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(もうダメだわ。私、このまま……? そんなの、いや、誰か助けて!)
怖くてたまらない。諦めかけたその時、悲鳴を聞きつけた侍女たちが、一斉に部屋になだれ込んできた。
「お嬢様? いかがされましたか?」
「皆、た、たす、たすけてぇ! こ、ここ、この男を捕まえて! 勝手に、ベッドに入り込んでいたの! しかも、私に、私にぃ……」
見ず知らずの、ずんぐりむっくりな男にキスをされた事など認めたくない。記憶の彼方に放りだしたくて、唇をシーツで乱暴にゴシゴシこすった。とても痛いが構うものかと続けたため、シーツに血が滲む。
カーテは、自称ターモだか、タッセルだか知らないが、侍女たちによって連れて行かれるだろうと、ほっとする。だが、おかしなことに彼女たちは一向に動かなかった。
「お嬢様、どうかなさいましたか? タッセル様、これは一体?」
「僕にも何がなんだか……」
一番仲の良い侍女に、あっけらかんと声をかけられた。彼女たちは、自分の1/1000ほども恐怖などを感じていない。それどころか、男にまでにこやかに声をかけているではないか。
「あ、あなたたち、この男を知っているの?」
「知ってるも何も、お嬢様が大好きなタッセル様ですよ。もうすぐ結婚されるからって、私たちが止めるのも聞かずに、昨夜一緒に眠られましたよね?」
「結婚? 私が? しかも、一緒に?」
「そうですよ。来月のタッセル様の誕生日に、ご結婚される予定ですよ? お嬢様ったら、サプライズというものですか? 仲がよろしいことで。ふふふふ、びっくりしたじゃないですか」
「う……そ……」
ずっと一緒にいる彼女が嘘を吐くはずがない。いつの間に、自分に婚約者ができたのだろうか。考えても思い出せない。というよりも、そんな事実などはないと確信している。
現状を一切受け入れることのできないカーテの視界で、タッセルと名乗った男の子が、ショックを受けたのか涙目でこちらを見ている。だが、彼を気遣う余裕などなかった。
カーテの様子が明らかにおかしいと、怯えたままの彼女を見ながら、侍女たちは顔を見合わせる。彼女の両親である伯爵夫妻を呼びに向かったのであった。
カティがわめき続けること早30分。ウォン伯爵夫妻が部屋にやってきた。
タッセルは、すでにソファの上に置いていた私服に着替えている。薄い白いシャツの袖すらパツンパツンで、胸だけでなく、お腹まで前のボタンとボタンの隙間から肌がのそいていた。
(取り敢えず危害を加えないというのはわかったわ。それにしても、どうして、ぴちぴちの服を無理やり着てるの? うう、髪もぴょんぴょん跳ねてるし、目もドロンとしてる気がする……。あんな人の肌が見えるとかだらしなさすぎて気持ち悪いわ……。あ、目が合っちゃった。やだぁ……)
カーテも着替えをしたかったが、彼が部屋にいる以上肌を見せたくない。がばっとシーツを被って警戒心丸出しで威嚇するように睨みつけていた。
タッセルは、そんなカーテの姿にオロオロ狼狽してしまっている。おずおず手を差し伸べようとしたものの、その手をパシンと振り払われて茫然自失していた。
やってきた両親は、来月結婚する婚約者とはいえ、男を部屋に泊まらせるなど聞いていない。彼の姿を見るやいなや、タッセルに詰め寄った。
「タッセルくん? これは一体どういうことだね?」
「あ、いや。義父上、僕にも何がなんだか……。同じベッドで眠って朝起きたら、カティちゃんの様子がおかしくて。頭を撫でてあげても、抱きしめても、いつもみたいに嬉しがるどころか、僕を嫌がってしまっていて……」
伯爵の、至極当然の質問に、タッセルは正直に答えた。だが、その返答は、伯爵の怒りに火を注ぐ結果となる。
