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完全勝利
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かくして商業都市ラザーニャでの戦いは終わった。私たちの目の前ではガロリアンが力なくうなだれている。
「この者が今回の騒動の主犯格なのですね」
「そうだ。元四天王の一人、ガロリアンだ」
「四天王……!」
「まさか……!」
驚きの声を上げるアレリード伯爵と領主代行のベンジャミン。確かにまさかだろうな。そんな人物がラザーニャの街から世界を混乱させようとしていたとは思わないだろう。
すべての魔力を封じられ、ただの小さいおじさんになったガロリアンからは何の覇気も感じられなかった。
「詳しい話はこちらで尋問して聞くことにします」
「そうしてもらえるとありがたい。どうやら自分が新たな魔王になろうとしていたようなのでな。しっかりと取り調べをした方が良いぞ」
「なんと!」
目と口を大きく開ける二人。この上なく驚いているようである。それもそうか。今さら魔王が現れて、世界の平和が乱されるようなことになれば大変である。そうならないためにも、アレリード伯爵には頑張ってもらわないといけないな。
ガロリアンの口から「魔王」と言う言葉は封じてあるし、この街を救った私のことを悪く言ったところでだれも信じないだろう。やってて良かった慈善事業。
これからガロリアンは苦労するかも知れないが、平和を乱そうとした罰である。
集まって来た兵士たちがガロリアンをどこかへと連れて行った。弱体化したことで完全に心が折れてしまったようである。何も言わずになされるがままだった。完全勝利。
「すべてはレオニートの計算通りか。恐ろしいのう、そなたは」
「そうだろう、そうだろう」
「……頼もしいぞ」
恥じらいが混じったその声に思わずギョッとなる。見るとソフィアの顔がほんのりと赤くなっている。まずい、こんなときはどんな顔をすれば良いんだ。助けを求めてアレリード伯爵とベンジャミンの方を見ると、「私は何も見なかった」とばかりに顔をそらされた。
カビルンバとじいやはそろって「このロリコンめ」みたいな顔で見ていた。違う、私はロリコンじゃない。誤解だ! ソフィアが本気を出せば妖艶な美女になれることを二人も知っているだろう? とんだ誤解だ。
「こ、これで私たちの仕事は終わったな。街の解呪がまだもう少し残っているので、これで失礼させてもらおう」
「レオニート殿、パーティーの準備が整い次第に連絡を入れるので、楽しみにしていてくれたまえ。もちろん、聖女ソフィア様も一緒にいらっしゃって下さい」
「おお、それは楽しみじゃのう」
何も知らないソフィアがうれしそうな顔をしている。私はガロリアンのギロチンパーティーでないことを祈るしかなかった。
領主代行の屋敷は散らかっているようだが、あとはなんとかしてくれることだろう。ソフィアが穴をあけてしまったが、きっと大丈夫なはずだ。
「それじゃ、残りの区域の解呪に向かおう。それが終わればもう大丈夫なはずだ」
「目的地まで案内しますよ」
「頼んだぞ、カビルンバ」
残りの区域と言っても、もうほとんどないはずだ。数日中にはすべての場所を解呪することができるだろう。ここまで来たら乗りかかった船だ。最後までやり遂げるとしよう。
ソフィアを連れて街中をめぐり、ようやくすべての呪いを解呪したところで、アレリード伯爵からパーティーの誘いの手紙が来た。
「どうやら今夜、パーティーが開かれるようだ。ぜひ参加してくれとのことだ」
手紙をソフィアに見せる。この間にラザーニャの封鎖は解除されていた。もう疫病の危険性はなくなったし、犯人をあぶり出す役目も無事に果たしているからね。錬金術ギルドに出向していた職員たちも無事に自分たちの街へ戻ったようである。
「パーティーか。この格好で良いのかのう?」
「そうだな、気になるなら服でも買いに行くか。お金ならアレリード伯爵から十分にもらったからな」
