82 / 162
第六章
第六章「体育祭」6
しおりを挟む
「涼也すげーじゃん。」
「やったなっ!」
スウェーデンリレーを制したのは涼也のクラスだった。
戻って来た涼也はクラスメートにもまれながらも涼也を湛える言葉を甘受する。
「やったな!」
「これで、おれたちの勝利に一歩近づいた。」
「おい、次の種目の奴呼ばれているぞ。」
「やべ、おれじゃん。」
「本城が頑張ったんだから負けるなよ。」
「おう。」
「分かっているわよ。」
「任せてよね。」
次々と次の種目の生徒が離れ行き、涼也は周りが落ち着きだしようやく自分の椅子に座る。
「お疲れさん。」
「あっ、サンキュー。」
碧がスポーツドリンクを手渡してきたので、ありがたく涼也は受け取る。
「それにしても、すげーな、涼也。」
「そうか?」
「ああ、結構差あっただろう?」
「まあな。」
「マジ燃えたよ。」
「ん~、でも、お前だったらもっとさっさと抜かせたんじゃねぇか?」
「どうだろうな?」
首を傾げる碧は後ろに立つ人物に気づかず背伸びをする。
「おい、碧。」
「へ?」
危うく後ろの人物に碧の手が当たりそうになるが、幸いにもぶつかる前にその人物は後ろに一歩下がって回避していた。
「危ないじゃねぇか。」
「げっ…樹。」
「何が、げっ、だ。」
「ははは…。」
助けを求めるように碧は涼也を見るが、涼也は巻き込まれたくないとばかりに無視して碧からもらったスポーツ飲料を飲む。
「お前な、注意散漫じゃねぇか。」
「そ、そうか?」
「そうじゃなきゃ、オレにぶつからないだろうが。」
「えへへ。」
誤魔化すように笑う碧に樹は目を眇める。
「笑って誤魔化すなよ。」
「ふぁい……。」
逃げられないと悟ったのか碧は大人しくなる。
「お前はいつもいつも注意力が足らないだろう。」
「……。」
「だからお前は……。」
樹の説教が始まり涼也はどう助け出したらいいのかと思っていたのだが、すぐに、涼也ではなく第三者からの救いの手が入る。
『二人三脚に参加の選手は入場問まで集まってください。』
「……。」
涼也は、これは救いの手だろうかと、一人首を捻る。
「な、なあ、樹。」
「……。」
「呼ばれたから行こうぜ?」
「……。」
ムッとしている樹に碧はどうしたものかと珍しく頭を悩ませている。
「なぁ……。」
弱弱しい声音に樹は眉間に皺を寄せたかと思ったら溜息を零す。
「分かったよ…。」
「んじゃ、涼也、俺ら行ってくるから。」
「ああ、勝てよ。」
「当然っ!」
ガッツポーズをする碧に樹はいつものように無表情でそのまま入場問まで向かう。
「やったなっ!」
スウェーデンリレーを制したのは涼也のクラスだった。
戻って来た涼也はクラスメートにもまれながらも涼也を湛える言葉を甘受する。
「やったな!」
「これで、おれたちの勝利に一歩近づいた。」
「おい、次の種目の奴呼ばれているぞ。」
「やべ、おれじゃん。」
「本城が頑張ったんだから負けるなよ。」
「おう。」
「分かっているわよ。」
「任せてよね。」
次々と次の種目の生徒が離れ行き、涼也は周りが落ち着きだしようやく自分の椅子に座る。
「お疲れさん。」
「あっ、サンキュー。」
碧がスポーツドリンクを手渡してきたので、ありがたく涼也は受け取る。
「それにしても、すげーな、涼也。」
「そうか?」
「ああ、結構差あっただろう?」
「まあな。」
「マジ燃えたよ。」
「ん~、でも、お前だったらもっとさっさと抜かせたんじゃねぇか?」
「どうだろうな?」
首を傾げる碧は後ろに立つ人物に気づかず背伸びをする。
「おい、碧。」
「へ?」
危うく後ろの人物に碧の手が当たりそうになるが、幸いにもぶつかる前にその人物は後ろに一歩下がって回避していた。
「危ないじゃねぇか。」
「げっ…樹。」
「何が、げっ、だ。」
「ははは…。」
助けを求めるように碧は涼也を見るが、涼也は巻き込まれたくないとばかりに無視して碧からもらったスポーツ飲料を飲む。
「お前な、注意散漫じゃねぇか。」
「そ、そうか?」
「そうじゃなきゃ、オレにぶつからないだろうが。」
「えへへ。」
誤魔化すように笑う碧に樹は目を眇める。
「笑って誤魔化すなよ。」
「ふぁい……。」
逃げられないと悟ったのか碧は大人しくなる。
「お前はいつもいつも注意力が足らないだろう。」
「……。」
「だからお前は……。」
樹の説教が始まり涼也はどう助け出したらいいのかと思っていたのだが、すぐに、涼也ではなく第三者からの救いの手が入る。
『二人三脚に参加の選手は入場問まで集まってください。』
「……。」
涼也は、これは救いの手だろうかと、一人首を捻る。
「な、なあ、樹。」
「……。」
「呼ばれたから行こうぜ?」
「……。」
ムッとしている樹に碧はどうしたものかと珍しく頭を悩ませている。
「なぁ……。」
弱弱しい声音に樹は眉間に皺を寄せたかと思ったら溜息を零す。
「分かったよ…。」
「んじゃ、涼也、俺ら行ってくるから。」
「ああ、勝てよ。」
「当然っ!」
ガッツポーズをする碧に樹はいつものように無表情でそのまま入場問まで向かう。
0
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
もう一度、貴方に出会えたなら。今度こそ、共に生きてもらえませんか。
天海みつき
BL
何気なく母が買ってきた、安物のペットボトルの紅茶。何故か湧き上がる嫌悪感に疑問を持ちつつもグラスに注がれる琥珀色の液体を眺め、安っぽい香りに違和感を覚えて、それでも抑えきれない好奇心に負けて口に含んで人工的な甘みを感じた瞬間。大量に流れ込んできた、人ひとり分の短くも壮絶な人生の記憶に押しつぶされて意識を失うなんて、思いもしなかった――。
自作「貴方の事を心から愛していました。ありがとう。」のIFストーリー、もしも二人が生まれ変わったらという設定。平和になった世界で、戸惑う僕と、それでも僕を求める彼の出会いから手を取り合うまでの穏やかなお話。
陛下の前で婚約破棄!………でも実は……(笑)
ミクリ21
BL
陛下を祝う誕生パーティーにて。
僕の婚約者のセレンが、僕に婚約破棄だと言い出した。
隣には、婚約者の僕ではなく元平民少女のアイルがいる。
僕を断罪するセレンに、僕は涙を流す。
でも、実はこれには訳がある。
知らないのは、アイルだけ………。
さぁ、楽しい楽しい劇の始まりさ〜♪
真冬の痛悔
白鳩 唯斗
BL
闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。
ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。
主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。
むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる