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第一章 出会い
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馬を走らせる。
あたる風が嘗め回すように僕の体にまとわりつく、そんな感覚がした。
「よし、ちょっとここで休憩しましょう。」
そこは見覚えのあるところだった。
「なるほどな。プロウバの森を抜けていくのか。」
「ええ、少し遠回りになりますが、ここを通ってレーグル王国に向かいます。
事前の遠征でも異常はなかったようですし、それに中立地域です。
よっぽどのことがない限り襲われないそう思いたいです。」
「そうだといいがな。」
「ちょっと。クラフト。あなたがいうと縁起が悪いわ。」
「そりゃ、申し訳ない。」
クラフトは自分の掌でおでこを小突いて、変な顔をしている。
何だかその姿が可笑しくて笑ってしまう。ただ、笑っているのは、僕だけだった。
口に手をあて笑いを抑え込む。クラフトはなんだか落ち込んでいた。
「レイスは笑ってくれたのに。」と悲しそうにしている。
「んんっ。それに他の道は通れなくなっているようで・・・」
「どちらにせよこの森を抜けなくちゃいけないってことね。」
「そういうことです。とりあえずここで昼食しましょう。
ただ、念のため火は起こしませんので、携帯食を食べてください。」
何か棒状のものをシェーンとペルに渡していた。
「これか。前に一度興味本位でもらって食べたことあったけど、
美味しくないのよね。」
「シェーン様。文句は言わず食べてください。体が持ちませんよ。」
「分かってるわよ。」といってしぶしぶ口にしていた。
僕もディグニに渡されて食べて見るが、シェーンの反応の通り美味しくない。
「うぇぇ。」
「ビス。ちゃんと食べるのよ。」
さっきまでしぶしぶ食べていた人に言われる。
頑張って最後まで食べる。水があっという間になくなった。
「そういえば、この前街でクラフトを見かけたよ。
一緒にいた人達は誰だったの?すごく仲良さそうだったね。」
クラフトは頭を掻いていた。
「そうか。妻のモルカと娘のレイスだよ。久々に家族で買い物していたんだ。
休みをもらってからは家族で色んな所に出かけたよ。
しばらく会えなくなるからな。」
「レーグル王国に行くから?」
「まあ、そうなんだが、俺はもうレーグル王国に住むことになってな。」
「えっ。でも家族は?」
「今この状況だ。モーヴェ王国に残ってもらったよ。」
「さみしくない?」
「はははっ。心配するな。落ち着いたら家族もレーグル王国に来る予定だ。
そのために早く片付けられるよう頑張るつもりだ。」
シェーンが割り込んでくる。ものすごく申し訳なさそうに。
「兄様たちのせいで・・・ごめんなさい。」
「い、いや、シェーン様が謝るようなことじゃないですし、
それにツァール王子もフィロ王子も悪くはありません。
それに元々決めていたことです。
レーグル王国も完全に安全かどうかわかりませんでしたから、
もう少し経ってからにしようと家族で決めました。
まあ、どちらにいても危険なら慣れ親しんだ土地の方がいいでしょう。」
クラフトが話している最中ディグニが
「クラフトさん、それ以上は・・・」と止めようとしていたが、
クラフトはそれに気づいていない。
「そう、クラフトありがとう。どうやら文句を言う相手が増えたみたい。
それにそういうことだったのね。ねぇペル。」
シェーンの表情はさっきとは一変して乾いたものになっていた。
本能的に怖いと思ってしまう。ディグニは「はあ」と溜息をついていた。
「は、はあ、恐れいります。」
クラフトは気付いていないらしい。
こういう時にディグニたちの言うクラフトの勘は働かないらしい。
まあ、かくいう僕もよくわかっていないのだが。
それでも、シェーンの恐ろしさが少しわかったような気がする。
敵に回したくない、そう思った。
そのあと、シェーンはクラフトの家族を褒めまくっていた。
先ほどの出来事をなかったことにするように。
クラフトはシェーンの言葉に気をよくしていた。
ディグニは諦め、ペルは何も気にする様子はなかった。
「さあ、そろそろ向かいますか。日が暮れる前に森を抜けます。
それと気を引き締めてください。何があるかわからないですから。」
僕たちは森の中へと足を進めた。
木々が生い茂るいい場所だった。本で見たいろんな植物が生えている。
シェーンは目を輝かせてウズウズしていたが、ペルに諭される。
「シェーン様、ダメですよ。」
「そんなこと、わかってるわよ。」
ただ、言葉と行動が一致していない。手が植物に伸びていた。
パシンと、ペルに手を叩かれる。
「少しぐらい、いいじゃない。」
シェーンがブツブツ呟いてしかめっ面をしていた。
どんどん道を進んでいく。
最初は拓けて進み易かったが道幅が狭くなっていく。
セフォンたちの足取りもゆっくりになっていく。
「大丈夫?セフォン。」
ヒーンと小さくセフォンが鳴く。どうやらまだ大丈夫そうだ。
周りを気にして小さく鳴いたのだろう。
「あら、ビス、馬に名前を付けているの?」
「うん。セフォンっていうんだ。」
「私もつけようかしら。うーん。”アルブス”あなたの名前はアルブスよ。」
シェーンはすぐ名前をつけた。後ろを振り返ってみると、
アルブスは嬉しそうな顔をしていた。
