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55 恋人たちのクリスマスは聖なる幸せをもたらす⑥ ~R18

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 ぽろり

 目じりから涙が一筋零れる。それを見た彼が、さっきまでとても幸せそうに気持ちよさそうにしていたのに、一瞬で狼狽えてしまった。

「シ、シンディ。ごめん、ごめんね」
「いいの……。ヨール、もっとぎゅってして」

 体中全てを彼の中に入れて欲しい。彼にも、もっと全部を入り込んで欲しくて。つながった部分以外の肌を隙間の無いように上から抱きしめてくれたのがとても嬉しい。

「……はぁ……」

「ヨールさま、動いて……」

 このままでは彼は辛いはずだ。ここから男性が吐き出すまで愛し合う行為が終わらないと侍女から聞いている。そして、この痛みも徐々に治まって来ることも。

「でも」

「動いて欲しいの。お願い、ヨール」

 愛しい妻の、健気で可愛らしいおねだりに、なるべく痛くないようにゆっくりとヨークトールの腰がずりずりと引き抜かれていった。

「ん……、大丈夫そう。だから、ね、お願い」

「シンディ……、ああ。ごめん。でも、出て行こうとしたら引き留めてきて……。気持ち、い」

 もうすぐ抜け出そうなほど、長く抜かれたかと思えば、擦りあう熱い粘膜を再び押していくように入ってくる。奥まで来たと思っても、まだぐりぐりと腰を回されてしまうと、痛みだけでないぞわりとした感覚がそこから生まれた。

「あ……」

「ここ、気持ちいい? シンディにも気持ちよくなって欲しいんだ。ほら、こうすると中がきゅってなるよ」

「ん……、わからない……」

 こちらの事はいいのに、少しでも気持ちよくなって欲しいからと、ゆっくり動きながら確かめるようにいろんな動きをされてしまった。

「……、はぁ、はぁ……。少し、速く動いていい?」

「はい。もっと強くしてください」

「ごめんね。すぐ終わると思うから……」

 徐々に腰の動きが速くなるにつれて、肌のぶつかり合う音と、沢山溢れ出た液が弾けるいやらしい音が大きくなる。その音が、羞恥と幸福を運んできて、痛みを忘れさせてくれた。

 中にある彼の切っ先が奥に届く。一番大きく肌を打つ音がするとぶわっと大きくなったのか圧迫感を感じて息を詰めた。彼の胸も呼吸の動きがなくなっている。

「う……、シンディ。受け止めて」
「ああ、ヨール。ヨール……!」

 シンディにはそれほど快楽は生じていないけれど、その状況と彼の気持ちよさそうな声に反応して、今までで一番の幸せな瞬間が訪れた。

 複数回に分けて全てを吐き出し終わった彼がぴたりと動きを止めて、詰めていた呼吸を再開する。

「シンディ、かわいい。言葉では言い足らないくらい愛しているよ」
「わたくしも、ヨールを愛しています」

 そっと、硬度のやや落ちた大きなものを引き抜かれた。腕枕をするように、彼が上から横に移動して抱きしめられる。

 お腹の下のほうに、手を当てて、ここにヨールのが入っていたのかと思うと感慨深い。とてつもない多幸感とともに胸がきゅっとすると、彼の残してくれた体の奥にある熱がどろりと流れ出たのを感じて焦ってしまった。

「あ……」
「シンディ? どうしたの?」
「あ、あの……、その……」

 中からヨールのが出て来たとはとても言えなくて、耳まで真っ赤にしながら俯いてしまった。

「あ……。そうか」

 気づいてくれたようでほっとしたのも束の間で、裸のまま横抱きにされると、寝室から風呂らしき場所に連れていかれた。

「ヨール?」
「体を綺麗にしようか。この辺りの地域はね、シンディの住む都市と違って浴槽に浸からないんだ。熱い霧で汚れを落とすんだよ」
「熱い霧?」
「慣れていないと息苦しいかもしれない。びっくりしないでね?」

 ヨークトールがそういうと、あっという間にミストが立ち込める。びっくりするなと言われたが驚いて彼にしがみ付いた。

「シンディ、ちょっと座るよ」

 少し、息苦しかったのも徐々に慣れて来た。座った彼の逞しい太ももの上に横抱きにされて、汗を拭きとられていく。ぐらつきなんて少しもない。安心して彼の広い胸板にうっとりもたれかかりなすがままにされた。

「熱すぎない?」

「はい、気持ちがいいです」

 汗を流しているはずなのに、ミストなのかもしれないけれど新しい汗の玉が現れる。

「僕の奥さん、奥さんかあ。僕ね、とても嬉しい。だって、絶対に手に入れられないってこの一年悲しかったから。今でも信じられないけど。ほんとなんだね」

「ヨール。わたくしも、諦めていましたから同じ気持ちです……。ただ、その。恥ずかしいです……。ヨールは、とても逞しくて、素敵で、かっこいいから……」

「かわいい。そんな風に言うのはシンディだけだね。愛しているよ」

 裸で触れ合う事が急にとてつもなく恥ずかしくなって照れてしまう。ヨークトールはそんな無垢で純粋な彼女の顔中にキスを落として喜んだ。

 太ももに、たらりと彼女の愛液と自分の白濁が落ちて来たのを悟ると、手をそっと差し入れてソコも綺麗にしていった。

「あ、や。そこは、自分で綺麗にしますから、あん」
「……、自分で? じゃあ、自分でして見せて?」
「……! 意地悪ですねっ!」

 シンディはなんて事を言う意地悪な夫の頬を軽くつねった。痛くない妻の攻撃に、満面の笑顔で幸せを噛みしめる。

「なら、大人しくじっとしていてね?」
「……もう」

 とうとう顔を両手で隠されてしまい、このまま襲い掛かりたいのをぐっとこらえて全身を綺麗にしたあとベッドに戻った。

 不思議と湯船につかるよりも、すべすべになった肌と体の芯から温まった事に驚きつつ、心身ともに疲れ果てたシンディは、ヨークトールの腕の中で幸せそうに目を閉じたのであった。
 
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