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イーリス・デン・アウデン男爵令嬢②
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アウデン男爵の考えは間違っていない。モンドリアーン子爵家は非常に魔法を使うことにたけた一族である。そのため、王宮の魔導師団にも何人もの親族が勤めているし、その戦力を求めて、多くの家と婚姻関係を結んでいた。
今回もその中の一つと言うわけだ。ごく普通のことであり、何も後ろめたい気持ちになる必要はない。だがしかし、政略結婚であることが分かったとしても気が重かった。
また婚約破棄されたらどうしよう。今度こそ立ち直れない気がする。そのときはミケと結婚しようかな?
婚約者がモンドリアーン子爵家に顔見せにやって来る日がやってきた。
セバスチャンから「もう少しで到着する」との知らせがあったので、俺とミケは玄関に面した部屋に急いで移動した。そしてその部屋のカーテンの隙間から婚約者が到着するのを待った。
それほど間をあけずに、一台の馬車が門から入ってくる。
「あれがイーリス・デン・アウデン男爵令嬢が乗っている馬車ね」
ミケがそうつぶやくと、俺はその馬車から出てくる人物を食い入るように見つめた。
馬車の扉が開いた。最初に降りてきたのはアウデン男爵だろう。父上と同年代のような人物が降りてきた。
その後ろからシルバーブロンドの長い髪をなびかせた人物が降りてきた。おそらくイーリス男爵令嬢だろう。
動きがどことなくぎこちない。かなり緊張してるのだろう。その目には……ガラスのコップの底のような、すごく厚みのあるメガネがかけられていた。
「……何アレ、すごく地味」
「……ミケ、本人の前では絶対にそれを言っちゃダメだからね」
確かに見た目はかなり地味である。だが、だがあのおっぱいはすごいぞ。思わずガン見してしまうくらいに。隠れて見る分には良いかも知れないが、本人を目の前にして見るのはさすがにまずいだろう。あの誘惑に耐えられるのか?
「ふ~ん、テオはあんなおっぱいがいいんだ」
「え? ちょっとミケさん!? もしかして、心の中が読まれてる!?」
「……いや、あれだけしっかりと見てたらだれでも分かるよ。そっか~、あんなのがいいのか~。ボクが彼女にしっかりと伝えておいてあげるね」
ミケが目を三日月型にして口角をあげた。笑っていらっしゃる!? でもその緑の二つの目は全然笑ってない!
「お許し下さい、ミケ様!」
俺はその場でひれ伏した。頭上で「どうしよっかな~」と言う声が聞こえる。許して、お願い。
「テオドール様、お客様がお見えになりました……」
「分かった。すぐに行くよ」
俺がミケの前にひれ伏しているのを見た使用人がギョッとした目で俺を見ていた。
ミケを連れて玄関に向かうと、すでに俺たち以外はそろっているようである。
今回もその中の一つと言うわけだ。ごく普通のことであり、何も後ろめたい気持ちになる必要はない。だがしかし、政略結婚であることが分かったとしても気が重かった。
また婚約破棄されたらどうしよう。今度こそ立ち直れない気がする。そのときはミケと結婚しようかな?
婚約者がモンドリアーン子爵家に顔見せにやって来る日がやってきた。
セバスチャンから「もう少しで到着する」との知らせがあったので、俺とミケは玄関に面した部屋に急いで移動した。そしてその部屋のカーテンの隙間から婚約者が到着するのを待った。
それほど間をあけずに、一台の馬車が門から入ってくる。
「あれがイーリス・デン・アウデン男爵令嬢が乗っている馬車ね」
ミケがそうつぶやくと、俺はその馬車から出てくる人物を食い入るように見つめた。
馬車の扉が開いた。最初に降りてきたのはアウデン男爵だろう。父上と同年代のような人物が降りてきた。
その後ろからシルバーブロンドの長い髪をなびかせた人物が降りてきた。おそらくイーリス男爵令嬢だろう。
動きがどことなくぎこちない。かなり緊張してるのだろう。その目には……ガラスのコップの底のような、すごく厚みのあるメガネがかけられていた。
「……何アレ、すごく地味」
「……ミケ、本人の前では絶対にそれを言っちゃダメだからね」
確かに見た目はかなり地味である。だが、だがあのおっぱいはすごいぞ。思わずガン見してしまうくらいに。隠れて見る分には良いかも知れないが、本人を目の前にして見るのはさすがにまずいだろう。あの誘惑に耐えられるのか?
「ふ~ん、テオはあんなおっぱいがいいんだ」
「え? ちょっとミケさん!? もしかして、心の中が読まれてる!?」
「……いや、あれだけしっかりと見てたらだれでも分かるよ。そっか~、あんなのがいいのか~。ボクが彼女にしっかりと伝えておいてあげるね」
ミケが目を三日月型にして口角をあげた。笑っていらっしゃる!? でもその緑の二つの目は全然笑ってない!
「お許し下さい、ミケ様!」
俺はその場でひれ伏した。頭上で「どうしよっかな~」と言う声が聞こえる。許して、お願い。
「テオドール様、お客様がお見えになりました……」
「分かった。すぐに行くよ」
俺がミケの前にひれ伏しているのを見た使用人がギョッとした目で俺を見ていた。
ミケを連れて玄関に向かうと、すでに俺たち以外はそろっているようである。
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