「そうじゃない。それも気になるが、どうして、お前がここにいるのかと聞いているんだ。しかも、ベッドでなんだって? まさか、まさかとは思うが、お前、うちの子に無体なことを? あと、義父上とまだ言うな。20年早いっ!」
「まぁ、あなたったら。一ヶ月もすれば義父になるじゃないですか。ふふふ、野暮なことを聞いてはいけませんわ。ターモくんはうちの跡を継いでくれる子じゃない。まあまあまあ、思ったより早く孫の顔が見れそうねぇ。きっと、どこの家の子よりもかわいいわ。ああ、孫自慢ばかりの侯爵夫人や子爵夫人に、やっと反撃できるのね。事あるごとに、お宅のお孫さんは……ああまだだったわねって言われて、くやしかったのよ。他人の家のことは放っておいてほしいわ、全く」
タッセルの言葉を聞き、父とは裏腹に母は喜んでいる。今にも喜びの舞を踊りそうなほど。
「いえ、僕とかティちゃんは、まだそういう関係じゃ。そりゃ、何度もいい雰囲気にはなりましたけど、そういうことは結婚してからロマンチックにって」
「お前……そういう関係とはなんだ! いい雰囲気とはなんだ! そういうもこういうもあるかー!」
「あらあらまあまあ、まだなの? 残念ねぇ。そうだわ、今夜リベンジをしてみては?」
「いや、あの……義母上様の言葉は嬉しいですが、僕としても、カティちゃんの意思を尊重して、一生の思い出にしたいなって。でも、一日も早く、僕たちの子を抱っこしてあげて欲しいです」
「まぁまぁまぁ。ふふふ、あなた聞きまして? あなたのせいで私は結婚前にカティを授かったというのに、ターモくんったら紳士の鑑ね」
「ぐぬぬ。それはそれ、これはこれだ! おのれ、うちの大事なカティをよくも……」
照れくさそうに、もじもじしながらぽよぽよした男が、昨夜の説明をしている。そんなはずはないと思うが、取り返しのつかない行為はされていなかったのかと胸をなでおろした。
父は頭の血管が切れそうなほど怒っているが、母は嬉しそうに満面の笑顔で彼をけしかけていた。
怖くてたまらない。諦めかけたその時、悲鳴を聞きつけた侍女たちが、一斉に部屋になだれ込んできた。
「お嬢様? いかがされましたか?」
「皆、た、たす、たすけてぇ! こ、ここ、この男を捕まえて! 勝手に、ベッドに入り込んでいたの! しかも、私に、私にぃ……」
見ず知らずの、ずんぐりむっくりな男にキスをされた事など認めたくない。記憶の彼方に放りだしたくて、唇をシーツで乱暴にゴシゴシこすった。とても痛いが構うものかと続けたため、シーツに血が滲む。
カーテは、自称ターモだか、タッセルだか知らないが、侍女たちによって連れて行かれるだろうと、ほっとする。だが、おかしなことに彼女たちは一向に動かなかった。
「お嬢様、どうかなさいましたか? タッセル様、これは一体?」
「僕にも何がなんだか……」
一番仲の良い侍女に、あっけらかんと声をかけられた。彼女たちは、自分の1/1000ほども恐怖などを感じていない。それどころか、男にまでにこやかに声をかけているではないか。
「あ、あなたたち、この男を知っているの?」
「知ってるも何も、お嬢様が大好きなタッセル様ですよ。もうすぐ結婚されるからって、私たちが止めるのも聞かずに、昨夜一緒に眠られましたよね?」
「結婚? 私が? しかも、一緒に?」
「そうですよ。来月のタッセル様の誕生日に、ご結婚される予定ですよ? お嬢様ったら、サプライズというものですか? 仲がよろしいことで。ふふふふ、びっくりしたじゃないですか」
「う……そ……」
ずっと一緒にいる彼女が嘘を吐くはずがない。いつの間に、自分に婚約者ができたのだろうか。考えても思い出せない。というよりも、そんな事実などはないと確信している。
現状を一切受け入れることのできないカーテの視界で、タッセルと名乗った男の子が、ショックを受けたのか涙目でこちらを見ている。だが、彼を気遣う余裕などなかった。
