57 / 84
51
しおりを挟む
ゲブリオ公爵の邸で過ごすことになってから、気が付けば3か月が過ぎた。王族や聖女の覚えもめでたい彼女は、社交界にひっぱりだこ状態だったが、なんせ教育を受けていない。
本の知識のみでは困る場面も多く、彼女のためにガヴァネスなど教育係や、社交中の保護者がつけられた。
彼女たちのサポートのおかげもあり、今のところは無事にお茶会などをこなしている。
「では、次は風の国の詩集を読んでみてください。次回のお茶会は、ブリーゼ国出身の侯爵夫人が開かれます。そこでは、詩集を読み合うのですが、フェルミさんはブリーゼ国の言語がわかりますか?」
「文字は、風の国の小説を読んだことがありますので理解できます。ですが、聞くのも話すのもしたことがありませんので、できないと思います」
「では、単語や文章はおわかりなのですね。お茶会は3週間後ですから、できる範囲でいいので、聞くことができるようにしましょう。ただ、ひとつの詩くらいは詠めたほうがいいわね」
「はい、よろしくお願いいたします」
急ピッチの厳しい教育スケジュールだったが、フェルミはとても楽しかった。どれも初めてのことばかりで、しかも、勉強の合間に各国の色んなことを知ることが出来る。
「おおきナ、そぉら、ガ。ギャ、そぉらに、クも、ギャ、」
「末尾まで丁寧に舌を動かして。大きな空に雲が、ですよ」
「おぉきな、そ、らにィ」
ガヴァネスは、フェルミの上達に舌を巻いていた。これほど真面目に、勉強に取り組む令嬢はあまりいない。侯爵夫人のお茶会で、ブリーゼ語の詩集を理解できる令嬢は半分くらいだろう。
(一体、どのほどの外国の原書を読んできたのかしら……。独学だったらしいけれど、筆記はほぼ満点だなんて。何も知らないから子供を教えるつもりでと言われて引き受けたのだけれどとんでもない。この子は、半年もしないうちに、上級家のご令嬢とほぼ同じのマナーや知識を身に着けることができるわ)
砂が水を吸い込むように、教えがいのある生徒だ。ガヴァネスは、嬉しくなり、当初の予定よりも早くフェルミに教え込んでいった。
カインや騎士たちだけでなく、公爵家の使用人たちも、貴族令嬢の教育について知っている。ガヴァネスの教育方針が、かなり厳しいとフェルミを心配していた。
「はい、今日はここまで。明日までに、この詩集を、全て暗記しておいてください」
「はい」
ガヴァネスが帰宅したあと、侍女がフェルミにお茶とマフィンを差し出した。その間にも、フェルミは詩集を口ずさんでいる。
「フェルミ様、あまり根をおつめになられなくても。フェルミ様は遠慮しすぎだと思います。このままでは、倒れてしまいます。差し出がましいとは思いますが、私が、先生に話を……」
「大丈夫です。本当に楽しくて。こんな風に教育を受ける機会をいただいて、感謝しているんです。それに、先生は、私がどんなにミスをしても、無視をしたり笑ったりなさらないでしょう? それどころか、うまくできたときは褒めてくださる。私、それがとても嬉しいんです。それに、公爵様のお屋敷の皆様が、とても優しくて……」
心が安らぐハーブティーの香りが、お茶と共に体にしみわたる。間違いなく、フェルミにとって今は極上の幸せの中だ。心からそういう彼女を見て、侍女や騎士たちはますます心配になりつつも、心が温かくなった。
「フェルミさん、今日は町に出かけないか?」
「カインさん。でも……よろしいのでしょうか?」
「さっき、課題を出されたんだったな。勉強も、フェルミさんにとって大事で貴重なものだとは思うが、フェルミさんはフレイム国を冒険したかったのだろう? ひとつも覚えていなくても、普段は真面目なんだ。先生だって、たまの息抜きぐらい許してくださるさ。社交以外だと、ひと月に二度しか外出していないじゃないか。前回は、シアノに連れて行ってもらったのだから、今日は俺が案内する」
