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第二章 失はれし思ひ出
024.再接触
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何においても国際化が盛んになってきた昨今、多数の問題が発生した。その中のひとつが、結婚である。
国際結婚が近年大幅に増えたことで、国内でちょっとした社会問題になったのが姓の選択であった。国籍が違えば、当然命名のルールも違う。夫婦のどちらに合わせるのか、そもそも別姓なのか、そして産まれた子供の名前はどうするのか、十数年前まで役所は大混乱していたと聞く。
そこで、国は結婚に関する法律の大改革を実施した。夫婦別姓、そして産まれた子供はどちらかの姓に合わせれば良いものとした。つまり、以前で言うところの事実婚が法律婚に繰り上げされたのだ。その文化が定着してきたのが、ここ数年の話である。
そんなわけで、周囲には国籍よりどりみどりな名前が溢れることとなった。名札を見ただけでは読めないものもあり、自己紹介は以前にも増して重要視されるようになったのだ。
まず、担任が「姫宮 鈴子」と名乗った。教室中央に座っていた男子がすぐさま「姫リンゴちゃん」とあだ名をつけてからかった。クラスに僅かに笑いが漏れる。
「あ、じゃあ折角声かけてくれたし、あなたから自己紹介してもらおうかな!」
「うわ先生、仕返しは大人気ないって」
トップバッターかよぉ、という男子の情けない声に、クラスがさらに朗らかな空気に包まれる。言いながらガタンと椅子から立ち上がった彼に、ルーラは見覚えがあった。
(神社でサホと一緒にいた男!)
今はあの大量のピアスを外しているが、熟れた雰囲気の外ハネの茶髪を指でいじりながら教室全体を見渡す彼は、神社で本物のサホと共にいた男のひとりで間違いない。
「Zies·Carter。ジースって呼んでね。みんな、これからよろしく~」
彼、ジースは緑色の瞳をきゅっと細めて笑うと、ひらひらと手を振りながら着席した。アジア系の端正な顔立ちだったのでてっきり名前もそうかと思ったが、あまり関係なかった。ルーラは窓辺の後ろの席から拍手しつつ、トップバッターを嫌がったわりには、やはり熟れた自己紹介だなと思った。
そういえば、神社ではサホと一緒にもう一人いた。赤髪の背の高い男だったが、入学式では見かけていない。年上か、そうでなければ他校の生徒なのだろう。
初っ端から順番が崩れたために、自己紹介は思いついた人から順に進んでいく形となった。次に、音もなく優雅に立ち上がったのは、ルーラの前の席に座っていたミリアだった。
「ミリアブロッサムです。先程の表彰に留まらず、今後の学校生活でも多くの功績を残したいと思っています。これから宜しくお願いします」
教室が軽くどよめく中、先程の男子生徒、ジースが彼女に話しかけた。
「そういやさ、入学説明会のとき、あんた一人だけもう高校のブレザー着てたよね。何で?」
「…間違えて中学の制服を捨てたから」
「マジで? 案外抜けてんだね、可愛い~」
にいっと八重歯を覗かせて笑ったジースを、一瞬ミリアが睨んだように見えたのは気のせいではなかったと思う。プライドが高いのか何なのか。
そんなやり取りを挟みつつ、自己紹介は進んでいった。当然のようにルーラは出遅れ、トリを飾る羽目になってしまった。
ルーラが立ち上がると、何処からともなく「代表の人だ」と声があがった。それだけで逃げ出したい気持ちでいっぱいになったが、何とか声を出した。
「ルーラ……Lura·Felizです。…えっと、これからよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げると、クラスメイト達が温かく拍手で包んでくれた。ルーラはひとまずホッとした。
入学初日はあっという間に済んでいった。チャイムが鳴り、新入生たちはどこか浮足立った様子で帰り支度を始める。ルーラも例外なく、少ない荷物をリュックサックに纏めていた。
「ルーラ~! スピーチお疲れぃ!」
その時、明るい声とともに肩を叩かれた。見ると、そこにいたのはラヴィンであった。
「お前すげーよ! だって初めてだろあぁいうの! すっげー堂々としてたぜ」
「それなら良かった。指導者には60点って言われたけど」
「あー、ミリアだっけ? 60点ならいいじゃねえか。俺、定期テストでそれくらい取れたら、まあまあ嬉しいけど」
ちょっと低くないかと内心ルーラが思っていると、ラヴィンが眩しいまでの笑顔で言った。
「それに本番がどうだったとかよりさ、春休みにまで学校行って練習したんだろ。頑張ったんだから、そこ誇れよ」
曇りなき眼で、素直な褒め言葉をひょいと寄越してくる。お世辞などと疑う余地もなく、ルーラは何だかむず痒い思いがした。
その時、話しながら整理していたせいで、前ポケットにしまっていたスマホがごとりと転がり落ちてしまった。弾みで電源がつき、画面が光る。ふいにそれを目にしたルーラは、眉を寄せた。緑色の、メッセージアプリの通知が表示されていたのである。
ルーラのスマホはあの日、ポケットに入れたまま転んだり、炎に包まれたりしたせいですっかり壊れてしまったものだと思っていた。しかし、損傷が酷かったのは液晶だけで、結局修理で済んだのだ。だからデータもそのままなのだが。
(それでも、誰からだ…?)
