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第二章

騎士団長はモヤモヤ中 ※

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メリークリスマス。雪が積もっております。皆様、お身体ご自愛くださいませ。


 小柄で可愛いサンタクロースが、部下のユリにガチャを差し出した。これが噂の、来れば必ず幸せが訪れるというサンタなのかとまじまじ彼女を見る。認識阻害の魔法がかけられているようだが、俺には通じない。

 赤いもこっとした服ごしにもわかる均整の取れたプロポーションに、可愛いというよりも美しいといった顔立ち。彼女にみとれない男がいたら見てみたいと思うほど、強烈な美しさに惹きつけられた。
 それだけではない、初対面だというのに胸の奥がもぞもぞするような変な感触に見舞われる。

 俺たちホッキョグベアール獣人は数が少ない。このバルブルダング国では力が全てというわけではなく、やはり多勢に無勢で、圧倒的大多数を占めるキチュネ獣人がトップを占める。

 俺は、数年前にこの国を襲ってきた巨大な魔物を倒した功績が認められ、ホッキョグベアール獣人として初めての貴族籍をいただいた。さらに、当時の騎士団長が俺に目をかけてくれたおかげで、実力で騎士団長に登り詰めたのである。

「ヤンネ団長~、サンタちゃん滅茶苦茶可愛かったですねぇ」

「ん? ああ、そうだな。それにしても、今日のパーティに乗じてテロリストどもが来ると言うのはガセネタだったか。折角の休みを返上して仕事に来ていたのが馬鹿馬鹿しくなるな」

 ガセネタに踊らされ、厳重警戒を敷くために部下たちに休日返上でクリスマスイブに出勤させてしまった。だが、ガセネタで良かったとも思う。

「わぁ~。団長、さっきもらったガチャからこんなものがっ!」

「な……! なんだそれは!」

 ユリが満面の笑顔で俺に差し出して来たのは、スケスケの寝間着だった。肩の紐は黒のリボンだけで、胸の二か所に大きく縦に穴が開いている。丈はへその下くらいまでしかなさそうなほど短くて、レースで縁取られておりひらひらしていた。

「かっわいー。ねぇ、だんちょ。もう仕事終わりでしょう? 私、早くこれを着てみたいんだけどぉ」

 しなを作りながら、捜査のためにドレスを着ていたユリが、自分の体にさきほどの寝間着を当てている。ドレスも胸元がVの字にカットされているし、体にぴたりと張り付いていて背中が丸見えのものだったから目のやり場に困った。

「いいから、さっさとそれを仕舞え!」

「えー、かわいいのになぁ。団長ったらこの程度で照れちゃってぇ。普段は厳ついのにかっわいいんだからぁ」

「うるさいっ!」

 その時、テラスから見える木の陰に、何者かが忍んでいるのを発見した。ユリがふざけながらも、サンタからのプレゼントを俺に押し付けソードブレイカーを手に持った。間髪いれずに、繁みに潜む人物に向かって一瞬で跳ぶ。

「おっと、色男さん? ここに何のようかしらぁ?」

「ぐああっ!」

 ユリが侵入者の男の仮面を、ソードブレイカーの切っ先ではじく。見た事のない顔の男だ。男の反撃を、悉くいなして地面にうつ伏せにさせた後、ソードブレイカーで男の服と地面を貫いて動けなくした。

「ユリ、お手柄だ!」

 ようやく現れたテロリストかと思われたが、そいつは令嬢がお手洗いに入るのを外の窓から盗み見ようとしているだけの変態だった。そういえば、その木の向こうは女性用の花詰み場所がある。

「はぁ……。ただの痴漢か、紛らわしい。だが、痴漢といえど犯罪は犯罪。取り敢えず牢に放り込んでおけっ!」

「はぁ~い。さあ、色男さん、あの頬に傷のある男を知っているわよね? 団長がハルバードを振るわないうちに、素直に牢屋に入ったほうが身のためよ? ホッキョググマ獣人を怒らせたら、あんただけじゃなく、この辺り一体が荒野になってしまうわ」

 随分ないいようだが効果はあったようだ。なんせ、魔物を討伐した時に、ハルバードを思いっきり振るったせいで、廃墟だった元貴族の強固な館を吹き飛ばしたのは事実なのだから。
 噂が国中に行き渡るころには、尾ひれがつきまくって、俺がハルバードを一閃するだけで首都が焼け野原になるという誇張されすぎたデマが流布したのだから、男が震えあがって素直に従うのも、複雑な心境ではあるが頷ける。

