大神 狼のペット

ノアメロ

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無防備

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「なんだ急に別に無理しなくてもいいんだぞ。父さんは怒らないから」
「そうじゃないよ。ただ…やっぱり見てて欲しくなった」
「そうか!」 
大神大臣は、嬉しそうに優しく微笑んだ。
「おい。」
大神は、チェーンを握っているドーベルマンの男に顎をつかい指示をした

ドーベルマンの男は無言のまま狼にチェーンを差し出した。
狼は、迷わずチェーンを手に取る。
「ありがとう…父さん…」
「…」 
大神は、無言にまた優しく微笑返し狼に背を向けリビングを後にした。
狼もリビングから出て自室へ向かう。
 
自室に向かうまでには長い廊下に壁には訳の分からない絵画が飾られている
「…君名前は?」
「……」
「言葉…分かる?」
「……」
「もしかして、話せない?」
「……」

少年は狼の問に無言のまま狼も何度か歩きながら会話を試みるが返事は無かった。そうなことをしていると自室につくガチャりと扉を開けバタンと閉める
「…」

狼は、自室に着くなりある疑問を投げかける
「君は、四つん這いで歩くのが得意なのか?」
少年は、狼の自室に着くまで四つん這いでここまで来たのだ。

狼がなぜこのタイミング言ったのか、それは、狼の自室に向かうまでの廊下には何台か監視カメラが仕掛けられているからだ。

変に人間に優しくすれば大神大臣が変な気を回すかもしれない。それどころか人間の分際として何か少年にするかもしれない。

そう思った狼は、あえて廊下では四つん這いのことを指摘しなかったが、言葉が分からないのなら聞いても無駄なのかもしれないと、狼は思った。  

狼がこれからどうするかと考え少年に背を向けると
後ろからなにか気配を感じた。

狼が後ろを振り返る。するとそこには四つん這いから2本の足で立つ少年の姿があった。
狼は、驚いた。

「な、なんだ…僕の言葉わかるのか?」
そう聞くと少年は、こくりと頷いた。
狼は、自分の言葉を理解しているのに驚き
ある場所に目がいく

「っ…」
それは、無防備にさらけ出された下半身、それはとても綺麗で狼と大きさも色も違った。

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってて」
狼は、急いで部屋にそな付けられているクローゼットに急いで向かった
そしてゴソゴソと何かを取り出している。

「あった…これだったら」
そう言って狼は、少年にあるものを渡した。渡す時もあまり少年の身体を見なかった。

「こ、これくらいなら服…着れるか?」
少年は、貰った服を手に取る
「……」
「えっと…ぼ、僕は向こう向いてるからさ、さっさと着替えな…」
狼が少年に背を向けようとしたとき
服の突っ張りを感じた少年の方に目をやった。

「ど、どうしたんだ?」
「…あ…」
少年は、初めての口を開いた
狼は、驚く
「ありが…とう…です…」
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