街を救ってくれた恩賞としてかなりの額をアレリード伯爵からもらっている。もう働く必要ないんじゃないかな。このあたりで残りの余生を過ごすのも良いだろう。
そんなことを思いつつも、バディア辺境伯に約束していた、聖女のネックレスの制作に取りかかっていた。
どうやらお金持ちになっても、錬金術アイテムを作ることはやめられないようである。こればかりは性分だな。暇になれば何をするか分からないからとカビルンバにも言われているし、このまま作り続けるのが良さそうだ。
ソフィアと一緒に買い物に出かける。一応、私もそれなりの服装をするべきなのかも知れないな。今の服装でも問題ないと思うけど、せっかくお金もあるし、自由にもなったし、色々と挑戦するのも良いだろう。
まずは貴族の子供向けの店に向かった。オーダー品ではないが、その分だけお安くなっている。それに種類も豊富だ。これならソフィアに似合うドレスもあるだろう。
ふんふんと楽しそうに服を選ぶソフィア。人間社会に混じってから初めての服選びだ。どれにするか迷っているようである。
「レオニート、どっちが良いと思う?」
「そうだな、そっちの紫のドレスが似合うと思うぞ。高貴なソフィアにピッタリだ」
「そ、そうかのう?」
照れるソフィア。それならばとソフィアはそのドレスを購入した。購入したのはドレスだけではない。それに似合う靴や手袋、タイツなんかも購入した。
「次は宝石店だな」
「む、いらぬぞ。わらわにはこれがある」
そう言ってソフィアが胸元から聖女のネックレスを引っ張り出した。どうも非常に気に入ったようで、ラザーニャの街の解呪が終わってからも、毎日肌身離さずそれを身につけていた。
「それだけじゃ寂しいだろう? 指輪やイヤリング、腕輪なんかもあった方が良いぞ」
「む、レオニートは作ってくれぬのか?」
あー、確かに錬金術アイテムの中には聖女のネックレスのように、アクセサリータイプのものがいくつもあるけど……フル装備してどうするつもりだ。世界征服でもするつもりなのか?
「作るにしても、すぐには無理だ。それに素材も必要だ。そのためにも、元となるアクセサリーが必要だな」
「確かにそうじゃな」
ようやく納得してくれたソフィアが足を動かした。これはあとでアクセサリーをプレゼントするパターンだな。しょうがないか。
「この者が今回の騒動の主犯格なのですね」
「そうだ。元四天王の一人、ガロリアンだ」
「四天王……!」
「まさか……!」
驚きの声を上げるアレリード伯爵と領主代行のベンジャミン。確かにまさかだろうな。そんな人物がラザーニャの街から世界を混乱させようとしていたとは思わないだろう。
すべての魔力を封じられ、ただの小さいおじさんになったガロリアンからは何の覇気も感じられなかった。
「詳しい話はこちらで尋問して聞くことにします」
「そうしてもらえるとありがたい。どうやら自分が新たな魔王になろうとしていたようなのでな。しっかりと取り調べをした方が良いぞ」
「なんと!」
目と口を大きく開ける二人。この上なく驚いているようである。それもそうか。今さら魔王が現れて、世界の平和が乱されるようなことになれば大変である。そうならないためにも、アレリード伯爵には頑張ってもらわないといけないな。
ガロリアンの口から「魔王」と言う言葉は封じてあるし、この街を救った私のことを悪く言ったところでだれも信じないだろう。やってて良かった慈善事業。
これからガロリアンは苦労するかも知れないが、平和を乱そうとした罰である。
集まって来た兵士たちがガロリアンをどこかへと連れて行った。弱体化したことで完全に心が折れてしまったようである。何も言わずになされるがままだった。完全勝利。
「すべてはレオニートの計算通りか。恐ろしいのう、そなたは」
「そうだろう、そうだろう」
「……頼もしいぞ」
恥じらいが混じったその声に思わずギョッとなる。見るとソフィアの顔がほんのりと赤くなっている。まずい、こんなときはどんな顔をすれば良いんだ。助けを求めてアレリード伯爵とベンジャミンの方を見ると、「私は何も見なかった」とばかりに顔をそらされた。
