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マリア・エヴァンス、体験授業で最高の夫たちと幸せになります! ※※微~R18【本編完結・あと、R18まみれの番外編4つ】

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 ただでさえ、女性は狙われやすい上に、マリア自身も数多の男性や家から虎視眈々と狙われていた。さらに、夫となった三人のうち、暗い世界にも通じるアダム・スコットというとんでもない大富豪がいるため、新居が出来上がり、セキュリティや護衛などの配置に時間がかかったのである。

  マリアの結婚式はあれから2年後になった。

 白いウェディングドレスに身を包み、幸せそうに微笑む彼女を待つ三人は世界中から注目されていたため、マスコミ各社が詰め寄り、世界最大の式場が利用された。

 エヴァンスの名だたる親族の他、トンプソン、マクガード、スコット家の全ての親族が入りきらず、三回にわけて式をすることになった。勿論エヴァンスは三回とも出席となりスケジュール調整が大変な事になったが、ずっと夫たちを決めなかった跡取りのマリアがようやくあげる式という事もあり、なお、三家ともに強い繋がりも出来るとあって快く参列してくれる。

 なんと、アダムと知り合いになりたいのかなんなのか下心もあったのか、その国のトップも参列するという、まるで王族や重要な国賓扱いだ。

 マリアは、そうそうたるメンツに足が震えるが、夫たちが支えてくれて無事に祭壇前にたどり着く。

 太陽光をふんだんに取り入れたその花嫁の道を歩くマリアの衣装には、希少な宝石が効率よく埋め込まれており、きらきらと輝きを放っている。

 長いベールを編み上げた糸は、滅多にお目にかかる事ができない天然の蚕が作り出した絹で作られており、軽くて動くたびに天上にいるかのようにふわりふわりと風もないのに揺らめいていた。

 頭上には、数百年前に失われたと言われる赤い輝きを持つダイヤモンドを頂きにはめ込んだ純金のティアラに、イヤリングとネックレスには金で縁取られた純度の高い大きなブラウンダイヤモンドがあしらわれていた。

 これには会場中が騒然となり、一体いくらの価値があるのかという下世話な会話もそこかしこで囁かれたのである。

 マリアは、きっと背筋を伸ばして目の前を見つめる。ドレスの中の足は震えており、化粧で隠された顔色は若干青い。それでも、自分には彼らがいると思えばこそ、短い誓の言葉を紡ぐことが出来る。

「マリア・エヴァンス。貴女は彼らを夫とし、平等に愛し慈しみ、そして生涯をささげると誓いますか?」

「誓います」

 すでに三人の誓いは終わっている。差し出された誓約書にサインをすまし、立会人が声高らかに彼女たちの成婚を宣言した。

 三人から軽く、だが、とても大きくて重い愛のこもったキスを贈られる。

 会場中が沸き、三人に祝福の言葉のシャワーが降り注ぐ。鳴りやまない拍手と笑い声の中に、お父様がたの鳴き声が混じっていた。

 マリアは、ゆっくりと振り向き、そして、世界中の誰よりも幸せそうに微笑んだのであった。










少々小話を後ろに。




※※※※



 そんな大きな挙式を無事に全て終えた新居では、大きなベッドの上で、他人にとっては鼻につく臭いと、ともすれば赤面しそうな音が鳴り響いていた。

 世間はしばらくの間マリアの結婚式についてマスコミがことごとく話題に取り上げるために、彼女たちは静かに暮らす事が出来なかった。

 ようやく、話題が下火になった頃、スミレと久しぶりに会う事になった。これもまた警備などの問題で場所や時間の調整に手間取ったが無事に再会を喜び合ったのである。

 昼間に、マリアはオペラをスミレと見に来ていた。スミレは夫たちと仲良くしており、なんとこの二年の間に二男一女をもうけていたのである。今日は七人いる夫のうち二人が彼女を守り、マリアにはスティーブが付き添っていた。

 スミレの夫たちも、スティーブも背が高くすらりとしていて、世間では美青年の域だ。ちらちらと、カフェにいる女性たちが彼らを見ては頬を染めて、友人たちと彼らの事で盛り上がっていたのである。

 スミレと二人で話をしていると、複数でのやり方になった。スティーブは離れたところで彼女たちを、スミレの夫たちと見守っていた。だが、口の動きが読めるため、彼女たちの会話のほぼ全容を把握したのであった。

 後ろの開発もやぶさかではない───。

 スティーブは、そう言ったマリアの口の動きに目を見張る。そして、スミレに後日スティーブたちから、お礼にと豪華な宝石が届けられたのは言うまでもない。




 今日もぐったりしながら、後ろで愛する事が出来るようにスティーブの指を受け入れて翻弄された。

 ここに初めてを経験するのは一体誰になるのか、そんな些細な事はどうでもいいくらい、三人に愛されて、マリアもまた、夫たちを愛している。

 マリアは夫たちにもっと幸せになって欲しいと言いながら、彼らの心と体を貪欲にねだるのであった。勿論、彼らはそんなマリアに対して嫌がるどころか、とても喜んで今日も今日とて自らの愛を叩きこむのであった。






※※※※

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