「気に入ったみたいだよ。」
「馬の感情が分かるの?すごいわね。アルブス今更だけど、よろしくね。」
あたる風が嘗め回すように僕の体にまとわりつく、そんな感覚がした。
「よし、ちょっとここで休憩しましょう。」
そこは見覚えのあるところだった。
「なるほどな。プロウバの森を抜けていくのか。」
「ええ、少し遠回りになりますが、ここを通ってレーグル王国に向かいます。
事前の遠征でも異常はなかったようですし、それに中立地域です。
よっぽどのことがない限り襲われないそう思いたいです。」
「そうだといいがな。」
「ちょっと。クラフト。あなたがいうと縁起が悪いわ。」
「そりゃ、申し訳ない。」
クラフトは自分の掌でおでこを小突いて、変な顔をしている。
何だかその姿が可笑しくて笑ってしまう。ただ、笑っているのは、僕だけだった。
口に手をあて笑いを抑え込む。クラフトはなんだか落ち込んでいた。
「レイスは笑ってくれたのに。」と悲しそうにしている。
「んんっ。それに他の道は通れなくなっているようで・・・」
「どちらにせよこの森を抜けなくちゃいけないってことね。」
「そういうことです。とりあえずここで昼食しましょう。
ただ、念のため火は起こしませんので、携帯食を食べてください。」
何か棒状のものをシェーンとペルに渡していた。
「これか。前に一度興味本位でもらって食べたことあったけど、
美味しくないのよね。」
「シェーン様。文句は言わず食べてください。体が持ちませんよ。」
「分かってるわよ。」といってしぶしぶ口にしていた。
僕もディグニに渡されて食べて見るが、シェーンの反応の通り美味しくない。
「うぇぇ。」
「ビス。ちゃんと食べるのよ。」
さっきまでしぶしぶ食べていた人に言われる。
頑張って最後まで食べる。水があっという間になくなった。
「そういえば、この前街でクラフトを見かけたよ。
一緒にいた人達は誰だったの?すごく仲良さそうだったね。」
クラフトは頭を掻いていた。
「そうか。妻のモルカと娘のレイスだよ。久々に家族で買い物していたんだ。
休みをもらってからは家族で色んな所に出かけたよ。
しばらく会えなくなるからな。」
「レーグル王国に行くから?」
「まあ、そうなんだが、俺はもうレーグル王国に住むことになってな。」
「えっ。でも家族は?」
「今この状況だ。モーヴェ王国に残ってもらったよ。」
「さみしくない?」
「はははっ。心配するな。落ち着いたら家族もレーグル王国に来る予定だ。
そのために早く片付けられるよう頑張るつもりだ。」
シェーンが割り込んでくる。ものすごく申し訳なさそうに。
「兄様たちのせいで・・・ごめんなさい。」
「い、いや、シェーン様が謝るようなことじゃないですし、
それにツァール王子もフィロ王子も悪くはありません。
それに元々決めていたことです。
レーグル王国も完全に安全かどうかわかりませんでしたから、
もう少し経ってからにしようと家族で決めました。
まあ、どちらにいても危険なら慣れ親しんだ土地の方がいいでしょう。」
クラフトが話している最中ディグニが
「クラフトさん、それ以上は・・・」と止めようとしていたが、
クラフトはそれに気づいていない。
「そう、クラフトありがとう。どうやら文句を言う相手が増えたみたい。
それにそういうことだったのね。ねぇペル。」
シェーンの表情はさっきとは一変して乾いたものになっていた。
本能的に怖いと思ってしまう。ディグニは「はあ」と溜息をついていた。
「は、はあ、恐れいります。」
クラフトは気付いていないらしい。
こういう時にディグニたちの言うクラフトの勘は働かないらしい。
まあ、かくいう僕もよくわかっていないのだが。
それでも、シェーンの恐ろしさが少しわかったような気がする。
敵に回したくない、そう思った。
そのあと、シェーンはクラフトの家族を褒めまくっていた。
先ほどの出来事をなかったことにするように。
クラフトはシェーンの言葉に気をよくしていた。
ディグニは諦め、ペルは何も気にする様子はなかった。
「さあ、そろそろ向かいますか。日が暮れる前に森を抜けます。
それと気を引き締めてください。何があるかわからないですから。」
僕たちは森の中へと足を進めた。
木々が生い茂るいい場所だった。本で見たいろんな植物が生えている。
シェーンは目を輝かせてウズウズしていたが、ペルに諭される。
「シェーン様、ダメですよ。」
「そんなこと、わかってるわよ。」
ただ、言葉と行動が一致していない。手が植物に伸びていた。
パシンと、ペルに手を叩かれる。
「少しぐらい、いいじゃない。」
シェーンがブツブツ呟いてしかめっ面をしていた。
どんどん道を進んでいく。
最初は拓けて進み易かったが道幅が狭くなっていく。
セフォンたちの足取りもゆっくりになっていく。
「大丈夫?セフォン。」
ヒーンと小さくセフォンが鳴く。どうやらまだ大丈夫そうだ。
周りを気にして小さく鳴いたのだろう。
「あら、ビス、馬に名前を付けているの?」
「うん。セフォンっていうんだ。」
「私もつけようかしら。うーん。”アルブス”あなたの名前はアルブスよ。」
シェーンはすぐ名前をつけた。後ろを振り返ってみると、
アルブスは嬉しそうな顔をしていた。
「気に入ったみたいだよ。」
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