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専用アイテム①
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「やれやれ、やっと事情聴取が終わったよ」
「長かったわね。あたしたちが使った魔法が聞いたことがない魔法だったみたいで、やけに興奮していたわね」
「そうだね。まあ、詳細は教えなかったけどね」
「あれでいいのよ、きっと」
ようやくギルドマスターのラファエロさんから解放されて、冒険者ギルドをあとにした。辺りはすでに暗くなり始めていた。これは夕食を食べてから宿に帰った方が良いかも知れないな。
「今日は親子丼を食べるぞ」
「そうしましょう。楽しみだわ!」
親子丼はおいしかった。リリアいわく、出汁が良く利いていたそうである。俺には良く分からなかった。
「おや、フェルさん、早かったですね」
宿屋なごみに到着すると、店主が笑顔で迎えてくれた。
「ええ、運良くすぐに目的の魔物が現れてくれましてね」
「一体、何を倒しに行ったのですか?」
「海の悪魔ですよ」
「海の悪魔ですって!? 良くアレを倒せましたね。東方でも倒せたと言う話を聞いたことがないですよ」
店主は俺たちが海の悪魔を倒したことにとても驚いていた。どうやら東方の海でも出没するようである。思ったよりも海は危険なのかも知れない。
宿で追加の料金を支払ってから鍵を受け取る。部屋に入ると、畳の香りが待っていた。
「うーん、この香り、癖になりそう。さてと、お風呂に入るとしよう」
「そうね。クリーン・アップの魔法を使ってもらったけど、なんだかベタベタする感じだもんね」
「お湯は……魔法で済ませちゃおうか」
「そうしましょうか」
魔法でヒノキの浴槽に水を満たすと、火魔法を使って慎重に水の温度を上げていく。数分とかからずにお風呂のお湯が沸いた。
すでに浴衣に着替えていたリリアがスポーンと服を脱いでお風呂場に突入していった。相変わらず元気だね。
俺もすぐにお風呂に入って体を洗うと湯船につかった。もちろんリリアの体も洗ってあげた。
「依頼が思ったよりも早く片づいて良かったね」
「運が良かったわね。何日もお風呂に入られないかと思っていたわ」
リリアがパチャパチャと水面を蹴っている。まさかそのまま泳いだりしないよね? 目のやり場に困るので、得意の背泳ぎだけはやめて欲しいんだけど。
「明日はお休みの日だね。どうしようか?」
「そうね……武器屋のヒゲもじゃの様子でも見に行く?」
「そうだね。もしかすると、もうできあがっているかも知れないからね」
頼んでおいたリリア専用の食器ができあがっているかも知れない。楽しみだ。それにしても、捕れたての魚があんなにおいしいとは思わなかった。また食べに行きたいな。
「プラチナランク冒険者としての最初の一歩としては、なかなか良い感じだったんじゃないかな?」
「十分なんじゃない? これでフェルの実力が本物だって、他の冒険者も分かるわよ」
「そうだと良いんだけどね」
俺が海の悪魔を倒して大きな魔石を納品したことは、あの場で見ていた冒険者たちが広めてくれるだろう。そうなれば、侮られることはなくなるはずだ。無駄な争いは避けたいからね。
明日は鍛冶屋のルガラドさんを訪ねてから、王都のおしゃれなカフェでのんびりしようかな? そんなことを考えながら、ゆっくりとお風呂につかった。これはお風呂の時間がもっと好きになりそうだぞ。すごく疲れが取れている気がする。
お風呂から上がると、魔法袋に入れていた果実ジュースを取り出した。それを魔法で少し冷やしてから飲む。もちろん、リリアにも木の実の殻で作ったコップについであげる。
「早くリリアに合うサイズのコップが欲しいね」
「下に置くと転がっちゃうから、ずっと手に持っておかなくちゃいけないものね。ゆっくり飲めないのが残念だわ」
そう言うと、グイッと一気に飲み干した。なるほど、リリアがお酒を一気飲みするのはそのせいだったのか。専用のコップができれば、楽しくお酒を飲むことができるようになるかも知れないな。楽しみだ。
ベッドに入ると、すぐにリリアが胸元に飛び込んできた。浴衣の中に潜り込んで来たので、どうやら今日はかなり魔力を消費しているようである。ペッタリとした、肌と肌が密着する感触がした。
