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馬車の中での作戦会議
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あれから、わたくしはジャンヌ様に連れられて、とある森の中にある小さな小屋、といっても、流石大貴族なだけあって、日本でいう所の地主レベルの大きさだったけれども、そこに、案内された。
移動する馬車は、彼女の魔法で防御結界と隠密が施されており、道中ならず者などにも出くわさずに無事たどり着く。
「まあ、どうりで王子に興味がなさそうだと思ったら……」
ジャンヌ様に、呆れられながらも、前々からこの世界で敬遠されるナイトハルト様のような逞しい方が理想だとカミングアウトした。
「王子の事は、それでも、弟というか、手のかかる子といった親愛の情はありましたから、あのまま王子と結婚する事を享受していただけです。だって、そうすれば、ナイトハルト様に、触れたり声を掛けたりとかは出来なくてもお側にいられると思ってましたから。でも、逃げようとも思っていたのです。どこか、わたくしの事を知らない国で、魔法を使って冒険者にでもなって、新しい人生をと。迷っていたところ、妹が現れて、王子とくっついてくれそうだったので、秘密裏に来週、婚約解消をする段取りでしたの」
「まあ……。そう言えば、お父さまも最近毎日のように会議をされていて……。そのせいだったのね?」
「関係各所に、多大なご迷惑をおかけしますし、わたくしの名目の資金がどこかに消えているのもあって、あ、ジャンヌ様のお父さまは無関係ですわよ? それで、わたくしがこれまで集めた証拠を元に、腐敗しきった貴族をあぶり出す手がかりにしようとなったのです。その功績を認められ、無事に新たな爵位と、自由に国を出る許可を取れた所でしたの」
「まあ……。一言言って下さればお手伝いしましたのに……。あ、あなたのためではなく、国のために、ですわよ? 勘違いなさらないでっ」
「ふふふ、ありがとうございます」
「ですから、あなたのためじゃないと、……、はぁ……、もういいですわ」
ジャンヌ様が頬を小さくぷっくり膨らませて恨めしそうにわたくしを見てくる。彼女はいわゆるツンデレというやつで、こういったやり取りで愛を感じられて胸がじんわりと熱くなってしまった。
「で、そろそろ、今も貴女を膝の上から離さない、その、ナイトハルト様の事を聞いてもいいかしら? こうなった以上、彼にも爵位と地位、国を捨てる覚悟が必要だと思うのですけれども。ちょっと、わたくしは彼の事は眼中にはないのよ? そんな風に、ちらっと彼を見ただけで睨んで来ないでっ!」
「ジャンヌ様は、妖艶な美女ですから、ナイトハルト様のすばらしさを知れば、わたくしにとって脅威になりますので。あまり見ないでくださいまし」
「まったくもう……。王子に対してその気持ちがあったら、きっと修羅場だったでしょうね」
「ふふふ、わたくしは何度も申し上げているように、ナイトハルト様だけですの」
「はいはい、見たところ、その方も、貴女にぞっこんのようだし、良かったですわね?」
「ええ、幸せですわ……。わたくし、ナイトハルト様がいるだけで、こんなに嬉しい幸せな日が来るなんて夢にも思っていませんでしたから」
「ベル……。俺のほうがきっと想いは強い……」
「ふふふ、負けませんわ」
ナイトハルト様は、わたくしたちの会話を、耳まで真っ赤にしながら黙って聞いていらした。わたくしのお尻あたりに、彼の硬いものがあたり、馬車の跳ねのせいで押し上げられてくるのを感じてしまって、折角渇いたアソコがじゅんっと湿り気を帯びている。
──きっとジャンヌ様がいなければ、ココでさっきの続きを致しちゃったりして? いやん。
頭に、ちゅっとキスを何度も落としてくださる。本当に彼の筋肉と愛の要塞は、安心できるたった一つの場所だ。
「……。とにかく、ナイトハルト様は、イザベル様を監禁したあと、彼女の部屋から大きな音がして、慌てて入り込んだら、無体な事をされている彼女を発見した。賊は、ナイトハルト様を見た瞬間、イザベル様を抱きかかえて逃走。ドレスや各所に付けられた血は、イザベル様を酷く扱ってから殺すために雇われた賊のせいで、ナイトハルト様は後日、現在、罪人扱いではあるものの今後も飼い殺しにする予定だったイザベル様を守れなかった咎を受けて追放処分になる。こんな所でいいかしら? 賊を雇った貴族は、イザベル様に告発される予定の中から適当に仕立て上げるわ」
「まあ……、この短い時間でそのように策を考えつくなんて。しかも、具体的な筋書きまで。ジャンヌ様のほうが、魔力と家柄以外取り柄のないわたくしより、よっぽど未来の王妃に相応しいですわ」
「……、どの口がそれをいいますか。でも、そうね……。冷徹になりきれない貴女には、王妃は向かないと私も思うわ。でも、これが本格的に動き出したら、あなた達二人はもうこの国に帰って来れない。構わないかしら? 今ならまだ他の方法も無くはなくてよ」
「わたくしは、もとからこの国から出るつもりもあったのでかまいませんけれど……」
──わたくしは、ナイトハルト様に夢中で、彼の意向を全く気遣えなかった事に今気づいた。彼にも、家族や友人がいるはず。わたくしは、こうして親身になってくださる唯一の人間であるジャンヌ様以外、どうでもいいっちゃいいけれど……。妹は、まあ、ああ見えて図太そうだし、王子や両親が守るに違いないわ。
わたくしは、ナイトハルト様をそっと見上げた。きっと、瞳には不安の色があるだろう。
