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13歳~15歳、辺境の停戦と王都への旅立ち※R15

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 サヴァイヴの初陣は、卑怯な敵の夜襲にも拘らず、すぐに体勢を立て直した彼の軍が勝利を収めた。敵もまさか、これほど早く、いつでも出撃出来る準備をしていたなど思いもしなかったようだ。
 食料を燃やされた事は痛かったが、その損害以上、敵の懐から金品や食料を提示されて無事に帰還したのであった。

 顔の右半分を、血と浸出液で汚れた包帯で巻かれた息子を見て、それまで領主代行をしていた母が卒倒しそうになる。

 サヴァイヴは、ひきつれると痛む頬の傷などお構いなしに母に笑顔を見せて安心させた。

 敵襲前に一緒にスープを飲んだ仲間の半分が命を落としていた。彼らの上官も敵襲に備えるよう命令していたのにも拘らず、任務を怠ったためだともいえる。だが、失われた命は還って来ない。

 ふと、父の大きな背を見つめる。勝利の凱旋であり、歓喜の声が砦を埋め尽くしている。

────だが

 彼らの両親の姿はわからない。わからないが、きっと悲しみに飲まれているだろう。こうした事も、全てを背負う父の姿を、サヴァイヴは傷の痛みなど忘れてじっとクロヴィスの後方に立ち、見つめていたのであった。

 勝利の宴が催された日に久しぶりにイヴォンヌに会った。彼女は、相変わらず何も知らない、無垢で、純粋で。綺麗になったなと、好意的に思う気持ちと、何も知らないくせにと、腹立たしいような暗い気持ちなどが複雑に入り乱れた。

 すでにきれいにしたとはいえ、包帯が巻かれたサヴァイヴのそこを、涙が溢れんばかりに見つめてくるイヴォンヌの姿を見ると、胸がじりじりと焼けこげるように熱くなった。


──やめろ、そんな痛ましいものを見るような目で俺を見るなっ!



「ヴァイス、お帰りなさいませ。無事で良かった……」

 待つ者の気持ちもわかる。これまで父たちの無事を祈りながら笑顔で帰って来た姿を見るまでの自分自身だったからだ。だが、今の彼にとって、苦労知らずのお嬢様であるイヴォンヌを受け入れるだけの余裕がない。
 彼女の顔を見るまでは、会いたくて仕方がなかったというのに。必ず生きて彼女の前に立ち、そして、求婚しようと決意していたのに。その言葉がどうしても出なかった。

「ヴィー、ただいま。ちょっと疲れているんだ……ごめん」

 眩しすぎる無垢な彼女の姿を何よりもその顔を見ていられなくなり、そっけなく背を向けたのであった。

 その後、イヴォンヌは何度目かになる社交界参加のために王都へ旅立つ。

 サヴァイヴは、次に会えたら、その時にはきっと……と、心に誓った。



 だが、彼の決意を嘲笑うかのように隣国から大きな戦を仕掛けられる事になる。


 初陣以降、戦場の最前線である辺境に、イヴォンヌが訪れる事がなくなった。



 戦の度に敵も味方も命を失った。流れた血の量はいかほどか。こうして少しのケガくらいで凱旋できることが奇跡に近く、周囲の猛者たちに守られている事を痛感していく。

 小競り合いの度に高ぶった感情と下半身を自身で慰めた。他の男たちは、こういった場にやってくる娼婦を買っている。サヴァイヴにも宛がわれたが、彼自身がその気になれず断り続けたのである。




「ヴィー、ヴィーッ!」

 随分長い間会っていない彼女の、まだ見もしない白く華奢な裸体が自慰の度に頭と心に浮かぶ。最初は戸惑っていたが、時が経つにつれ、すでに彼女を恋い慕いただ一人を欲している自分の想いに気付いていた。

 側にいる時には一向に気付かなかった、自分の想いのたけを妄想の中の彼女にぶつける。

 自分の下で、細い銀糸を汗ばむ肌に乱れながら張り付かせ目元を赤く染め、瞳を潤ませて揺らされている。そうしているのは自分だ。腰を打ち付ける度に上下に揺れて波立つ柔らかな胸と、桃色の尖り。そこをひねりあげ、口に含ませていじめると、あどけない彼女ではない、色めいた声があがる。

 細い首筋から、つーっと一筋の汗が流れ落ち、べろりとなめる。細い腰を、自分の両手で乱暴に持ち上げ、思うまま彼女の狭壁に切っ先を奥までつっこみ擦りあげて行く。

 ちゅくちゅくと音が鳴り、その速さが上がる。息をつめて、肉棒が一際大きく膨らむと同時に、彼女が大きく啼いてびくびく体を痙攣させた。

 びゅーびゅるるっと、勢いよく小さな口から白く濁った欲が吐き出された。左手のひらでそれを受けて、粗末な布で拭き取る。
 今いるテントには、普段は数人一緒にいるが、彼らは皆、娼婦を抱きに行っており、今は一人きりだ。生臭い臭いが鼻につき、吐き出して汚れた布を土に埋めた。


 入口を開けたまま外に出ると明るく大きな満月が夜空に浮かんでいた。


 彼女も今この時、月を見ているだろうか? 


 月の中に浮かぶ彼女の微笑みは、自分の恋心を更に強くする。




 15歳になる年、戦がようやく停戦した。

  義務付けられた学園に入学するためというよりも、会えない間恋焦がれてやまなかった彼女を、中途半端な状態ではなく確実に自分の妻にするべく王都に向かったのであった。





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