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小話 ガチャの中身の正体は……① R18弱 全3話

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「ぴ、ぴぅ、ピューイッ!」

 毛玉ちゃんが、虹色ピュヨコと一緒に小さな体をくるくる回転させてご機嫌で踊っている。

「まあ、ふふふ。かーわい~」

 シンディは、仕事の合間の小休止中だ。お茶を飲みながら微笑み、忙しなかった心を慰める。

 すると、はしゃぎすぎた毛玉ちゃんが、以前ガチャから出て来たグッズを大切に保管している箱を落としてしまう。落ちた箱から出て来たのは、ねこじゃじゃらしと、顔面の下半分だけの人体模型だ。

「まあ、なつかしい。毛玉ちゃんたち、これで遊ぶかな? ほ~ら……、……?」

 猫を模った棒を手に持ち、遊び続ける毛玉ちゃんと虹色ピュヨコに向けて振った。

「……え?」

 シンディは、驚愕してヨークトールが〈ねこじゃじゃらし〉だと説明したそれの、猫じゃないほうの端を凝視した。

「…………」

 ヨークトールと結婚してからもうすぐ一年になる。お互い、知らない所はないほど愛し合い肌を重ねて来た。昨夜だって、胸に彼の雄々しい象徴をはさみながら、ものすごく喜んでくれるので口と舌を使って愛したばかり。

 マジマジと、キャノコのようなそれを色んな角度で見続けていると、ドアが開きヨークトールが入って来た。

『あーぁ。だからちゃんとシンディに話せって言ったのに』

 虹色ピュヨコは、〈ねこじゃじゃらし〉の使用方法を察していた。初めてそのグッズを見るが、説明など聞かなくてもそれが何を模っているのかなどすぐにわかるのだから。
 残念ながら、虹色ピュヨコの声は、ヨークトールには聞こえない。
  因みに今の言葉は、シンディが思考停止しているため聞こえていないだけで、シンディだけにはその耳には届いている。

『毛玉ちゃん、外に遊びにいこっか』
『ピ?』

 毛玉ちゃんは、シンディの持つグッズに興味津々で遊ぶ気満々だ。虹色ピュヨコの言葉を背に、シンディの側で彼女と一緒に〈ねこじゃじゃらし〉を見ていた。

 シンディの真っ白になった思考が徐々に回復していくと同時に、彼女の体が震え出し、顔が真っ赤になっていった。毛玉ちゃんは、シンディのそのただならぬ様子が心配で顔の近くに移動した。

 すると、毛玉ちゃんの毛先が、ヨールにどういう事なの問いただそうと立ち上がった彼女の唇にそっと触れてしまう。

『あ……。……しーらないっ』

「あっ!」

「あ!」

「ピッ!」

 虹色ピュヨコは、これから起こるだろう修羅場の気配を察してすぐさま部屋を出て行った。

 ヨークトールは、シンディが〈ねこじゃじゃらし〉を持ち呆然としているのを見て、ついにその正体がバレたと思い、どう説明していいのかわからなくなっていた。でも、卑猥なグッズを持つ妻もいろっぽくてたまんないななど、考えが滅茶苦茶で完全にパニックになっている。

 シンディは、キスで変貌してしまう毛玉ちゃんとキスした事に気付いて狼狽えた。ヨークットルに〈ねこじゃじゃらし〉の事を伝えて叱る事などすっかり思考の遥か彼方先に飛んで行ってしまっていた。

 毛玉ちゃんは、勿論、シンディのキスを受けて瞬く間に変化して震え出す。

「「あ……」」

 シンディたちは、触手をしゅるしゅる伸ばして、先にある毛先を震わせて主人を襲いだした毛玉ちゃんに対して微動だにできないままであった。



※※※※




「いやあん! 毛玉ちゃん、やめてぇ!」

 身じろぎしながら、はしたなく唇を開けて涎が口角から垂れ落ちる。毛玉ちゃんから伸びた触手が、うねるように彼女の服の中に潜り込み、その毛筆のような毛先が肌を擽った。
 初めてその姿を見せた時には幼体だった毛玉ちゃんは、すでに人間でいう所の20歳前後だ。主人の悦びが、擽って生じる感覚だけでない事を知っていた。

 先ずは、耳の中に入り込みこしょこしょとそこを撫でる。体の中に音ともに感覚までがダイレクトに伝わった。そちらに集中していると、胸の尖りにたどり着いた一本が、彼女の右の胸の赤いものを触り出す。

「あ、ああ! や、やあ……。ヨール、とって、とってぇ……!」

「シンディ……!」

 ヨークトールは、一瞬で淫らに踊り出す愛しい妻を見て、下半身に血流が集中した。熱く硬い自身が、もっと天高くその鎌首を持ち上げたいのに、生地が邪魔をして変な方向に切っ先が移動していく。いますぐ、この狭い場所から解き放てとばかりに、彼女の艶めいた声がそこを大きくして生地を押し出そうとしていった。

 ヨークトールは、すぐさま性感帯を毛先でくすぐられ、触手でこねられてバランスを失い倒れそうになったシンディを抱える。

「毛玉! おい! やめろ。今は昼だし! 夜じゃないからっ!」

「ピ?」

 毛玉ちゃんは、ヨークトールの大きな声に一瞬全ての動きを止めた。主人の、赤く染まった顔と、蕩けて潤んだ瞳を見て一声鳴いた。

 シンディは、快楽に溺れそうになりながらも、昼とか夜とかそんな問題じゃない! と、ヨークトールに抗議したくても、口から出るのは嬌声だけだ。

「ピーゥ!」

 毛玉ちゃんは、シンディの、ヨークトールへの不満の色を感じ取った。そして、今の動きが不満なのかと勘違いした。

まかせてね、もっと気持ちよくしてあげるから

と、言わんばかりに、触手がより一層激しさを増してシンディの性感帯を擽り出す。毛玉ちゃんは、主人が色めいた声をあげ悦んでくれて満足げにルンルン気分でぶわっと体を膨らませている。

よーし、もっとがんばるぞ

と、更に張り切って触手の本数を増やした。

「ああ、あ! や! け、毛玉ちゃぁん! そこは……んんっ!」

 両方の胸の尖りに、触手をくるりと巻き付かれて、先端の存在を際立たせた。毛先が触れるか触れないかくらいの距離で、そこが引っ搔くようになぞられて、シンディは胸を反らしてのけぞったのである。

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