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第3章 祭壇の謎
風を送るやつだよ
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声の聞こえたほうに視線をやるとそこにはディタがいた。どうやらディタの方からこっちに来てくれたようだ。
「ロガ、無理に外そうとしない。足もげるわよ。」
「怖いこと言うなよ。でも、ありがとう。助かった。ファイア」
「お礼はあと。これをどうにかしないと。」
そう、ジャリドから放たれた冷気の波はまだ続いているのだ。それどころか、辺りの水分を氷に変え、その氷が飛んで来ているのだ。パン、パンと弾ける音が鳴り響いている。それに、ディタの魔法では直撃は防げても冷気に冷やされた周りの空気までは防げない。このままでは全員凍え死んでしまう。
「っていうか、どんだけ息続くんだよ。化け物か。」
「そうよ、化け物よ。そんなことより、ロガも何か考えてよ。」
そうは言っても、寒さで頭が回転しない。まあ、もともとたいして回転する頭はないのだが。・・・まずい、ネガティブになってしまっている。うーん、何か、何かないか。
「ううう、余計寒くなっているような。なんかディタの魔法、あれ見たい、ほらなんだっけ、前にロガが呼んでいた本に載っていたような、羽みたいなのがグルグル回って風送るやつ。何だっけ、ロガ?」
「レクス、今それどころじゃ・・・そうか。いや、でも。そううまくいくか。」
「何?ブツブツ呟いて。何か思いついたなら早くやりなさいよ。今は試すしかないでしょ。」
「そうだな。でも、これだけは言っとく。信じてるからな、ディタ。」
「なっ⁉何よ、急に。」
ディタの言葉を無視し、魔法を放つ。何度も何度も、ディタの魔法に向けて。
「ファイア、ファイア、ファイア、ファイア‼」
ディタは何も言わずに見守ってくれる。驚いて言葉が出ないだけかもしれないけどな。
「極めつけだ‼フレイムソード‼」
ディタの魔法が蒸発しきってしまわないよう調節する。水が沸騰するイメージで。
「そういうこと。やるならやるって、いいなさいよね。少し考えちゃったじゃない。それより、手加減しなくてもいいわよ。それともさっきの言葉は嘘なの?」
「いや、嘘じゃない。」
俺は火力をあげる。さっきジャリドに放ったみたく。いや、それ以上に。ディタに負けたくない一心で。
「おりゃああああああ‼」
辺りが暖かくなっていく。そして徐々に蒸しかえるような暑さに、焼けるような熱さへと変わっていく。汗が滝のように流れてくる。勝ち負けではないことはわかってはいるが、目の前の光景に悔しい気持ちになる。
「はあ、はあ。まだ足りないか?」
目の前が見えないため、ジャリドの様子が見られない。冷気もなくなっている気がするけど、確信が得られない。
「わからないわ。それより、今度は熱さにやられそう。」
俺もディタも限界だった。何とかしなければ。自分たちの策でやられるわけにはいかない。
「ええい、なるようになるさ。とおっ‼」
「ちょ、ロガ!?」
俺はディタの魔法の範囲外へと飛び出た。ジャリドの攻撃で凍えてしまうかもしれなかったが。申し訳程度に魔法を添えて。
「ロガ、無理に外そうとしない。足もげるわよ。」
「怖いこと言うなよ。でも、ありがとう。助かった。ファイア」
「お礼はあと。これをどうにかしないと。」
そう、ジャリドから放たれた冷気の波はまだ続いているのだ。それどころか、辺りの水分を氷に変え、その氷が飛んで来ているのだ。パン、パンと弾ける音が鳴り響いている。それに、ディタの魔法では直撃は防げても冷気に冷やされた周りの空気までは防げない。このままでは全員凍え死んでしまう。
「っていうか、どんだけ息続くんだよ。化け物か。」
「そうよ、化け物よ。そんなことより、ロガも何か考えてよ。」
そうは言っても、寒さで頭が回転しない。まあ、もともとたいして回転する頭はないのだが。・・・まずい、ネガティブになってしまっている。うーん、何か、何かないか。
「ううう、余計寒くなっているような。なんかディタの魔法、あれ見たい、ほらなんだっけ、前にロガが呼んでいた本に載っていたような、羽みたいなのがグルグル回って風送るやつ。何だっけ、ロガ?」
「レクス、今それどころじゃ・・・そうか。いや、でも。そううまくいくか。」
「何?ブツブツ呟いて。何か思いついたなら早くやりなさいよ。今は試すしかないでしょ。」
「そうだな。でも、これだけは言っとく。信じてるからな、ディタ。」
「なっ⁉何よ、急に。」
ディタの言葉を無視し、魔法を放つ。何度も何度も、ディタの魔法に向けて。
「ファイア、ファイア、ファイア、ファイア‼」
ディタは何も言わずに見守ってくれる。驚いて言葉が出ないだけかもしれないけどな。
「極めつけだ‼フレイムソード‼」
ディタの魔法が蒸発しきってしまわないよう調節する。水が沸騰するイメージで。
「そういうこと。やるならやるって、いいなさいよね。少し考えちゃったじゃない。それより、手加減しなくてもいいわよ。それともさっきの言葉は嘘なの?」
「いや、嘘じゃない。」
俺は火力をあげる。さっきジャリドに放ったみたく。いや、それ以上に。ディタに負けたくない一心で。
「おりゃああああああ‼」
辺りが暖かくなっていく。そして徐々に蒸しかえるような暑さに、焼けるような熱さへと変わっていく。汗が滝のように流れてくる。勝ち負けではないことはわかってはいるが、目の前の光景に悔しい気持ちになる。
「はあ、はあ。まだ足りないか?」
目の前が見えないため、ジャリドの様子が見られない。冷気もなくなっている気がするけど、確信が得られない。
「わからないわ。それより、今度は熱さにやられそう。」
俺もディタも限界だった。何とかしなければ。自分たちの策でやられるわけにはいかない。
「ええい、なるようになるさ。とおっ‼」
「ちょ、ロガ!?」
俺はディタの魔法の範囲外へと飛び出た。ジャリドの攻撃で凍えてしまうかもしれなかったが。申し訳程度に魔法を添えて。
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