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モンドリアーン子爵家の準神②

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「大丈夫。むしろ、予定通りだよ」
「予定通り?」

 どう言うことなのかサッパリ分からない。ミケとは一度、しっかりと話し合わなければいけないな。ミケ、一体何者なんだ。

「そう。予定通り。ところでさ、テオはボクが何者なのか分かるかい?」
「それが分かれば苦労はないんだけど……」

 考える素振りも見せずに答えた俺に対して、ミケは深いため息をついた。

「ボクはね、テオの守護精霊だよ」
「な、なんだってー!」

 聞いたことがある。その昔、神に愛されし人の子を守護するために、神の使いとして精霊がそばに遣わされたと言う話を。だがそれはおとぎ話での話であり、実際に守護精霊を見た人はいないし、その存在を確認した人もいなかったはずだ。

 もちろん世の中には、「俺には守護精霊がついてるぜ、ウヘヘヘヘ」とか言って蛮行の限りを尽くすヤツもいたが、多くの場合はそれがウソであることが発覚し、「神に刃向かう反逆者」として非業の死を遂げていた。
 ……ヤバくない、それ? もしミケの言うことがウソだったら、俺も同じような運命をたどることになるだろう。ウヘヘヘヘって笑う練習をしておいた方がいい?

「何、その顔。もしかしてだけど、疑ってるんじゃないの?」
「いいいいいや、別に疑ってねーし!」

 ミケが半眼でこちらを見ている。バレてない、バレてない。でもどうすりゃいいんだ? 神様、ミケ様って、ひれ伏しておく?

「まあいいや。とりあえずよろしくね、テオ」

 どうやら怒ってはいないようである。フウ、脅かしやがって。

「こちらこそよろしく。ところでさ、何で急に俺の前に姿を現したの? 守護精霊なら、ずっと前から俺のことを見守ってくれていたんじゃないの?」

 おとぎ話によると、最初から主人公と守護精霊は仲良し小好しだったはずだ。途中から参戦したわけではなかったはず。「待たせたな!」とか言って、ピンチのときにさっそうと登場することもなかったはずである。

「チャンスだと思ったんだ」
「何のチャンス?」
「テオが人間をやめてくれるチャンスだよ」

 オイオイオイ、ミケはそんなに俺を新人類にしたかったのかよ。なるほど、ミケは俺が追い詰められるのを待っていたと言うわけか。

「どうして……?」
「それはだね、テオの体が保たなかったからだよ」
「なるほど、サッパリ分からん。俺に分かるように説明してくれ」
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