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第四章
青の森
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リリアと二人で朝のひとときを楽しんでいると、アベルとマリアも起きてきた。寝起きがあまり良くないマリアはボーッとしている。
「おはよう、ダナイ、リリア」
「おう、おはようアベル」
「おはよう。マリアは相変わらずみたいね」
「おふぁよ~」
リリアは苦笑した。まぁ、そこがマリアの可愛いところでもあるので、そのままの感じで素直な子に育って欲しいところだ。
「ほら、見ろよアベル。あそこが青の森だそうだ」
さっきリリアに指差された方向を、指差した。
「あれが青の森……! 何だか幻想的なところみたいだね」
新たな冒険の予感にワクワクしているのか、その顔はうれしそうだった。若いっていいな。それだけで価値がある。
朝食を終えた俺たちは、青の森へと進んで行った。木々の間のわずかな道を進むと、すぐに青い森の山は見えなくなった。それほど頭上には木々が生い茂っているのだ。
しばらく進むと、木の葉の色が変わっていることに気がついた。
「見ろよ。木の葉が青くなってきたぜ」
みんなが御者台の方にやって来た。
「ほんとだ! 不思議~」
マリアはその不思議な現象に目をパチクリとしている。良く見ると、木だけじゃない。地面に生えている草も、青色を帯びて来始めていた。
「すごいな。緑が全て青に変わっているみたいだな」
感心している俺に、リリアが何かを思い出したかのように言ってきた。
「そう言えば、この辺りに生えている草は錬金術の素材として価値があるって聞いたことがあるわ。エルフはあまり錬金術には詳しくないから、どれがそうなのかは分からないけどね」
「ほほう。リリアの不器用はエルフ特有のもの……痛っ!」
リリアに思いっきりつねられた。どうやら相当気にしているようだ。悪かったって。そんなににらまないでよリリアちゃん。
「錬金術の素材になるのか……。ちょっと興味があるな。少し、採取して行っても構わないか?」
「それはいいけど、どれがその素材なのか分かるの?」
アベルが不思議そうに聞いてきた。
「もちろんさ。天才錬金術師のダナイ様を見くびってもらっては困るぜ」
頼りにしてますぜ、『ワールドマニュアル(門外不出)』先生! えっと、青の森の素材、青の森の素材っと……。思った以上にたくさんの種類があるな。この素材から何が作れるのかは分からないが、採取しておいて損はないだろう。
錬金術師なら一つは持っていると言われる、「中に入れた物が劣化しにくくなる袋」に詰め込めるだけ詰め込んだ。それでも一袋分しかないのだが。
もっと袋を買い込んでおけば良かったかな。ちょっと値段が高いのがネックなんだよな。
青の森で採取しながら進むこと数時間。青の濃さはさらに増していた。
今では木の葉も下草も緑は見えず、ただ青一色だった。そこはまさに青の森。
そしてついに、青の森に住むエルフの里へと到着した。木々に囲まれた集落は、森の景観を損なわないように、ひっそりと暮らしているかのようであった。良く見ると、畑もなければ、放牧をしている様子もない。この辺りにはそれほどまでに天然資源が豊富なのだろうか?
集落の周りには、魔物よけと思われる木の柵がぐるりと囲んでいる。その門の前には門番らしき人物の姿が見える。リリアと同じく耳がとがった人種。エルフ族に間違いなさそうだった。
「止まれ。どうやってここまできた? 道を知らなければ、そうそうたどり着けるはずはないのだが」
そう言えば、途中で何度も分かれ道があったな。そのたびにリリアがこっちだと指示してくれたからまったく気にしていなかったが、あれはここへ向かう人たちを惑わせるためのものだったのか。
どうやらここまで来るには、エルフの力が必要らしい。普通の冒険者には頼めないわけだ。きっと青の森は天然の迷路になっているのだろう。ひょっとしたら、青の森原産の素材を採取しに行くのは命がけなのかも知れないな。思った以上に貴重な素材なのかも知れない。大事にしよう。
「私がここまで案内したのよ。族長のベンジャミンに会いたいのだけど、いるかしら?」
リリアがズズイと前に出た。どうやらいきなり族長に面会をするようである。確かにこれだけ警戒されていては、同じエルフ同士でなければ情報交換は難しいだろう。リリアに聞いてなかったが、ここの一族が他の種族と仲が良いかどうかも分からないからな。
まぁ、リリアのことだ。危険なところに俺たちを連れて行くことはないと思うがね。
リリアをけげんそうに見る門番のエルフ。しかし、リリアの名前を聞くと、コロリと態度が変わった。
「し、失礼しました。すぐに案内します!」
こうして俺たちは馬車に乗ったまま、族長の家へと向かった。行く先々で松風に注目が集まっているようである。どうやら少し体を大きくし過ぎたみたいだな。もし次があれば、そのときは気をつけよう。
集落の中でも少し大きめの家の前に案内された。どうやらリリアは来たことがあるらしく、馬車を降りた。
「ここが族長の家よ。久しぶりに来たけど、全然変わってないわね」
木造の家の庭に馬車をとめさせてもらい、リリアの後に続いた。リリアは特にためらうことなく、そのドアをノックした。
「ベンジャミン、私よ。リリアよ。遊びに来たわ」
