アナスタシス・フルム

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第2章 老人との出会い

長い道

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ノックしていたのはディタらしい。


「ん?ああ、大丈夫だぞ。」


その言葉を発してから思い出す。そういえばディタを置いて先に帰ってきてしまっていたのだ。俺はそのことを謝ろうと扉に近づく。顔は合わせづらいので閉めたままだが。


「ディタ、そのさっきは・・・」グ~~~‼


俺のお腹にいる虫は空気が読めないらしい。


「ヒルさんがご飯できたって言ってるわよ。早く食堂にきなさい。・・・あとで少し話しましょう。」


そう言葉を残し、ディタは扉から去っていった。言うタイミングを逃してしまった。この場で謝れば、有耶無耶にしようと思えばできたはずだ。だが、もうそれはできない。ディタは”あとで少し話しましょう。”と言っている。

おそらく少しでは済まないと思う。このあとのことを考えると気持ちが下がっていく。ただ、今更考えても話し合いは行われる。俺の話せるだけのことを話すだけだ。そう思っても気持ちは元には戻らなかった。


「お腹空いたし、食堂行くか。」


重い足を上げ一歩一歩、進んでいく。



食堂に着くとヒルさんが迎え入れてくれる。


「来たね。ロガ君。ほら、食べて。冷めない内に。」


「うん。ありがとう。ヒルさん。」


俺はいつもの席に着いた。


「ほら、早く食べるわよ。」


俺は恐くてそちらの方に視線を向けられなかったが、その言葉を聞いてわかった。先に食べずに待っていてくれたらしい。別にタイミングを合わせようとしたわけではない。なぜか揃ってしまった。



「「いただきます。」」





食事は終始無言のまま終わった。それでも、気まずいという気持ちは少しなくなっていた。食事を終えたディタに声をかけられた。


「用事済ませたら、あなたの部屋に行くから。」


それだけ俺に伝え自分の部屋に戻っていった。さてどうなることやら。今のディタが何を考えているかわからなかった。



「はあ、はあ。ロガ。またやってくれたな。」


ポイ


「俺も部屋に戻るかな。」



食器を片付け、覚悟を決め部屋へと戻っていく。道の長さは変わらないはずなのにその時は長く感じられた。
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