カビルンバとじいやはそろって「このロリコンめ」みたいな顔で見ていた。違う、私はロリコンじゃない。誤解だ! ソフィアが本気を出せば妖艶な美女になれることを二人も知っているだろう? とんだ誤解だ。
「こ、これで私たちの仕事は終わったな。街の解呪がまだもう少し残っているので、これで失礼させてもらおう」
「レオニート殿、パーティーの準備が整い次第に連絡を入れるので、楽しみにしていてくれたまえ。もちろん、聖女ソフィア様も一緒にいらっしゃって下さい」
「おお、それは楽しみじゃのう」
何も知らないソフィアがうれしそうな顔をしている。私はガロリアンのギロチンパーティーでないことを祈るしかなかった。
領主代行の屋敷は散らかっているようだが、あとはなんとかしてくれることだろう。ソフィアが穴をあけてしまったが、きっと大丈夫なはずだ。
「それじゃ、残りの区域の解呪に向かおう。それが終わればもう大丈夫なはずだ」
「目的地まで案内しますよ」
「頼んだぞ、カビルンバ」
残りの区域と言っても、もうほとんどないはずだ。数日中にはすべての場所を解呪することができるだろう。ここまで来たら乗りかかった船だ。最後までやり遂げるとしよう。
ソフィアを連れて街中をめぐり、ようやくすべての呪いを解呪したところで、アレリード伯爵からパーティーの誘いの手紙が来た。
「どうやら今夜、パーティーが開かれるようだ。ぜひ参加してくれとのことだ」
手紙をソフィアに見せる。この間にラザーニャの封鎖は解除されていた。もう疫病の危険性はなくなったし、犯人をあぶり出す役目も無事に果たしているからね。錬金術ギルドに出向していた職員たちも無事に自分たちの街へ戻ったようである。
「パーティーか。この格好で良いのかのう?」
「そうだな、気になるなら服でも買いに行くか。お金ならアレリード伯爵から十分にもらったからな」
街を救ってくれた恩賞としてかなりの額をアレリード伯爵からもらっている。もう働く必要ないんじゃないかな。このあたりで残りの余生を過ごすのも良いだろう。
そんなことを思いつつも、バディア辺境伯に約束していた、聖女のネックレスの制作に取りかかっていた。
どうやらお金持ちになっても、錬金術アイテムを作ることはやめられないようである。こればかりは性分だな。暇になれば何をするか分からないからとカビルンバにも言われているし、このまま作り続けるのが良さそうだ。
ソフィアと一緒に買い物に出かける。一応、私もそれなりの服装をするべきなのかも知れないな。今の服装でも問題ないと思うけど、せっかくお金もあるし、自由にもなったし、色々と挑戦するのも良いだろう。
まずは貴族の子供向けの店に向かった。オーダー品ではないが、その分だけお安くなっている。それに種類も豊富だ。これならソフィアに似合うドレスもあるだろう。
ふんふんと楽しそうに服を選ぶソフィア。人間社会に混じってから初めての服選びだ。どれにするか迷っているようである。
「レオニート、どっちが良いと思う?」
「そうだな、そっちの紫のドレスが似合うと思うぞ。高貴なソフィアにピッタリだ」
「そ、そうかのう?」
照れるソフィア。それならばとソフィアはそのドレスを購入した。購入したのはドレスだけではない。それに似合う靴や手袋、タイツなんかも購入した。
「次は宝石店だな」
「む、いらぬぞ。わらわにはこれがある」
そう言ってソフィアが胸元から聖女のネックレスを引っ張り出した。どうも非常に気に入ったようで、ラザーニャの街の解呪が終わってからも、毎日肌身離さずそれを身につけていた。
「それだけじゃ寂しいだろう? 指輪やイヤリング、腕輪なんかもあった方が良いぞ」
「む、レオニートは作ってくれぬのか?」
あー、確かに錬金術アイテムの中には聖女のネックレスのように、アクセサリータイプのものがいくつもあるけど……フル装備してどうするつもりだ。世界征服でもするつもりなのか?
「作るにしても、すぐには無理だ。それに素材も必要だ。そのためにも、元となるアクセサリーが必要だな」
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