カーテの様子が明らかにおかしいと、怯えたままの彼女を見ながら、侍女たちは顔を見合わせる。彼女の両親である伯爵夫妻を呼びに向かったのであった。
カティがわめき続けること早30分。ウォン伯爵夫妻が部屋にやってきた。
タッセルは、すでにソファの上に置いていた私服に着替えている。薄い白いシャツの袖すらパツンパツンで、胸だけでなく、お腹まで前のボタンとボタンの隙間から肌がのそいていた。
(取り敢えず危害を加えないというのはわかったわ。それにしても、どうして、ぴちぴちの服を無理やり着てるの? うう、髪もぴょんぴょん跳ねてるし、目もドロンとしてる気がする……。あんな人の肌が見えるとかだらしなさすぎて気持ち悪いわ……。あ、目が合っちゃった。やだぁ……)
カーテも着替えをしたかったが、彼が部屋にいる以上肌を見せたくない。がばっとシーツを被って警戒心丸出しで威嚇するように睨みつけていた。
タッセルは、そんなカーテの姿にオロオロ狼狽してしまっている。おずおず手を差し伸べようとしたものの、その手をパシンと振り払われて茫然自失していた。
やってきた両親は、来月結婚する婚約者とはいえ、男を部屋に泊まらせるなど聞いていない。彼の姿を見るやいなや、タッセルに詰め寄った。
「タッセルくん? これは一体どういうことだね?」
「あ、いや。義父上、僕にも何がなんだか……。同じベッドで眠って朝起きたら、カティちゃんの様子がおかしくて。頭を撫でてあげても、抱きしめても、いつもみたいに嬉しがるどころか、僕を嫌がってしまっていて……」
伯爵の、至極当然の質問に、タッセルは正直に答えた。だが、その返答は、伯爵の怒りに火を注ぐ結果となる。
「そうじゃない。それも気になるが、どうして、お前がここにいるのかと聞いているんだ。しかも、ベッドでなんだって? まさか、まさかとは思うが、お前、うちの子に無体なことを? あと、義父上とまだ言うな。20年早いっ!」
「まぁ、あなたったら。一ヶ月もすれば義父になるじゃないですか。ふふふ、野暮なことを聞いてはいけませんわ。ターモくんはうちの跡を継いでくれる子じゃない。まあまあまあ、思ったより早く孫の顔が見れそうねぇ。きっと、どこの家の子よりもかわいいわ。ああ、孫自慢ばかりの侯爵夫人や子爵夫人に、やっと反撃できるのね。事あるごとに、お宅のお孫さんは……ああまだだったわねって言われて、くやしかったのよ。他人の家のことは放っておいてほしいわ、全く」
タッセルの言葉を聞き、父とは裏腹に母は喜んでいる。今にも喜びの舞を踊りそうなほど。
「いえ、僕とかティちゃんは、まだそういう関係じゃ。そりゃ、何度もいい雰囲気にはなりましたけど、そういうことは結婚してからロマンチックにって」
「お前……そういう関係とはなんだ! いい雰囲気とはなんだ! そういうもこういうもあるかー!」
「あらあらまあまあ、まだなの? 残念ねぇ。そうだわ、今夜リベンジをしてみては?」
「いや、あの……義母上様の言葉は嬉しいですが、僕としても、カティちゃんの意思を尊重して、一生の思い出にしたいなって。でも、一日も早く、僕たちの子を抱っこしてあげて欲しいです」
「まぁまぁまぁ。ふふふ、あなた聞きまして? あなたのせいで私は結婚前にカティを授かったというのに、ターモくんったら紳士の鑑ね」
「ぐぬぬ。それはそれ、これはこれだ! おのれ、うちの大事なカティをよくも……」
照れくさそうに、もじもじしながらぽよぽよした男が、昨夜の説明をしている。そんなはずはないと思うが、取り返しのつかない行為はされていなかったのかと胸をなでおろした。
父は頭の血管が切れそうなほど怒っているが、母は嬉しそうに満面の笑顔で彼をけしかけていた。
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