アナスタシス・フルム

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第4章 得たものとモノ

武器屋の店主

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見覚えのある店。今俺たちは武器を買った店に来ていた


「最初はここからだな」


「はあ、どうしようかしら」


ディタは、何にしたいのかまだ決まっていないみたい。頭を抱えているのになんだか楽しそうだ。それを尻目に俺は店のなかに入る


「こんにちは」



「ん?ああ、あの時のあんちゃんたち、いらっしゃい」


「へ?俺一回しかここに来てないのになんで覚えてるの?」


「当り前さ、この店に来てくれた人は全員覚えてるさぁ。・・・て言いたいところだけど、残念ながら違う。まあ、なるべく覚えるようにはしてるけどね。そのなかの二人、特にあんちゃんたちは覚えやすかったさぁ」


「どういうところが?」


怖いもの見たさに聞いてしまった。なんとなくわかってはいるが


「そりゃあ、あんなに楽しそうに選んでいたらさぁ。笑いをこらえるのに大変だったさぁ」


「すみません」


予想通りだった。考えてみれば、他の客がいないのをいいことにはしゃいでいた気がする。そう思うと、体中の血液が顔に集まってくるみたいだった


「はははっ、謝る必要はないさ。・・・それより今日はどうしたん?もしかして選んだ武器合わなかったとか?」


「違う、違う。これは最高に使いやすいよ。俺に合ってるみたい」



「そりゃよかったさ。・・・それじゃあ、なんで?」


「これなんだけど、加工できたりする?」


俺はフロワストーンをカバンから出し、武器屋のお兄さんに渡す


「何だいこの丸っこい石は?・・・ってなんじゃこりゃ、急にさむくなってきたさ」


お兄さんはフロワストーンを持った瞬間ブルブルと身体を震わしていた


「なんじゃこりゃ、寒くて適わん」


そして、奥からのそのそと何かやってくる。その姿はあいつを想像させるような見た目をしていた。鋭い爪、尖った牙。ただ、あいつとは何か違うものが感じられた。何か暑苦しいものを感じられる


「あー、そのフロワストーンって言って、触ると体が冷えるんだ」


「そうなのか。びっくりしたさぁ、こんなものがある何て知らなかったさ。・・・で、これをどうしたいのさ?」


「加工とかできる?」


お兄さんが頭を抱えていた。もしかして、難しいのか?


「難しいですか?」


ディタもお兄さんの姿を見て、俺と同じことを思ったらしい


「うーん。初めて見たからさ、どうとも言えないんださ・・・ちょっと待っててくれるかさ?」


「あ、はい」


返事をするとお兄さんは店の奥へと入っていった。そしてしばらくして聞こえてくる声と音。“おいさぁぁ”という言葉とは裏腹に力強い声が聞こえ、その直後キンッという金属同士がぶつかる時の音がした。たまに、ズドンっと鈍い音がするが



「だ、大丈夫か?」
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