遊びに? そんなつもりはないんだが……これはきっと、他のエルフたちに余計な詮索をされないための配慮なのだろう。
「おお、リリアちゃんか! 随分と大きくなったものだ」
ヒゲを生やしたエルフが出てきた。この人がベンジャミンか。後ろにいる俺たちを見て、ちょっと驚いた顔をしている。しかし、すぐに中へと案内してくれた。
「あら、リリアちゃん。美人になったわね~」
奥さんらしき人が顔を見せた。しかしその奥さんも、リリアに負けず劣らずの美人であった。おそらくはかなりの年上なのだろうが、リリアと比べてもどちらが上なのか分からない。そう言えば、ベンジャミンもヒゲをそってしまえば、ただのイケメンエルフになりそうな感じだ。
「もう、いつまでもちゃん付けするのはやめて下さい。私も立派な大人なんですからね」
「ハッハッハ、そうだったね。ところで後ろの人たちを紹介してもらえないかね?」
リリアはうなずくと、俺たちを前に押し出した。
「一緒に住んでいる家族よ。この人が私の旦那様のダナイ。そっちの二人がアベルとマリアよ」
俺たちは礼の姿勢をとった。しかし、エルフの夫婦は「え?」って顔をしている。もう何度この顔を見たことか。よほどにドワーフとエルフのカップルは珍しいようだ。
「えっと、リリア。その人は、多分ドワーフだよね? ものすごくきれいだけど」
「そうよ。ドワーフよ。でも、そんじょそこらのドワーフとは違うわ」
「そうだろうね。ちょっとビックリだよ。このことをアスランは知っているのかい?」
アスラン? ひょっとして、リリアの父親の名前かな。これは覚えておかないといけないぞ。俺は心の中にその名前を刻んでおいた。
「別に言う必要はないでしょう? 私の旦那様は私が決めるわ」
その語気の強い物言いに、エルフ夫妻はため息をついた。どうやらこれ以上言っても無駄であることを知っているようである。
「そうだったね。リリアはそんな子だったね。普通の旦那は選ばないとは思っていたけど、まさかドワーフとは……」
「あらあら、いいじゃないですか。だって、リリアが幸せそうなんですもの」
「それもそうだな。以前のようなギラギラした感じがなくなっているから、これで良かったのかも知れないな」
昔のリリアはそんなにギラついていたのか。ちょっと今のリリアからは想像できないな。そう言われて恥ずかしかったのか、顔を赤くしたリリアが「長旅で疲れているから座らせて」とみんなを部屋の奥へと押し込んだ。
「おはよう、ダナイ、リリア」
「おう、おはようアベル」
「おはよう。マリアは相変わらずみたいね」
「おふぁよ~」
リリアは苦笑した。まぁ、そこがマリアの可愛いところでもあるので、そのままの感じで素直な子に育って欲しいところだ。
「ほら、見ろよアベル。あそこが青の森だそうだ」
さっきリリアに指差された方向を、指差した。
「あれが青の森……! 何だか幻想的なところみたいだね」
新たな冒険の予感にワクワクしているのか、その顔はうれしそうだった。若いっていいな。それだけで価値がある。
朝食を終えた俺たちは、青の森へと進んで行った。木々の間のわずかな道を進むと、すぐに青い森の山は見えなくなった。それほど頭上には木々が生い茂っているのだ。
しばらく進むと、木の葉の色が変わっていることに気がついた。
「見ろよ。木の葉が青くなってきたぜ」
みんなが御者台の方にやって来た。
「ほんとだ! 不思議~」
マリアはその不思議な現象に目をパチクリとしている。良く見ると、木だけじゃない。地面に生えている草も、青色を帯びて来始めていた。
「すごいな。緑が全て青に変わっているみたいだな」
感心している俺に、リリアが何かを思い出したかのように言ってきた。
「そう言えば、この辺りに生えている草は錬金術の素材として価値があるって聞いたことがあるわ。エルフはあまり錬金術には詳しくないから、どれがそうなのかは分からないけどね」
「ほほう。リリアの不器用はエルフ特有のもの……痛っ!」
リリアに思いっきりつねられた。どうやら相当気にしているようだ。悪かったって。そんなににらまないでよリリアちゃん。
「錬金術の素材になるのか……。ちょっと興味があるな。少し、採取して行っても構わないか?」
「それはいいけど、どれがその素材なのか分かるの?」
アベルが不思議そうに聞いてきた。
「もちろんさ。天才錬金術師のダナイ様を見くびってもらっては困るぜ」
頼りにしてますぜ、『ワールドマニュアル(門外不出)』先生! えっと、青の森の素材、青の森の素材っと……。思った以上にたくさんの種類があるな。この素材から何が作れるのかは分からないが、採取しておいて損はないだろう。
錬金術師なら一つは持っていると言われる、「中に入れた物が劣化しにくくなる袋」に詰め込めるだけ詰め込んだ。それでも一袋分しかないのだが。
もっと袋を買い込んでおけば良かったかな。ちょっと値段が高いのがネックなんだよな。
青の森で採取しながら進むこと数時間。青の濃さはさらに増していた。
今では木の葉も下草も緑は見えず、ただ青一色だった。そこはまさに青の森。
そしてついに、青の森に住むエルフの里へと到着した。木々に囲まれた集落は、森の景観を損なわないように、ひっそりと暮らしているかのようであった。良く見ると、畑もなければ、放牧をしている様子もない。この辺りにはそれほどまでに天然資源が豊富なのだろうか?
集落の周りには、魔物よけと思われる木の柵がぐるりと囲んでいる。その門の前には門番らしき人物の姿が見える。リリアと同じく耳がとがった人種。エルフ族に間違いなさそうだった。
「止まれ。どうやってここまできた? 道を知らなければ、そうそうたどり着けるはずはないのだが」
そう言えば、途中で何度も分かれ道があったな。そのたびにリリアがこっちだと指示してくれたからまったく気にしていなかったが、あれはここへ向かう人たちを惑わせるためのものだったのか。
どうやらここまで来るには、エルフの力が必要らしい。普通の冒険者には頼めないわけだ。きっと青の森は天然の迷路になっているのだろう。ひょっとしたら、青の森原産の素材を採取しに行くのは命がけなのかも知れないな。思った以上に貴重な素材なのかも知れない。大事にしよう。
「私がここまで案内したのよ。族長のベンジャミンに会いたいのだけど、いるかしら?」
リリアがズズイと前に出た。どうやらいきなり族長に面会をするようである。確かにこれだけ警戒されていては、同じエルフ同士でなければ情報交換は難しいだろう。リリアに聞いてなかったが、ここの一族が他の種族と仲が良いかどうかも分からないからな。
まぁ、リリアのことだ。危険なところに俺たちを連れて行くことはないと思うがね。
リリアをけげんそうに見る門番のエルフ。しかし、リリアの名前を聞くと、コロリと態度が変わった。
「し、失礼しました。すぐに案内します!」
こうして俺たちは馬車に乗ったまま、族長の家へと向かった。行く先々で松風に注目が集まっているようである。どうやら少し体を大きくし過ぎたみたいだな。もし次があれば、そのときは気をつけよう。
集落の中でも少し大きめの家の前に案内された。どうやらリリアは来たことがあるらしく、馬車を降りた。
「ここが族長の家よ。久しぶりに来たけど、全然変わってないわね」
木造の家の庭に馬車をとめさせてもらい、リリアの後に続いた。リリアは特にためらうことなく、そのドアをノックした。
「ベンジャミン、私よ。リリアよ。遊びに来たわ」
遊びに? そんなつもりはないんだが……これはきっと、他のエルフたちに余計な詮索をされないための配慮なのだろう。
「おお、リリアちゃんか! 随分と大きくなったものだ」
ヒゲを生やしたエルフが出てきた。この人がベンジャミンか。後ろにいる俺たちを見て、ちょっと驚いた顔をしている。しかし、すぐに中へと案内してくれた。
「あら、リリアちゃん。美人になったわね~」
奥さんらしき人が顔を見せた。しかしその奥さんも、リリアに負けず劣らずの美人であった。おそらくはかなりの年上なのだろうが、リリアと比べてもどちらが上なのか分からない。そう言えば、ベンジャミンもヒゲをそってしまえば、ただのイケメンエルフになりそうな感じだ。
「もう、いつまでもちゃん付けするのはやめて下さい。私も立派な大人なんですからね」
「ハッハッハ、そうだったね。ところで後ろの人たちを紹介してもらえないかね?」
リリアはうなずくと、俺たちを前に押し出した。
「一緒に住んでいる家族よ。この人が私の旦那様のダナイ。そっちの二人がアベルとマリアよ」
俺たちは礼の姿勢をとった。しかし、エルフの夫婦は「え?」って顔をしている。もう何度この顔を見たことか。よほどにドワーフとエルフのカップルは珍しいようだ。
「えっと、リリア。その人は、多分ドワーフだよね? ものすごくきれいだけど」
「そうよ。ドワーフよ。でも、そんじょそこらのドワーフとは違うわ」
「そうだろうね。ちょっとビックリだよ。このことをアスランは知っているのかい?」
アスラン? ひょっとして、リリアの父親の名前かな。これは覚えておかないといけないぞ。俺は心の中にその名前を刻んでおいた。
「別に言う必要はないでしょう? 私の旦那様は私が決めるわ」
その語気の強い物言いに、エルフ夫妻はため息をついた。どうやらこれ以上言っても無駄であることを知っているようである。
「そうだったね。リリアはそんな子だったね。普通の旦那は選ばないとは思っていたけど、まさかドワーフとは……」
「あらあら、いいじゃないですか。だって、リリアが幸せそうなんですもの」
「それもそうだな。以前のようなギラギラした感じがなくなっているから、これで良かったのかも知れないな」
昔のリリアはそんなにギラついていたのか。ちょっと今のリリアからは想像できないな。そう言われて恥ずかしかったのか、顔を赤くしたリリアが「長旅で疲れているから座らせて」とみんなを部屋の奥へと押し込んだ。
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