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潜伏
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翌日は遠くから買い取り所と冒険者ギルドと錬金術ギルドを確認した。今のところは大きな騒ぎにはなってないようである。カビルンバに引き続き監視してもらうようにお願いする。
「これでは当分、物は売れないな」
「そうですね。色々と聞かれることになりかねませんからね。そうなると、レオ様がいつポロリと口を滑らすか、分かりませんからね」
「別の意味で信頼感が厚いな」
カビルンバに愚痴っても仕方がない。今は物も売れないし、うかつな行動もできない。それなら私にできることと言えば、錬金術アイテムを宿で作るくらいである。
「宿で大人しくしておこうかな。そうだ、高名な錬金術師に弟子入りして、推薦状をもらうのも良いかも知れない」
「レオ様に錬金術を教えられる人っているのですか?」
「別にいなくても良いんだよ。推薦状さえもらえれば」
「逆に弟子にしてくれって言われそうですね」
そう言って笑うカビルンバ。確かにその可能性は否定できないな。ミイラ取りがミイラになることになりそうだ。しかも錬金術師としての資格なし。完全に外道錬金術師である。本当に闇に隠れて生きることになりそうだ。
「やめておこう。世界一の錬金術師は常に孤高の存在なのだよ」
「それが良いと思います。しかし、宿に閉じこもってばかりでは健康に良くないと思いますよ」
「それもそうだな。それじゃ、また未開の森に行ってみるか。新たな素材を発見できるかも知れない。昨日は薬草を中心に探していたからな」
その前に、未開の森でどんな錬金術アイテムの素材が発見されたのかを調べておいた方が良いかも知れないな。素材の情報と言えば、錬金術ギルドか冒険者ギルド。どっちもダメだな。ダメ元で商業ギルドにでも行くか?
「未開の森にどんな素材があるのか情報が欲しいのだが、商業ギルドに寄ってもいいか?」
「そうですね、一度、顔を出してみましょうか。商業ギルドなら、まだ、問題になるようなことをしていませんからね」
何かトゲのある言い方だが、事実なので否定できない。錬金術ギルドには「解呪の破魔札」の件、冒険者ギルドでは「全滅、ゴブリンの集落」の件があるからな。どちらも私に深い関わりがある。どちらも放っておくことはできなかったので悔いはないのだが、どうしてこうなった。
商業ギルドは大通り沿いに面した場所にあった。なかなかの立地である。それだけ力を持っているということなのだろう。この領都に来る商品のほとんどは彼らが牛耳っているのかも知れないな。
「石造りの立派な建物だな」
「そうですね。冒険者ギルドも大きかったですが、こちらはさらに大きい。近くに未開の森が広がっているので冒険者ギルドが立派なのは納得できるのですが、商業ギルドがさらにそれの上を行くとは」
「何か理由があるのかな?」
もしかすると、未開の森から貴重な何かが取れるのかも知れないな。それを管理し、流通させるために商業ギルドが大きな力を持っている。ありそうだな。
「単に領主の方針でしょう。辺境に届く物資が少なくならないようにするために、商人たちを保護しているのでしょう。その証明として商業ギルドを大きくしているみたいです」
「領主もなかなか大変そうだな。そういえば、『解呪の破魔札』は役に立ったのかな?」
「今のところはそれについての有力な情報はないですね。隠しておかなければならない何かがあるのかも知れませんが……」
そう言ってカビルンバが考え始めた。この状態のカビルンバはちょっと不気味である。あまりよろしくない状況になりそうなときは、こうやって黙り込むのだ。結論を聞くのが怖い。その間に商業ギルドにお邪魔することにしよう。
商業ギルドにはそれなりに人の姿があった。まばらではないが、決して多くはない。どうやら商業を活性化させることには苦労しているようである。
そしてそれに拍車をかけているのが、商業ギルドから発行される身分証明の値上がりである。これでますます人が訪れなくなったのは間違いないだろう。新参者が入って来なければ、商業ギルドは徐々に下り坂を転がることになるのかも知れない。
壁には購入希望表が張り出されていた。これを確認すれば、どれが高値で売れるのか、ある程度は分かるようになっている。見たところ、食料品が多いみたいだ。その次は日用雑貨。錬金術アイテムの名前はない。管轄が違うのだろう。その辺りはしっかりしているようである。
「どれも大量持ち込みが原則みたいだな。マジックバッグがあるから何とかなりそうだが、街から街への移動が大変そうだな」
「そのようですね。そして大量に買い取ってもらえるためなのか、単品で売るよりも買い取り価格が安くなっていますね」
「そうなのか。商人は大変そうだな」
本格的に商人を目指すならば、かなりの資金が必要になりそうだ。しかもそれも、当てが外れればあっと言う間にお金がなくなってしまう。私にはとてもできない。カビルンバという世界の相場を瞬時に知ることができる規格外の存在がいるが、それを使いこなせる自信がない。
結局、期待していた未開の森から取れる素材についての情報はなかった。どうやら小さな規模での買い取りはしないようである。だが大量の物を売るならここに来た方が良さそうだ。
別の場所なら「これ以上は買い取れない」と買い取り上限があるのが普通だからね。そのため私が作った回復ポーションや解毒ポーションも、お金が欲しいからと言って大量に売り出せないのだ。