──ナイトハルト様、巻き込んでしまって、貴方の未来をつぶしてしまった……。ごめんなさい、ごめんなさい。でも、でも……。
ついて来て欲しい──────
移動する馬車は、彼女の魔法で防御結界と隠密が施されており、道中ならず者などにも出くわさずに無事たどり着く。
「まあ、どうりで王子に興味がなさそうだと思ったら……」
ジャンヌ様に、呆れられながらも、前々からこの世界で敬遠されるナイトハルト様のような逞しい方が理想だとカミングアウトした。
「王子の事は、それでも、弟というか、手のかかる子といった親愛の情はありましたから、あのまま王子と結婚する事を享受していただけです。だって、そうすれば、ナイトハルト様に、触れたり声を掛けたりとかは出来なくてもお側にいられると思ってましたから。でも、逃げようとも思っていたのです。どこか、わたくしの事を知らない国で、魔法を使って冒険者にでもなって、新しい人生をと。迷っていたところ、妹が現れて、王子とくっついてくれそうだったので、秘密裏に来週、婚約解消をする段取りでしたの」
「まあ……。そう言えば、お父さまも最近毎日のように会議をされていて……。そのせいだったのね?」
「関係各所に、多大なご迷惑をおかけしますし、わたくしの名目の資金がどこかに消えているのもあって、あ、ジャンヌ様のお父さまは無関係ですわよ? それで、わたくしがこれまで集めた証拠を元に、腐敗しきった貴族をあぶり出す手がかりにしようとなったのです。その功績を認められ、無事に新たな爵位と、自由に国を出る許可を取れた所でしたの」
「まあ……。一言言って下さればお手伝いしましたのに……。あ、あなたのためではなく、国のために、ですわよ? 勘違いなさらないでっ」
「ふふふ、ありがとうございます」
「ですから、あなたのためじゃないと、……、はぁ……、もういいですわ」
ジャンヌ様が頬を小さくぷっくり膨らませて恨めしそうにわたくしを見てくる。彼女はいわゆるツンデレというやつで、こういったやり取りで愛を感じられて胸がじんわりと熱くなってしまった。
「で、そろそろ、今も貴女を膝の上から離さない、その、ナイトハルト様の事を聞いてもいいかしら? こうなった以上、彼にも爵位と地位、国を捨てる覚悟が必要だと思うのですけれども。ちょっと、わたくしは彼の事は眼中にはないのよ? そんな風に、ちらっと彼を見ただけで睨んで来ないでっ!」
「ジャンヌ様は、妖艶な美女ですから、ナイトハルト様のすばらしさを知れば、わたくしにとって脅威になりますので。あまり見ないでくださいまし」
「まったくもう……。王子に対してその気持ちがあったら、きっと修羅場だったでしょうね」
「ふふふ、わたくしは何度も申し上げているように、ナイトハルト様だけですの」
「はいはい、見たところ、その方も、貴女にぞっこんのようだし、良かったですわね?」
「ええ、幸せですわ……。わたくし、ナイトハルト様がいるだけで、こんなに嬉しい幸せな日が来るなんて夢にも思っていませんでしたから」
「ベル……。俺のほうがきっと想いは強い……」
「ふふふ、負けませんわ」
ナイトハルト様は、わたくしたちの会話を、耳まで真っ赤にしながら黙って聞いていらした。わたくしのお尻あたりに、彼の硬いものがあたり、馬車の跳ねのせいで押し上げられてくるのを感じてしまって、折角渇いたアソコがじゅんっと湿り気を帯びている。
──きっとジャンヌ様がいなければ、ココでさっきの続きを致しちゃったりして? いやん。
頭に、ちゅっとキスを何度も落としてくださる。本当に彼の筋肉と愛の要塞は、安心できるたった一つの場所だ。
「……。とにかく、ナイトハルト様は、イザベル様を監禁したあと、彼女の部屋から大きな音がして、慌てて入り込んだら、無体な事をされている彼女を発見した。賊は、ナイトハルト様を見た瞬間、イザベル様を抱きかかえて逃走。ドレスや各所に付けられた血は、イザベル様を酷く扱ってから殺すために雇われた賊のせいで、ナイトハルト様は後日、現在、罪人扱いではあるものの今後も飼い殺しにする予定だったイザベル様を守れなかった咎を受けて追放処分になる。こんな所でいいかしら? 賊を雇った貴族は、イザベル様に告発される予定の中から適当に仕立て上げるわ」
「まあ……、この短い時間でそのように策を考えつくなんて。しかも、具体的な筋書きまで。ジャンヌ様のほうが、魔力と家柄以外取り柄のないわたくしより、よっぽど未来の王妃に相応しいですわ」
「……、どの口がそれをいいますか。でも、そうね……。冷徹になりきれない貴女には、王妃は向かないと私も思うわ。でも、これが本格的に動き出したら、あなた達二人はもうこの国に帰って来れない。構わないかしら? 今ならまだ他の方法も無くはなくてよ」
「わたくしは、もとからこの国から出るつもりもあったのでかまいませんけれど……」
──わたくしは、ナイトハルト様に夢中で、彼の意向を全く気遣えなかった事に今気づいた。彼にも、家族や友人がいるはず。わたくしは、こうして親身になってくださる唯一の人間であるジャンヌ様以外、どうでもいいっちゃいいけれど……。妹は、まあ、ああ見えて図太そうだし、王子や両親が守るに違いないわ。
わたくしは、ナイトハルト様をそっと見上げた。きっと、瞳には不安の色があるだろう。
──ナイトハルト様、巻き込んでしまって、貴方の未来をつぶしてしまった……。ごめんなさい、ごめんなさい。でも、でも……。
ついて来て欲しい──────
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