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死の危険と隣り合わせの至福のひと時に R15 出番はマロウでした。幸せモノローグ回です。
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ふに
ふに、ふに
ふに、ふに、ふに
なんという事だ。夢幻が魅せる幻覚か何かのような、言葉に出来ないほどの至福の感触が両頬に当たる。俺はうっとりと、本能のままにまかせて彼女の香りとそれを堪能してしまった。
彼女は俺の事をローズ嬢だと勘違いしているだけで、胸に抱え込んでいるのがむさ苦しい男だなんてこれっぽっちも思っていないだろう。勘違いだ。すぐに正体を明かして、破廉恥な行為をやめなくては、このままでは俺は痴漢の汚名を着せられてしまうかもしれない。
いや、まてよ……?
俺はローズ嬢の親戚でもあるし、同じ学園で、しかも汚泥にまみれているとはいえ有名人であるチェリー嬢の婚約者だ。彼女が俺を知らないはずはない。
俺の頭は、どう見てもローズ嬢とは似ても似つかないのだ。ひょっとしたら、なんとなく俺と知っていて抱きしめてくれているのかもしれない。
馬鹿な事をと自分でも思う。純情可憐な、俺のビオラがそんな偶然にかこつけてこのような大胆な行動をするはずはないのにと思うが、こんな状況で、どうやったら冷静で懸命な判断が出来るというのだろう。
どうしてもここから離れるのが嫌で、俺も両手で彼女の体に抱き着こうと手を挙げた。
素晴らしくもけしからん、このおっぱいは俺だけのものだ。
すでに俺の中では、元婚約者は殿下の子を身ごもったので彼と結婚した後だ。
身綺麗になった俺が求婚した時、実は俺を好きだったと顔を赤らめて応えてくれる彼女のなんと可愛らしい事だろう。
元婚約者のせいで、あらぬ噂にまみれた俺を快く受け入れてくれたのである。
幾多の苦難を乗り越えたある晴れた日に、彼女が微笑みながら純白のウェディングドレスを身にまとい、俺の家の家宝である侯爵夫人に与えられるイヤリングとネックレス、そしてリングの三点セットをつけてくれている。
結婚の披露を無事に果たした俺たちは、新婚夫婦のために与えられた寝室で改めて生涯の愛を誓い合うのだ。そして、恥ずかしがる彼女のネグリジェを優しくそっとはぎとって、それから……
妄想という名の夢のような彼女との幸せな初夜を思い描こうとした時、ふーっと意識が遠のくのを感じた。忘れていたが、俺は今、頬どころか、やわらかい魅惑のふたつの山で、鼻も口も塞がれていて呼吸が出来ない。
心も頭も幸せいっぱいで、このまま浸りたいというのに、体が危機を感じて俺にしっかりしろと叱咤するかのように、息苦しくなった。
ひょっとしたら、天に旅立つ直前の体が見せてくれた幸せな未来図だったのかもしれない。
非常に残念だがもう限界だった。死んでしまっては、そんな夢も潰えるのだ。
こっそり、おっぱいに手を添えて、もっとふにふにさせようとした俺の穢れた邪な下心はものの見事に消え去り、胸ではなく腕に手を当てたのである。
彼女が、胸に抱えているのがローズ嬢でなく俺だと知ると、ぽかーんと呆けてしまった。俺が息を荒げて呼吸を整えた後も、完全にキャパがオーバーな状態が続いているようだった。
抱えられていた腕がゆるむが、やんわりと囲われたままだ。力がほとんど入っていないから抜け出そうと思えば抜け出せるのだが、なぜかそのまま、自己紹介を始める。
胸元にいるのは、他意はない。ちょっとしか。もう少し、彼女の香りに包まれて、ちょんっとあたるくらいではあるが、肌に触れていたいなんて、砂粒程しか思っていない。
俺よりも混乱して頭が全く働いていなさそうだ。だが、だからこそ彼女から出た言葉には嘘偽りがないと確信する。
なんと、彼女は俺の事を知っていたというではないか。先ほどの俺の願望が見せた夢の続きなのだろうか。
陶酔のまま、危うく頭の中で彼女を穢すところだったと、内心冷や汗が流れる。
現実のこの状況は、俺にとっては幸せしかないのだが、純情な俺のビオラが我に返ったら泣いてしまうかもしれない。彼女を悲しませたくはない。
「ビオラ嬢、その……そろそろ腕を……」
どうしたものかと考えあぐね、強引に俺から出るのではなく、彼女を怖がらせないようにそう言った。