「シアノとピスティのふたりとの外出では、物足りない部分もあったのでは? 今日は私もおりますので、少々日が沈むまで外出していただいても構いませんよ。今日はさぼりましょうか」
「ランサミさんまで……ふふふ」
見れば、侍女たちも笑顔で頷いている。たしかに、カヴァネスも毎回課題を100%できていなくても構わないと言ってくれていた。
「じゃあ、夕食の時間まで、いいですか?」
フェルミがカインの提案に乗ると、侍女たちに外出用のおしゃれをしてもらった。
昼のフレイム国は、グリーン国とは比べ物にならないほど暑い。やや明るい朱色のワンピースは、フェルミの髪によく似合っている。膝より少ししたのスカートたけは、風でふんわりゆれるほど生地が薄く心地よかった。
日よけのための大きなつばの帽子にはリボンが巻かれており、フェルミを清楚な令嬢に見せていた。
「ランサミ、邪魔するなよ?」
「私は、もともと職務を全うするためにここにいます。コーパ団長のもう一つの任務は、カインさんや、ほかの連中にまかせますからご安心を」
「そこは、俺だけに任せると言えよ。そういえば、お前は意中の相手がいたんだったっけな。ぼうっとしてると、横からかっさらわれるぞ?」
「気軽に言ってくれますね。そっくりそのままお返しします」
彼らの、というよりもフレイム国の思惑は、知らされていない。ふたりのやり取りの内容など、まったく知らないフェルミは、純粋に彼らが仲が良いと思っている。
彼らに近づくと、カインが手を差し伸べてきた。熱い太陽の光に照らされて、彼の髪が火のようにゆらめいている。眩しく感じて、目を細めた。
「フェルミさんは、カインと一緒に馬車にお乗りください」
ランサミはそう言うと、自分だけ愛馬に跨った。日中の大通りで、フェルミにならず者が近づく可能性は低い。カインは彼なりの塩を受け取って、フェルミとともに馬車に乗る。当然のように、向い合わせではなく隣に。
「フェルミさん、どこか行きたい場所はあるか?」
「えーと、先生からお聞きしたのですが、今博物館でブロック国の彫刻展が開催されているそうなんです。行けるのならそちらに行きたいです」
「それなら近いし、このまま行こう」
フェルミは、最初はこのように要望を伝えることはなかった。お願いしたとしても、ごく普通の事ばかりで、カインや騎士たち、侍女たちは歯がゆい思いをしていた。
毎日何がいいのか、どうしたいのか、問いかけを彼らが繰り返してくれたことで、徐々に行きたい場所や好きなものなどを口に出せるようになったのである。
期間限定ということもあり、国立博物館には、大勢の人が思い思いに観覧していた。繊細で美しい彫刻や、巨大で力強い神を模したものまである。
「あ、あれは……」
フェルミは、博物館の中央に飾られていた彫刻に目を奪われた。それは、グリーン国の女神をかたどったものだ。目を閉じて、全てのものに命を吹き込む自愛あふれた笑みを浮かべている。
「女神様……」
あれから、フェルミは社交だけでなく様々な場所で、植物を枯らす仕事もこなしていた。例えば、機械の細部に入り込んだつるや、生えてはいけない場所に群生する毒草などがそうだ。それらは、焼き払っても機械が破損し、土には根が残る。フェルミは、彼女のおかげで機械や大地を傷つけず排除することができた領主や商売人からも圧倒的支持を得たのであった。
(女神様、どうして私にこのようなスキルをお与えになられたのでしょうか……)
勿論返事などない。フェルミの問いは、目の前の彫刻を超え、遥か向こう側の女神に届きはしない。フェルミは、ただ、平凡で当たり前の人生を送りたかっただけだ。だというのに、産まれてから今日まで、本当の意味で彼女の望みが叶ったことがあるだろうか。
ぴたりとフェルミの隣にいるカインには、じっと女神の像を見つめる彼女の横顔は、静かでとても悲しそうに見えたのだった。
