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涙と、汗と、そして、微笑みと……※R18

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  二人の冷えた汗で、密着していた肌が、アーロンが上半身を起こすと、離れたくないとばかりに少し吸着していた肌が引っ張り合ったあと距離を取った。

「アーロン」

「マリア、優しくする」

  アーロンが緩急をつけながら、それでもゆっくりと腰を動かし始める。

「ん……、う。いい……マリア、マリアッ」
「アーロン、アーロン……!」


  まだじんじんしているけれど、我慢出来そうだ。

  アーロンは、自分を必死に呼ぶマリアが、快感をまだ拾っていなさそうではあるが、全てを受け入れてくれる様子に心が満たされる。
  上半身を起こしてマリアの表情や体の反応を少しも漏らさないように注意深く観察するとともに、淫靡に出入りする自身の熱杭とマリアの入り口の様子を見ては興奮し、スピードをあげていく。

 痛みを堪えながらも自身を受け入れてくれた彼女にも、自らが感じている快楽ほどの良さを感じて欲しい。

  だが、息をつめ夢中になりすぎるほどガツガツ抽挿もしたい。腰の中から脱力しそうなほどの愛しい女性の中は、耐えようとしても抗えないほど気持ちが良すぎた。

  急速にかけ上がってくる感覚が沸き起こり、マリアを高みに昇らせる事も出来ずに自身が膨らんだ。

「すまない、マリア、マリア……!」

  アーロンは、細い腰を掴んだ。浮き出た腕の血管は曲がりくねり、血液すら濁流を作っているようだ。ぐっとマリアの腰を近づける。

  薄い腰の皮膚に、ゴツゴツした指が食い込み、彼女の柔らかい薄い毛と、自分の硬い毛が絡み合うかのように押し付ける。

  切っ先がぶにゅっとした壁に当たっりやわやわとそこを包み込まれた瞬間、アーロンから勢いをつけた欲望が弾けるように飛び出した。

「う……」

  初めて経験する快感の強さとと解放感。まだ、マリアの奥に入らせたい。

  びゅーびゅーと、どこに溜まっていたのかと思うほどの量が収まりを見せ始めた頃、さらに切っ先をごりっと押し付け、残液全てをマリアの中に吐き出した。

「愛している……、愛してる、マリア……!」

  二人の肌が汗で光る。ぶるりと最後に体を震わせたあと、やや硬度が低くなったモノを、ずるりとマリアから取り出した。

  アーロンの太いモノを飲み込んでいたマリアの蜜口は、切っ先を咥えたまま、彼が出ていくと同時に閉じた。

  周囲には、二人の愛と欲望の水で濡れており、その中に明るい赤が混じっていた。

  アーロンは、自身にもこびりついた二人の愛液と、マリアの鮮血を見て、痛かっただろうと申し訳ない気持ちと、それを遥かに上回る多幸感と達成感を抱く。

「う……、ん」

  マリアが吐息とともに身を捩ると、ぴたりと閉じていた膣からコプッと白く濁った粘液が出てきた。

  アーロンがそれを目撃した瞬間、半ばまで倒れていた欲情が天に向かい頭をもたげる。

  まだ、入りたい、自分の精で中を満たしたい……。

「マリア……」

  アーロンは、再び、幼子を守るようにマリアに被さり抱き締めた。

  マリアの足は、アーロンの腰を入れたまま、はしたなく開いている。

  切っ先と、股間がふれあい、そこが硬く大きく彼女を求めてやまない気持ちを知らしめるように、押しつけてしまう。

  自分の浅ましくも求めてやまない欲情を知って欲しい。

「アーロン、好き……」

  マリアの囁きがアーロンの耳から体の奥底に染み渡る。ほんの少しの腰の動きで、もう一度マリアの中に戻れる。

  そう思ったと同時に、切っ先が閉じた膣に当たった。

「マリア、もう一度……」

  切なくアーロンがそう言った時、マリアの体がびくりと震え、ぎゅっと抱き締めた腕に力が入った。

「アーロンの好きに……」


  して、と言いかけたマリアの言葉と受け入れてくれる気持ちが後押しして、アーロンが中に入ろうとしたその時。



「好きにしていいわけがあるかっ!」
「初めてのマリアを壊す気ですかっ!」

  左右からアーロンのごつい肩に手がかかり、マリアから不埒な筋肉と体力の大男を離した。

「アーロンの体力にマリアがついていけると思っているんですか?  必死についていって、ただでさえ思考が澱んでいるのに、彼女の言葉のまま続けようとするなんて!」
「中は傷があるんだから、これ以上はダメ。まだ痛むよね?  アーロン、わかってるよね?」

  アーロンは、はっと我に返り、マリアを見た。

  だらんと足を広げたままシーツに寝そべり、力なく腕も沈んでいる。

「す、すまないっ!」

  アーロンは、慌ててマリアから体を離した。左右からスティーブとアダムがマリアの手を取り、口々に優しく慰めている。

  三人のやり取りの時は、ひたすらに優しくて、欲望のまま自分をぶつけようとしていたアーロンは罪悪感が押し寄せて、しょんぼり項垂れた。

  まるで、悪戯をしてばつが悪くなり叱られた犬のようだ。

「二人とも……」
「マリア、今日はこのまま休んでくださいね」
「でも、スティーブは……」

 スティーブを見上げると、とても優しく微笑みながら額にキスをされた。彼のきれいな顔で優しくされると、このまま言う通りにしたくなってしまう。


「先ずは、休んで?  俺たちを受け入れてくれるんでしょ?  後日、体調が良くなって回復したら俺たちと愛し合おうね」
「アダム……。ごめんね」

  マリアが弱々しく微笑みを浮かべると、軽くキスを頬に落とされる。アダムはとても安心させてくれる。


 今日中に応えてあげる事が出来ないため胸が傷んだ。でも、ここで無理をしては彼らにもっと心の負担をかけるだろう。

「ありがとう、二人とも」

「おやすみなさい、マリア」
「おやすみ、マリア」

「アーロン?」

  マリアが、うとうとしつつも、アーロンを呼んだ。慌てて彼女の視界にうつり込みにいく。

「マリア、すまない……」
「アーロン、私は大丈夫だから……」

  マリアは、自分が辛くていっぱいいっぱいだろうに、アーロンの事まで気遣いを見せてくれる。

  アーロンは勿論のこと、スティーブもアダムも、マリアと出会い、夫候補になれた幸運を噛み締めたのであった。


 

 
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