「え? は? ……や、やだ、どうしましょう。もっももも、申し訳ございません! マロウ様になんという事を……わたくし、みっともない物を……」
「い、いや。その、そんな風に謝罪をせずとも。こちらの方こそ、ビオラ嬢に失礼な状況のまま……」
「で、ですが、わたくしが抱きしめてしまったのですよね? 完全に我を失っていたとはいえ見苦しい物を…… とんでもない事でございますっ! どうしたら……。わ、わたくし、責任を取らせていただきますわ!」
「いや、だから。ビオラ嬢は悪くはないし、みっともなくも見苦しいわけでもない。それどころか、素晴らし……んっ。いや、その……。不埒な真似をしたのは私なのだから顔をあげてくれないか?」
彼女から抱きしめてくれたので、俺が謝罪する謂れはないのかもしれないが、後半は敢えて俺もそこにいさせてもらった負い目がある。恋人同士でもなんでもない、単なる知っている人というだけの俺たち。これから、さっきまで夢見た将来に向けて行動しようとは思うが……。
「そんな事はございませんわ。マロウ様は、わたくしをここまで運んでくださり介抱してくださったというのに……わたくし、このままマロウ様のご厚意に甘えてばかりでは家に帰れません」
どう考えても俺のほうに非があるだろう。彼女は自失していたし不埒な真似をしたのはこちらだ。気にするなと言おうとした。
だが、待てよ……?
「ビオラ嬢」
「は、はい……」
かわいそうに、ションボリして目尻に涙が浮かんでいる。羞恥と罪悪感でいっぱいなのだろう。
そんな顔もかわいいなあって思いながら、彼女の言う通りにしたほうが、心の重荷を軽くできるかと判断した。それに、そのほうが彼女との折角出来た縁を切らずに済むだろうし、これからのふたりの未来に向かって少しずつ距離を縮めていける。
「本当に、気にしなくていいのだが、それほど言うなら責任を取ってもらってもいいかな?」
「は、はい……。何をすればよろしいでしょうか?」
「いやなに。簡単な事だ」
俺は安心させるようににっこり微笑みながら、彼女に先ほどの証人になるようにお願いする事にしたのだ。他人の情事を見ただなんて証言、どうやって頼もうか覗いている時に悩んでいたがこれで解決だ。
責任を取って貰おうじゃないか。その後だって、俺がちゃーんと責任を取るから問題はないよな。
ふに、ふに
ふに、ふに、ふに
なんという事だ。夢幻が魅せる幻覚か何かのような、言葉に出来ないほどの至福の感触が両頬に当たる。俺はうっとりと、本能のままにまかせて彼女の香りとそれを堪能してしまった。
彼女は俺の事をローズ嬢だと勘違いしているだけで、胸に抱え込んでいるのがむさ苦しい男だなんてこれっぽっちも思っていないだろう。勘違いだ。すぐに正体を明かして、破廉恥な行為をやめなくては、このままでは俺は痴漢の汚名を着せられてしまうかもしれない。
いや、まてよ……?
俺はローズ嬢の親戚でもあるし、同じ学園で、しかも汚泥にまみれているとはいえ有名人であるチェリー嬢の婚約者だ。彼女が俺を知らないはずはない。
俺の頭は、どう見てもローズ嬢とは似ても似つかないのだ。ひょっとしたら、なんとなく俺と知っていて抱きしめてくれているのかもしれない。
馬鹿な事をと自分でも思う。純情可憐な、俺のビオラがそんな偶然にかこつけてこのような大胆な行動をするはずはないのにと思うが、こんな状況で、どうやったら冷静で懸命な判断が出来るというのだろう。
どうしてもここから離れるのが嫌で、俺も両手で彼女の体に抱き着こうと手を挙げた。
素晴らしくもけしからん、このおっぱいは俺だけのものだ。
すでに俺の中では、元婚約者は殿下の子を身ごもったので彼と結婚した後だ。
身綺麗になった俺が求婚した時、実は俺を好きだったと顔を赤らめて応えてくれる彼女のなんと可愛らしい事だろう。
元婚約者のせいで、あらぬ噂にまみれた俺を快く受け入れてくれたのである。
幾多の苦難を乗り越えたある晴れた日に、彼女が微笑みながら純白のウェディングドレスを身にまとい、俺の家の家宝である侯爵夫人に与えられるイヤリングとネックレス、そしてリングの三点セットをつけてくれている。
結婚の披露を無事に果たした俺たちは、新婚夫婦のために与えられた寝室で改めて生涯の愛を誓い合うのだ。そして、恥ずかしがる彼女のネグリジェを優しくそっとはぎとって、それから……