本の知識のみでは困る場面も多く、彼女のためにガヴァネスなど教育係や、社交中の保護者がつけられた。
彼女たちのサポートのおかげもあり、今のところは無事にお茶会などをこなしている。
「では、次は風の国の詩集を読んでみてください。次回のお茶会は、ブリーゼ国出身の侯爵夫人が開かれます。そこでは、詩集を読み合うのですが、フェルミさんはブリーゼ国の言語がわかりますか?」
「文字は、風の国の小説を読んだことがありますので理解できます。ですが、聞くのも話すのもしたことがありませんので、できないと思います」
「では、単語や文章はおわかりなのですね。お茶会は3週間後ですから、できる範囲でいいので、聞くことができるようにしましょう。ただ、ひとつの詩くらいは詠めたほうがいいわね」
「はい、よろしくお願いいたします」
急ピッチの厳しい教育スケジュールだったが、フェルミはとても楽しかった。どれも初めてのことばかりで、しかも、勉強の合間に各国の色んなことを知ることが出来る。
「おおきナ、そぉら、ガ。ギャ、そぉらに、クも、ギャ、」
「末尾まで丁寧に舌を動かして。大きな空に雲が、ですよ」
「おぉきな、そ、らにィ」
ガヴァネスは、フェルミの上達に舌を巻いていた。これほど真面目に、勉強に取り組む令嬢はあまりいない。侯爵夫人のお茶会で、ブリーゼ語の詩集を理解できる令嬢は半分くらいだろう。
(一体、どのほどの外国の原書を読んできたのかしら……。独学だったらしいけれど、筆記はほぼ満点だなんて。何も知らないから子供を教えるつもりでと言われて引き受けたのだけれどとんでもない。この子は、半年もしないうちに、上級家のご令嬢とほぼ同じのマナーや知識を身に着けることができるわ)
砂が水を吸い込むように、教えがいのある生徒だ。ガヴァネスは、嬉しくなり、当初の予定よりも早くフェルミに教え込んでいった。
カインや騎士たちだけでなく、公爵家の使用人たちも、貴族令嬢の教育について知っている。ガヴァネスの教育方針が、かなり厳しいとフェルミを心配していた。
「はい、今日はここまで。明日までに、この詩集を、全て暗記しておいてください」
「はい」
ガヴァネスが帰宅したあと、侍女がフェルミにお茶とマフィンを差し出した。その間にも、フェルミは詩集を口ずさんでいる。
「フェルミ様、あまり根をおつめになられなくても。フェルミ様は遠慮しすぎだと思います。このままでは、倒れてしまいます。差し出がましいとは思いますが、私が、先生に話を……」
「大丈夫です。本当に楽しくて。こんな風に教育を受ける機会をいただいて、感謝しているんです。それに、先生は、私がどんなにミスをしても、無視をしたり笑ったりなさらないでしょう? それどころか、うまくできたときは褒めてくださる。私、それがとても嬉しいんです。それに、公爵様のお屋敷の皆様が、とても優しくて……」
心が安らぐハーブティーの香りが、お茶と共に体にしみわたる。間違いなく、フェルミにとって今は極上の幸せの中だ。心からそういう彼女を見て、侍女や騎士たちはますます心配になりつつも、心が温かくなった。
「フェルミさん、今日は町に出かけないか?」
「カインさん。でも……よろしいのでしょうか?」
「さっき、課題を出されたんだったな。勉強も、フェルミさんにとって大事で貴重なものだとは思うが、フェルミさんはフレイム国を冒険したかったのだろう? ひとつも覚えていなくても、普段は真面目なんだ。先生だって、たまの息抜きぐらい許してくださるさ。社交以外だと、ひと月に二度しか外出していないじゃないか。前回は、シアノに連れて行ってもらったのだから、今日は俺が案内する」
「シアノとピスティのふたりとの外出では、物足りない部分もあったのでは? 今日は私もおりますので、少々日が沈むまで外出していただいても構いませんよ。今日はさぼりましょうか」