 主要な部下以外を帰宅させた後、夜会が無事に終わり俺は家に戻った。ユリはサンタからのプレゼントを抱えてさっさと帰った。今頃は、一緒に仕事をしていた、ユリの胸元に隠れていた婚約者であるメガネジャル獣人のオリヴァーと一緒に、あの寝間着を着てベッドの上にいるだろう。

 サンタは恋人同士にプレゼントを贈る。贈られた恋人同士はより一層愛が深まるというから、明日以降はこれまで以上にあいつらがイチャイチャしながら仕事をしている姿を見るのかとげんなりした。

「それにしても……」

 綺麗な女性だった。サンタの赤がとても似合う、黒い髪に吸い込まれそうな茶色の瞳。ただでさえ視線を釘付けにしそうなほどの魅力溢れる人だったが、こんなにも気になるのはそれだけではない気がする。

「まさか、番か?」

 ホッキョググマ獣人には番を感知する能力がほとんどない。

  小さな獣人ほど強烈に番を求めるらしいが、俺たちのような大型の獣人はそれほど生命の危機を感じる事がないため、人生のパートナーは気が合えば一緒になるし、何かあればすぐ別れる。
 俺も今まで、特に頬に傷が出来てからは女性には縁がなかったのもあるが、それほど恋人や妻が欲しいと思った事はない。

 女が欲しければ、適当に酒場に行って相手をしてもらえるから不自由をした事はなかった。騎士団長になってからは、人妻や未亡人たちに一夜のお遊びに誘われる事も少なくない。

「ヤンネ、どうしたの? ね、はやくぅ」

「ん? ああ」

 家に帰ると、最近懇意にしている未亡人に呼び出された。ちょうど溜まっていた事もあり彼女の家に行ったあとすぐにベッドインした。

 少したるんだ胸や、むちっとした腹や腰の柔らかい肉に指を沈ませる。ガタイのデカい俺からすると、未亡人の大きい尻もちょうどいい。ベッドに四つん這いにさせ、彼女に入れていた小さな玉を秘口から取り出す。
 おもらししたかのようにびしょ濡れになっているそこは、小刻みに振動している玉の刺激のせいでさらに濡れそぼっており、ひだがひくついていた。

 下に垂れ下がったせいでより柔らかくなった胸を手で揉みしだきながら、一気に欲棒をそこに突っ込む。するとと、入れただけで達した彼女の柔壁が俺のを吸い付きながら締め上げる。

「ああっ! ヤンネ、ああ、いいわぁ。奥にあたって……、はぁんっ!」

「くっ……。今度は俺を気持ちよくさせてくれ」

 胸を掴んだまま上半身を持ち上げる。ずんっとさらに奥を押し込んだ事で、達したばかりの彼女が激しく乱れた。きゅうっと搾り取られるかのような内壁の動きにあらがいながら、腰を打ち付ける。

「ああ、あっ! イったばかりだから、や、やめてぇ」

「本当にやめていいのか?」

「いじわるね」

 彼女の言う通りに腰を止めると、俺に切なそうに懇願した表情を向ける。もっと動いて欲しいという要望の通りに、激しく腰を動かすと、彼女の嬌声とベッドの軋む音が重なった。

 ぞくぞくとした快感が股間から広がり、今度は抗う事なく彼女の中で勢いよく欲を放った。避妊の薬は飲んでいるらしいが、そのような女性の言葉に騙されてきた男の話は聞いている。信じていないわけではないが用心に越したことはない。俺は彼女の中に放った熱を、気づかれないように魔法で消去させた。

「ああ、ヤンネ。素敵よ……」

「あなたも最高だった」

 未亡人が裸のままうっとり俺の胸にしな垂れかかる。行為が終わればさっさと去りたいが、こういう可愛げのある女の行動も好ましい。

「そうだ、ヤンネ。私ね再婚する事がきまったの。だからあなたとは今日でおしまい。おしいわねぇ……」

「そうか」

「もう、つれない人ね。相手は公爵様なのよ。情人なんて許されないから仕方ないわぁ」

「そうか」

「ふふ。だから、ね?  もう一回」

「ああ」

 小休憩の後、未亡人が俺のをいじりだしたため、再びムラムラした。最後に激しくもう一戦すませた後、家に帰り眠りについたのであった。



 
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