登録している連絡先は、相変わらず家族のみだ。学校にいる間はマナーモードにしてしまうのを彼らが知らないはずはない。怪訝に思い、ルーラは初めてスマホのメッセージを読んだ。
「………………………えっ」
「ん、どした? ルーラ」
「…………………」
「おーいルーラ、大丈夫か? 一緒に帰りたいんだけど」
「あっいやっ何でもない。けどちょっと待って、用事思い出した」
「…? ん、わかった」
ルーラはスマホを持って、逃げ出すように教室を離れた。駆け込んだのは、スピーチのスパルタ指導にも使われた空き教室である。この目新しい校舎において、知っている「人気のない場所」がここしかなかった。
ルーラは息を深く吐き出して、再び恐る恐る画面に目を落とす。
『こないだは通話切っちゃってごめんね。また話せない?』
____「saho❖」からのメッセージだった。2時間前に来ていたようである。
勿論、本物からではない。あの日、神社でルーラに接触してきた、偽サホから連絡が来たのだ。
「ま、じか………」
連絡先を交換していたのを、すっかり忘れていた。コンタクトを取るのは諦めていたが、まさか向こうから来るなんて。奴に、どうしても聞きたいことがあった。
ラヴィンの魔法を暴走させたのはお前か、と。
ルーラはスマホを睨んだまま固まってしまった。
得体が知れない人物なのは間違いない。今思えば怪しすぎるサークルへ勧誘してきた前科がある。こうして連絡してきたということは、また勧誘するつもりでいるのかもしれない。魔法が使えないルーラを。しかし、ラヴィンを放火魔に変えたのが奴ならば、一言もの申したい。ふざけんなと。
(…そういえば)
ルーラはふと、勧誘の内容を思いだした。
『魔法の代わりかそれ以上に効果をもたらす、新しい力を授けてくださるの』
至極当然な思考の成り行きである。
その新しい力とは、魔導のことなのでは。
(だとすると、あの巫女さんもアイツの仲間? あれ、じゃあまだ加入もしてない俺が使えてるの、おかしくない? というか、御守りくれたヤゲンさんは何?)
木魚の幻聴がした。何も分からない中、予測だけで一人で考えて何になる。
「ひとりで何をしているの?」
背後に凛とした声がかかったのは、丁度ルーラが意を決し画面に指を滑らせたときだった。
咄嗟にスマホを背中に隠して振り向くと、あの少女、ミリアが、教室の出入り口を塞ぐように立っていた。
国際結婚が近年大幅に増えたことで、国内でちょっとした社会問題になったのが姓の選択であった。国籍が違えば、当然命名のルールも違う。夫婦のどちらに合わせるのか、そもそも別姓なのか、そして産まれた子供の名前はどうするのか、十数年前まで役所は大混乱していたと聞く。
そこで、国は結婚に関する法律の大改革を実施した。夫婦別姓、そして産まれた子供はどちらかの姓に合わせれば良いものとした。つまり、以前で言うところの事実婚が法律婚に繰り上げされたのだ。その文化が定着してきたのが、ここ数年の話である。
そんなわけで、周囲には国籍よりどりみどりな名前が溢れることとなった。名札を見ただけでは読めないものもあり、自己紹介は以前にも増して重要視されるようになったのだ。
まず、担任が「姫宮 鈴子」と名乗った。教室中央に座っていた男子がすぐさま「姫リンゴちゃん」とあだ名をつけてからかった。クラスに僅かに笑いが漏れる。
「あ、じゃあ折角声かけてくれたし、あなたから自己紹介してもらおうかな!」
「うわ先生、仕返しは大人気ないって」
トップバッターかよぉ、という男子の情けない声に、クラスがさらに朗らかな空気に包まれる。言いながらガタンと椅子から立ち上がった彼に、ルーラは見覚えがあった。
(神社でサホと一緒にいた男!)