「長かったわね。あたしたちが使った魔法が聞いたことがない魔法だったみたいで、やけに興奮していたわね」
「そうだね。まあ、詳細は教えなかったけどね」
「あれでいいのよ、きっと」
ようやくギルドマスターのラファエロさんから解放されて、冒険者ギルドをあとにした。辺りはすでに暗くなり始めていた。これは夕食を食べてから宿に帰った方が良いかも知れないな。
「今日は親子丼を食べるぞ」
「そうしましょう。楽しみだわ!」
親子丼はおいしかった。リリアいわく、出汁が良く利いていたそうである。俺には良く分からなかった。
「おや、フェルさん、早かったですね」
宿屋なごみに到着すると、店主が笑顔で迎えてくれた。
「ええ、運良くすぐに目的の魔物が現れてくれましてね」
「一体、何を倒しに行ったのですか?」
「海の悪魔ですよ」
「海の悪魔ですって!? 良くアレを倒せましたね。東方でも倒せたと言う話を聞いたことがないですよ」
店主は俺たちが海の悪魔を倒したことにとても驚いていた。どうやら東方の海でも出没するようである。思ったよりも海は危険なのかも知れない。
宿で追加の料金を支払ってから鍵を受け取る。部屋に入ると、畳の香りが待っていた。
「うーん、この香り、癖になりそう。さてと、お風呂に入るとしよう」
「そうね。クリーン・アップの魔法を使ってもらったけど、なんだかベタベタする感じだもんね」
「お湯は……魔法で済ませちゃおうか」
「そうしましょうか」
魔法でヒノキの浴槽に水を満たすと、火魔法を使って慎重に水の温度を上げていく。数分とかからずにお風呂のお湯が沸いた。
すでに浴衣に着替えていたリリアがスポーンと服を脱いでお風呂場に突入していった。相変わらず元気だね。
俺もすぐにお風呂に入って体を洗うと湯船につかった。もちろんリリアの体も洗ってあげた。
「依頼が思ったよりも早く片づいて良かったね」
「運が良かったわね。何日もお風呂に入られないかと思っていたわ」
リリアがパチャパチャと水面を蹴っている。まさかそのまま泳いだりしないよね? 目のやり場に困るので、得意の背泳ぎだけはやめて欲しいんだけど。
「明日はお休みの日だね。どうしようか?」
「そうね……武器屋のヒゲもじゃの様子でも見に行く?」
「そうだね。もしかすると、もうできあがっているかも知れないからね」
頼んでおいたリリア専用の食器ができあがっているかも知れない。楽しみだ。それにしても、捕れたての魚があんなにおいしいとは思わなかった。また食べに行きたいな。
「プラチナランク冒険者としての最初の一歩としては、なかなか良い感じだったんじゃないかな?」
「十分なんじゃない? これでフェルの実力が本物だって、他の冒険者も分かるわよ」
「そうだと良いんだけどね」
俺が海の悪魔を倒して大きな魔石を納品したことは、あの場で見ていた冒険者たちが広めてくれるだろう。そうなれば、侮られることはなくなるはずだ。無駄な争いは避けたいからね。
明日は鍛冶屋のルガラドさんを訪ねてから、王都のおしゃれなカフェでのんびりしようかな? そんなことを考えながら、ゆっくりとお風呂につかった。これはお風呂の時間がもっと好きになりそうだぞ。すごく疲れが取れている気がする。
お風呂から上がると、魔法袋に入れていた果実ジュースを取り出した。それを魔法で少し冷やしてから飲む。もちろん、リリアにも木の実の殻で作ったコップについであげる。
「早くリリアに合うサイズのコップが欲しいね」
「下に置くと転がっちゃうから、ずっと手に持っておかなくちゃいけないものね。ゆっくり飲めないのが残念だわ」
そう言うと、グイッと一気に飲み干した。なるほど、リリアがお酒を一気飲みするのはそのせいだったのか。専用のコップができれば、楽しくお酒を飲むことができるようになるかも知れないな。楽しみだ。
ベッドに入ると、すぐにリリアが胸元に飛び込んできた。浴衣の中に潜り込んで来たので、どうやら今日はかなり魔力を消費しているようである。ペッタリとした、肌と肌が密着する感触がした。
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