい、涼也、こっちに余った菓子持って来いよ。」
「りょーかーい。」
涼也は余った菓子を持って呼ばれた方に向かう。
こうして、ドタバタなハロウィンが終わった。
「「「「はーい。」」」」
進行役のクラスメートの合図によって、お菓子を用意している人たちはそれぞれ自分のお菓子を持って二人一組になって子どもたちを待つ。
「とりっく、おあ、とりーと。」
舌足らずな子どもに涼也は手作りのパンプキンパイを手渡す。
「うわ、おいしそう。」
「本当よね。」
「……。」
涼也は隣で金平糖を渡す従姉にジトリと視線を向ける。
「何よ。」
「俺からもらう気満々だろう?」
「当たり前よ。」
「だよな。」
「そうじゃなければリクエストなんてしないわよ。」
「だよなー。」
ガクリと肩を落としながら涼也は大目に作っておいて正解だったと心中で呟いたのだった。
そして、まるで作業のようにお菓子を配っていると、最後の一人がやってくる。
「トリックオアトリート。」
「はい。」
「どうぞ。」
「ありがとう、お兄ちゃん、お姉ちゃん。」
「いいわね。」
「ああ。」
中にがクソガキがいて何度涼也や雪美の堪忍袋の緒が切れそうになったことやら。
実際、涼也のクラスメートの中にはブチ切れた人もいて、退場させられていた。
因みに暴言を吐いた子どもは藍妃によってお説教を受けていた。
「んー、涼ちゃーん。」
「はいはい。」
無邪気に手を出しだす雪美に涼也は呆れながらも比較的大きめに切っているパンプキンパイを差し出す。
「ありがとう、お返しに。」
雪美はお返しとばかりにキャンディを涼也に手渡す。
「はいはい。」
涼也は苦笑しながらそれを見ると固まる。
「ハバネロ味?」
「変わってるでしょ?」
「……。」
涼也だってある程度は辛いものは平気だ。平気だが。
「この髑髏マークに真っ赤な字に注意と書かれているんだけど。」
「大丈夫、大丈夫。」
ニコニコと笑っている雪美に涼也は恨みがましそうに彼女を睨む。
「酷い従姉だ。」
「あら、このパンプキンパイ美味しい。」
「……。」
あからさまに誤魔化す雪美に涼也は溜息を零す。
「調味料代わりに使えないかな。」
「どうなんだろうね。」
「……。」
涼也は溜息を零し、ポケットにそれを突っ込む。
「おーい、涼也、こっちに余った菓子持って来いよ。」
「りょーかーい。」
涼也は余った菓子を持って呼ばれた方に向かう。
こうして、ドタバタなハロウィンが終わった。
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