ちなみに商業ギルドでの身分証明を発行してもらうための値段だが、小金貨一枚から、金貨十枚に値上がりしていた。一気に百倍とか、やり過ぎなのでは? そりゃ気軽に身分証明を買えないな。
カビルンバの言う通り、毎回入場料を支払った方が安く済みそうだ。
「これでは当分、物は売れないな」
「そうですね。色々と聞かれることになりかねませんからね。そうなると、レオ様がいつポロリと口を滑らすか、分かりませんからね」
「別の意味で信頼感が厚いな」
カビルンバに愚痴っても仕方がない。今は物も売れないし、うかつな行動もできない。それなら私にできることと言えば、錬金術アイテムを宿で作るくらいである。
「宿で大人しくしておこうかな。そうだ、高名な錬金術師に弟子入りして、推薦状をもらうのも良いかも知れない」
「レオ様に錬金術を教えられる人っているのですか?」
「別にいなくても良いんだよ。推薦状さえもらえれば」
「逆に弟子にしてくれって言われそうですね」
そう言って笑うカビルンバ。確かにその可能性は否定できないな。ミイラ取りがミイラになることになりそうだ。しかも錬金術師としての資格なし。完全に外道錬金術師である。本当に闇に隠れて生きることになりそうだ。
「やめておこう。世界一の錬金術師は常に孤高の存在なのだよ」
「それが良いと思います。しかし、宿に閉じこもってばかりでは健康に良くないと思いますよ」
「それもそうだな。それじゃ、また未開の森に行ってみるか。新たな素材を発見できるかも知れない。昨日は薬草を中心に探していたからな」
その前に、未開の森でどんな錬金術アイテムの素材が発見されたのかを調べておいた方が良いかも知れないな。素材の情報と言えば、錬金術ギルドか冒険者ギルド。どっちもダメだな。ダメ元で商業ギルドにでも行くか?
「未開の森にどんな素材があるのか情報が欲しいのだが、商業ギルドに寄ってもいいか?」
「そうですね、一度、顔を出してみましょうか。商業ギルドなら、まだ、問題になるようなことをしていませんからね」
何かトゲのある言い方だが、事実なので否定できない。錬金術ギルドには「解呪の破魔札」の件、冒険者ギルドでは「全滅、ゴブリンの集落」の件があるからな。どちらも私に深い関わりがある。どちらも放っておくことはできなかったので悔いはないのだが、どうしてこうなった。
商業ギルドは大通り沿いに面した場所にあった。なかなかの立地である。それだけ力を持っているということなのだろう。この領都に来る商品のほとんどは彼らが牛耳っているのかも知れないな。
「石造りの立派な建物だな」
「そうですね。冒険者ギルドも大きかったですが、こちらはさらに大きい。近くに未開の森が広がっているので冒険者ギルドが立派なのは納得できるのですが、商業ギルドがさらにそれの上を行くとは」
「何か理由があるのかな?」
もしかすると、未開の森から貴重な何かが取れるのかも知れないな。それを管理し、流通させるために商業ギルドが大きな力を持っている。ありそうだな。
「単に領主の方針でしょう。辺境に届く物資が少なくならないようにするために、商人たちを保護しているのでしょう。その証明として商業ギルドを大きくしているみたいです」
「領主もなかなか大変そうだな。そういえば、『解呪の破魔札』は役に立ったのかな?」
「今のところはそれについての有力な情報はないですね。隠しておかなければならない何かがあるのかも知れませんが……」
そう言ってカビルンバが考え始めた。この状態のカビルンバはちょっと不気味である。あまりよろしくない状況になりそうなときは、こうやって黙り込むのだ。結論を聞くのが怖い。その間に商業ギルドにお邪魔することにしよう。
商業ギルドにはそれなりに人の姿があった。まばらではないが、決して多くはない。どうやら商業を活性化させることには苦労しているようである。
そしてそれに拍車をかけているのが、商業ギルドから発行される身分証明の値上がりである。これでますます人が訪れなくなったのは間違いないだろう。新参者が入って来なければ、商業ギルドは徐々に下り坂を転がることになるのかも知れない。
壁には購入希望表が張り出されていた。これを確認すれば、どれが高値で売れるのか、ある程度は分かるようになっている。見たところ、食料品が多いみたいだ。その次は日用雑貨。錬金術アイテムの名前はない。管轄が違うのだろう。その辺りはしっかりしているようである。
「どれも大量持ち込みが原則みたいだな。マジックバッグがあるから何とかなりそうだが、街から街への移動が大変そうだな」
「そのようですね。そして大量に買い取ってもらえるためなのか、単品で売るよりも買い取り価格が安くなっていますね」
「そうなのか。商人は大変そうだな」
本格的に商人を目指すならば、かなりの資金が必要になりそうだ。しかもそれも、当てが外れればあっと言う間にお金がなくなってしまう。私にはとてもできない。カビルンバという世界の相場を瞬時に知ることができる規格外の存在がいるが、それを使いこなせる自信がない。
結局、期待していた未開の森から取れる素材についての情報はなかった。どうやら小さな規模での買い取りはしないようである。だが大量の物を売るならここに来た方が良さそうだ。
別の場所なら「これ以上は買い取れない」と買い取り上限があるのが普通だからね。そのため私が作った回復ポーションや解毒ポーションも、お金が欲しいからと言って大量に売り出せないのだ。
ちなみに商業ギルドでの身分証明を発行してもらうための値段だが、小金貨一枚から、金貨十枚に値上がりしていた。一気に百倍とか、やり過ぎなのでは? そりゃ気軽に身分証明を買えないな。
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