「ランサミさんまで……ふふふ」
見れば、侍女たちも笑顔で頷いている。たしかに、カヴァネスも毎回課題を100%できていなくても構わないと言ってくれていた。
「じゃあ、夕食の時間まで、いいですか?」
フェルミがカインの提案に乗ると、侍女たちに外出用のおしゃれをしてもらった。
昼のフレイム国は、グリーン国とは比べ物にならないほど暑い。やや明るい朱色のワンピースは、フェルミの髪によく似合っている。膝より少ししたのスカートたけは、風でふんわりゆれるほど生地が薄く心地よかった。
日よけのための大きなつばの帽子にはリボンが巻かれており、フェルミを清楚な令嬢に見せていた。
「ランサミ、邪魔するなよ?」
「私は、もともと職務を全うするためにここにいます。コーパ団長のもう一つの任務は、カインさんや、ほかの連中にまかせますからご安心を」
「そこは、俺だけに任せると言えよ。そういえば、お前は意中の相手がいたんだったっけな。ぼうっとしてると、横からかっさらわれるぞ?」
「気軽に言ってくれますね。そっくりそのままお返しします」
彼らの、というよりもフレイム国の思惑は、知らされていない。ふたりのやり取りの内容など、まったく知らないフェルミは、純粋に彼らが仲が良いと思っている。
彼らに近づくと、カインが手を差し伸べてきた。熱い太陽の光に照らされて、彼の髪が火のようにゆらめいている。眩しく感じて、目を細めた。
「フェルミさんは、カインと一緒に馬車にお乗りください」
ランサミはそう言うと、自分だけ愛馬に跨った。日中の大通りで、フェルミにならず者が近づく可能性は低い。カインは彼なりの塩を受け取って、フェルミとともに馬車に乗る。当然のように、向い合わせではなく隣に。
「フェルミさん、どこか行きたい場所はあるか?」
「えーと、先生からお聞きしたのですが、今博物館でブロック国の彫刻展が開催されているそうなんです。行けるのならそちらに行きたいです」
「それなら近いし、このまま行こう」
フェルミは、最初はこのように要望を伝えることはなかった。お願いしたとしても、ごく普通の事ばかりで、カインや騎士たち、侍女たちは歯がゆい思いをしていた。
毎日何がいいのか、どうしたいのか、問いかけを彼らが繰り返してくれたことで、徐々に行きたい場所や好きなものなどを口に出せるようになったのである。
期間限定ということもあり、国立博物館には、大勢の人が思い思いに観覧していた。繊細で美しい彫刻や、巨大で力強い神を模したものまである。
「あ、あれは……」
フェルミは、博物館の中央に飾られていた彫刻に目を奪われた。それは、グリーン国の女神をかたどったものだ。目を閉じて、全てのものに命を吹き込む自愛あふれた笑みを浮かべている。
「女神様……」
あれから、フェルミは社交だけでなく様々な場所で、植物を枯らす仕事もこなしていた。例えば、機械の細部に入り込んだつるや、生えてはいけない場所に群生する毒草などがそうだ。それらは、焼き払っても機械が破損し、土には根が残る。フェルミは、彼女のおかげで機械や大地を傷つけず排除することができた領主や商売人からも圧倒的支持を得たのであった。
(女神様、どうして私にこのようなスキルをお与えになられたのでしょうか……)
勿論返事などない。フェルミの問いは、目の前の彫刻を超え、遥か向こう側の女神に届きはしない。フェルミは、ただ、平凡で当たり前の人生を送りたかっただけだ。だというのに、産まれてから今日まで、本当の意味で彼女の望みが叶ったことがあるだろうか。
ぴたりとフェルミの隣にいるカインには、じっと女神の像を見つめる彼女の横顔は、静かでとても悲しそうに見えたのだった。
10
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる