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任務、完了
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うん、悪いんだけどさ、まだ終わってないんだよね。そんな余裕な態度を取っていると、足下をすくわれちゃうよ? しょうがないやつらだな。
「まだ終わってはいないぞ。あいつを倒すまで気を抜くな」
俺の言葉にハッとなった騎士たちは再び顔を引き締めた。そうそう、その調子、その調子。そしてどうやら俺が指揮を執っていることに気がついたようである。魔族がこちらをジロリとにらみつけた。
「小賢しいやつだな。まさかこんな建物を用意しているとはな。だが、まだまだ詰めが甘いようだな。この部屋さえ出てしまえば、俺様の勝ちだ。お前たちではこの俺様を倒せまい? どうする? もし見逃してくれるのならば、今回のところは見逃してやろう」
見逃して欲しいと言っている時点で、どうやら相当追い詰められているようである。無力化した魔族では武装した兵士たちに囲まれている状態を打破する力はないだろう。
そして魔族からすると、俺たちは「魔族を倒すすべを持っていない」と思っているようである。
でもな、こっちには魔族を倒す手段があるのだよ。見せてやろう、人間をやめた俺の力を!
「せっかくの誘いだが、見逃すつもりはない。悪いがここで消えてもらう」
「面白い、やってみろ。そして絶望に身をよじるがいい!」
まさか自分が倒されるとは思っていない魔族は、自信満々にそう言い放った。
「それじゃ、遠慮なく。エナジードレイン!」
「ギェピー!」
みるみるうちに魔力を俺に吸い取られて縮んでゆく魔族。絶望に身をよじりながら、何か言いたそうに口を陸にあがった魚みたいにパクパクさせていたが、ついに言葉にはならなかった。
そしてあとには何も残らなかった。あの魔族を形作っていたものすべてが魔力でできていたようである。まあ、イケメンにも姿を変えられたみたいだったし、ある程度好きなように姿を変えられたのだと思われる。
今考えて見れば、かなりのイケメンだったもんな。この世の奇跡かと思われるくらいの美形だった。イケメン死すべし、慈悲はない、と思うくらいには。
俺が今回の作戦終了を告げるべく声をあげると、大きな歓声があがった。みんなが肩をたたき合って喜んでいる。そんな歓声が外まで聞こえたのだろう。国王陛下に殿下たち、そしてイーリスとミケもやってきた。
「テオ様、無事に作戦は終了したみたいですわね。お疲れ様でしたわ」
「ま、テオなら楽勝だよね。べ、別にテオのこと、心配してたわけじゃないんだからねっ」
イーリスが笑顔で迎えてくれた。そしてなぜかミケはツンデレっぽくなっていた。多分心配してくれていたのだろう。俺はミケを抱きかかえてイーリスの元へと進んだ。
「良くやってくれたぞ、テオドール。そなたのおかげでこの国が救われたことは間違いない。この功績は必ず評価しよう」
「ハッ! ありがとうございます、国王陛下」
俺はその場で平伏した。隣でイーリスも平伏している。これにて一件落着だな。良からぬたくらみをしていた魔族はいなくなったし、当分この国は安泰だろう。俺もいるしね。
後日、俺たちは国王陛下に呼ばれた。王城の豪華な応接間には緊張した面持ちをした父上の姿があった。
「父上、それほど緊張する必要はありませんよ。国王陛下も殿下も、気さくな方ですから」
それを聞いた父上は「ハア」と大きなため息をついた。
「それはテオドール、お前だからだよ。私はそこまで国王陛下たちとは親しいわけではない。それに今回の手柄のほとんどはテオドール、お前の功績だろう? 私がもらうのはどうかと思うのだが……」
う、父上が余計な心配をしている。そんな心配は要らないのに。何せ俺はまだ正式に社交界デビューしていないのだ。よって、父上から爵位を譲り受けるわけにはいかない。今しばらくは父上に頑張ってもらわなければならないのだ。
それに欲を言えば、当分の間は爵位にはつきたくない。しばらくの間は自由気ままに過ごしたいと言うのが本音である。イーリスとミケを連れて、国中を観光したいしね。行きたい場所もてんこ盛りなのだ。
「ほら、父上。ため息ばかりついていると、母上が心配しますよ」
「む、それもそうか」
ようやく父上が男の顔に戻った。いくつになっても妻には良いところを見せたいようである。その気持ち、分かるな~。今回の魔族討伐作戦を引き受けたのも、イーリスとミケにかっこいいところを見せたいと言う側面もあったしね。
「まだ終わってはいないぞ。あいつを倒すまで気を抜くな」
俺の言葉にハッとなった騎士たちは再び顔を引き締めた。そうそう、その調子、その調子。そしてどうやら俺が指揮を執っていることに気がついたようである。魔族がこちらをジロリとにらみつけた。
「小賢しいやつだな。まさかこんな建物を用意しているとはな。だが、まだまだ詰めが甘いようだな。この部屋さえ出てしまえば、俺様の勝ちだ。お前たちではこの俺様を倒せまい? どうする? もし見逃してくれるのならば、今回のところは見逃してやろう」
見逃して欲しいと言っている時点で、どうやら相当追い詰められているようである。無力化した魔族では武装した兵士たちに囲まれている状態を打破する力はないだろう。
そして魔族からすると、俺たちは「魔族を倒すすべを持っていない」と思っているようである。
でもな、こっちには魔族を倒す手段があるのだよ。見せてやろう、人間をやめた俺の力を!
「せっかくの誘いだが、見逃すつもりはない。悪いがここで消えてもらう」
「面白い、やってみろ。そして絶望に身をよじるがいい!」
まさか自分が倒されるとは思っていない魔族は、自信満々にそう言い放った。
「それじゃ、遠慮なく。エナジードレイン!」
「ギェピー!」
みるみるうちに魔力を俺に吸い取られて縮んでゆく魔族。絶望に身をよじりながら、何か言いたそうに口を陸にあがった魚みたいにパクパクさせていたが、ついに言葉にはならなかった。
そしてあとには何も残らなかった。あの魔族を形作っていたものすべてが魔力でできていたようである。まあ、イケメンにも姿を変えられたみたいだったし、ある程度好きなように姿を変えられたのだと思われる。
今考えて見れば、かなりのイケメンだったもんな。この世の奇跡かと思われるくらいの美形だった。イケメン死すべし、慈悲はない、と思うくらいには。
俺が今回の作戦終了を告げるべく声をあげると、大きな歓声があがった。みんなが肩をたたき合って喜んでいる。そんな歓声が外まで聞こえたのだろう。国王陛下に殿下たち、そしてイーリスとミケもやってきた。
「テオ様、無事に作戦は終了したみたいですわね。お疲れ様でしたわ」
「ま、テオなら楽勝だよね。べ、別にテオのこと、心配してたわけじゃないんだからねっ」
イーリスが笑顔で迎えてくれた。そしてなぜかミケはツンデレっぽくなっていた。多分心配してくれていたのだろう。俺はミケを抱きかかえてイーリスの元へと進んだ。
「良くやってくれたぞ、テオドール。そなたのおかげでこの国が救われたことは間違いない。この功績は必ず評価しよう」
「ハッ! ありがとうございます、国王陛下」
俺はその場で平伏した。隣でイーリスも平伏している。これにて一件落着だな。良からぬたくらみをしていた魔族はいなくなったし、当分この国は安泰だろう。俺もいるしね。
後日、俺たちは国王陛下に呼ばれた。王城の豪華な応接間には緊張した面持ちをした父上の姿があった。
「父上、それほど緊張する必要はありませんよ。国王陛下も殿下も、気さくな方ですから」
それを聞いた父上は「ハア」と大きなため息をついた。
「それはテオドール、お前だからだよ。私はそこまで国王陛下たちとは親しいわけではない。それに今回の手柄のほとんどはテオドール、お前の功績だろう? 私がもらうのはどうかと思うのだが……」
う、父上が余計な心配をしている。そんな心配は要らないのに。何せ俺はまだ正式に社交界デビューしていないのだ。よって、父上から爵位を譲り受けるわけにはいかない。今しばらくは父上に頑張ってもらわなければならないのだ。
それに欲を言えば、当分の間は爵位にはつきたくない。しばらくの間は自由気ままに過ごしたいと言うのが本音である。イーリスとミケを連れて、国中を観光したいしね。行きたい場所もてんこ盛りなのだ。
「ほら、父上。ため息ばかりついていると、母上が心配しますよ」
「む、それもそうか」
ようやく父上が男の顔に戻った。いくつになっても妻には良いところを見せたいようである。その気持ち、分かるな~。今回の魔族討伐作戦を引き受けたのも、イーリスとミケにかっこいいところを見せたいと言う側面もあったしね。
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