今はあの大量のピアスを外しているが、熟れた雰囲気の外ハネの茶髪を指でいじりながら教室全体を見渡す彼は、神社で本物のサホと共にいた男のひとりで間違いない。
「Zies·Carter。ジースって呼んでね。みんな、これからよろしく~」
彼、ジースは緑色の瞳をきゅっと細めて笑うと、ひらひらと手を振りながら着席した。アジア系の端正な顔立ちだったのでてっきり名前もそうかと思ったが、あまり関係なかった。ルーラは窓辺の後ろの席から拍手しつつ、トップバッターを嫌がったわりには、やはり熟れた自己紹介だなと思った。
そういえば、神社ではサホと一緒にもう一人いた。赤髪の背の高い男だったが、入学式では見かけていない。年上か、そうでなければ他校の生徒なのだろう。
初っ端から順番が崩れたために、自己紹介は思いついた人から順に進んでいく形となった。次に、音もなく優雅に立ち上がったのは、ルーラの前の席に座っていたミリアだった。
「ミリアブロッサムです。先程の表彰に留まらず、今後の学校生活でも多くの功績を残したいと思っています。これから宜しくお願いします」
教室が軽くどよめく中、先程の男子生徒、ジースが彼女に話しかけた。
「そういやさ、入学説明会のとき、あんた一人だけもう高校のブレザー着てたよね。何で?」
「…間違えて中学の制服を捨てたから」
「マジで? 案外抜けてんだね、可愛い~」
にいっと八重歯を覗かせて笑ったジースを、一瞬ミリアが睨んだように見えたのは気のせいではなかったと思う。プライドが高いのか何なのか。
そんなやり取りを挟みつつ、自己紹介は進んでいった。当然のようにルーラは出遅れ、トリを飾る羽目になってしまった。
ルーラが立ち上がると、何処からともなく「代表の人だ」と声があがった。それだけで逃げ出したい気持ちでいっぱいになったが、何とか声を出した。
「ルーラ……Lura·Felizです。…えっと、これからよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げると、クラスメイト達が温かく拍手で包んでくれた。ルーラはひとまずホッとした。
入学初日はあっという間に済んでいった。チャイムが鳴り、新入生たちはどこか浮足立った様子で帰り支度を始める。ルーラも例外なく、少ない荷物をリュックサックに纏めていた。
「ルーラ~! スピーチお疲れぃ!」
その時、明るい声とともに肩を叩かれた。見ると、そこにいたのはラヴィンであった。
「お前すげーよ! だって初めてだろあぁいうの! すっげー堂々としてたぜ」
「それなら良かった。指導者には60点って言われたけど」
「あー、ミリアだっけ? 60点ならいいじゃねえか。俺、定期テストでそれくらい取れたら、まあまあ嬉しいけど」
ちょっと低くないかと内心ルーラが思っていると、ラヴィンが眩しいまでの笑顔で言った。
「それに本番がどうだったとかよりさ、春休みにまで学校行って練習したんだろ。頑張ったんだから、そこ誇れよ」
曇りなき眼で、素直な褒め言葉をひょいと寄越してくる。お世辞などと疑う余地もなく、ルーラは何だかむず痒い思いがした。
その時、話しながら整理していたせいで、前ポケットにしまっていたスマホがごとりと転がり落ちてしまった。弾みで電源がつき、画面が光る。ふいにそれを目にしたルーラは、眉を寄せた。緑色の、メッセージアプリの通知が表示されていたのである。
ルーラのスマホはあの日、ポケットに入れたまま転んだり、炎に包まれたりしたせいですっかり壊れてしまったものだと思っていた。しかし、損傷が酷かったのは液晶だけで、結局修理で済んだのだ。だからデータもそのままなのだが。
(それでも、誰からだ…?)
登録している連絡先は、相変わらず家族のみだ。学校にいる間はマナーモードにしてしまうのを彼らが知らないはずはない。怪訝に思い、ルーラは初めてスマホのメッセージを読んだ。
「………………………えっ」
「ん、どした? ルーラ」
「…………………」
「おーいルーラ、大丈夫か? 一緒に帰りたいんだけど」
「あっいやっ何でもない。けどちょっと待って、用事思い出した」
「…? ん、わかった」
ルーラはスマホを持って、逃げ出すように教室を離れた。駆け込んだのは、スピーチのスパルタ指導にも使われた空き教室である。この目新しい校舎において、知っている「人気のない場所」がここしかなかった。
ルーラは息を深く吐き出して、再び恐る恐る画面に目を落とす。
『こないだは通話切っちゃってごめんね。また話せない?』
____「saho❖」からのメッセージだった。2時間前に来ていたようである。
勿論、本物からではない。あの日、神社でルーラに接触してきた、偽サホから連絡が来たのだ。
「ま、じか………」
連絡先を交換していたのを、すっかり忘れていた。コンタクトを取るのは諦めていたが、まさか向こうから来るなんて。奴に、どうしても聞きたいことがあった。
ラヴィンの魔法を暴走させたのはお前か、と。
ルーラはスマホを睨んだまま固まってしまった。
得体が知れない人物なのは間違いない。今思えば怪しすぎるサークルへ勧誘してきた前科がある。こうして連絡してきたということは、また勧誘するつもりでいるのかもしれない。魔法が使えないルーラを。しかし、ラヴィンを放火魔に変えたのが奴ならば、一言もの申したい。ふざけんなと。
(…そういえば)
ルーラはふと、勧誘の内容を思いだした。
『魔法の代わりかそれ以上に効果をもたらす、新しい力を授けてくださるの』
至極当然な思考の成り行きである。
その新しい力とは、魔導のことなのでは。
(だとすると、あの巫女さんもアイツの仲間? あれ、じゃあまだ加入もしてない俺が使えてるの、おかしくない? というか、御守りくれたヤゲンさんは何?)
木魚の幻聴がした。何も分からない中、予測だけで一人で考えて何になる。
「ひとりで何をしているの?」
背後に凛とした声がかかったのは、丁度ルーラが意を決し画面に指を滑らせたときだった。
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