妄想という名の夢のような彼女との幸せな初夜を思い描こうとした時、ふーっと意識が遠のくのを感じた。忘れていたが、俺は今、頬どころか、やわらかい魅惑のふたつの山で、鼻も口も塞がれていて呼吸が出来ない。
心も頭も幸せいっぱいで、このまま浸りたいというのに、体が危機を感じて俺にしっかりしろと叱咤するかのように、息苦しくなった。
ひょっとしたら、天に旅立つ直前の体が見せてくれた幸せな未来図だったのかもしれない。
非常に残念だがもう限界だった。死んでしまっては、そんな夢も潰えるのだ。
こっそり、おっぱいに手を添えて、もっとふにふにさせようとした俺の穢れた邪な下心はものの見事に消え去り、胸ではなく腕に手を当てたのである。
彼女が、胸に抱えているのがローズ嬢でなく俺だと知ると、ぽかーんと呆けてしまった。俺が息を荒げて呼吸を整えた後も、完全にキャパがオーバーな状態が続いているようだった。
抱えられていた腕がゆるむが、やんわりと囲われたままだ。力がほとんど入っていないから抜け出そうと思えば抜け出せるのだが、なぜかそのまま、自己紹介を始める。
胸元にいるのは、他意はない。ちょっとしか。もう少し、彼女の香りに包まれて、ちょんっとあたるくらいではあるが、肌に触れていたいなんて、砂粒程しか思っていない。
俺よりも混乱して頭が全く働いていなさそうだ。だが、だからこそ彼女から出た言葉には嘘偽りがないと確信する。
なんと、彼女は俺の事を知っていたというではないか。先ほどの俺の願望が見せた夢の続きなのだろうか。
陶酔のまま、危うく頭の中で彼女を穢すところだったと、内心冷や汗が流れる。
現実のこの状況は、俺にとっては幸せしかないのだが、純情な俺のビオラが我に返ったら泣いてしまうかもしれない。彼女を悲しませたくはない。
「ビオラ嬢、その……そろそろ腕を……」
どうしたものかと考えあぐね、強引に俺から出るのではなく、彼女を怖がらせないようにそう言った。
「え? は? ……や、やだ、どうしましょう。もっももも、申し訳ございません! マロウ様になんという事を……わたくし、みっともない物を……」
「い、いや。その、そんな風に謝罪をせずとも。こちらの方こそ、ビオラ嬢に失礼な状況のまま……」
「で、ですが、わたくしが抱きしめてしまったのですよね? 完全に我を失っていたとはいえ見苦しい物を…… とんでもない事でございますっ! どうしたら……。わ、わたくし、責任を取らせていただきますわ!」
「いや、だから。ビオラ嬢は悪くはないし、みっともなくも見苦しいわけでもない。それどころか、素晴らし……んっ。いや、その……。不埒な真似をしたのは私なのだから顔をあげてくれないか?」
彼女から抱きしめてくれたので、俺が謝罪する謂れはないのかもしれないが、後半は敢えて俺もそこにいさせてもらった負い目がある。恋人同士でもなんでもない、単なる知っている人というだけの俺たち。これから、さっきまで夢見た将来に向けて行動しようとは思うが……。
「そんな事はございませんわ。マロウ様は、わたくしをここまで運んでくださり介抱してくださったというのに……わたくし、このままマロウ様のご厚意に甘えてばかりでは家に帰れません」
どう考えても俺のほうに非があるだろう。彼女は自失していたし不埒な真似をしたのはこちらだ。気にするなと言おうとした。
だが、待てよ……?
「ビオラ嬢」
「は、はい……」
かわいそうに、ションボリして目尻に涙が浮かんでいる。羞恥と罪悪感でいっぱいなのだろう。
そんな顔もかわいいなあって思いながら、彼女の言う通りにしたほうが、心の重荷を軽くできるかと判断した。それに、そのほうが彼女との折角出来た縁を切らずに済むだろうし、これからのふたりの未来に向かって少しずつ距離を縮めていける。
「本当に、気にしなくていいのだが、それほど言うなら責任を取ってもらってもいいかな?」
「は、はい……。何をすればよろしいでしょうか?」
「いやなに。簡単な事だ」
俺は安心させるようににっこり微笑みながら、彼女に先ほどの証人になるようにお願いする事にしたのだ。他人の情事を見ただなんて証言、どうやって頼もうか覗いている時に悩んでいたがこれで解決だ。
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