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Side.B・テツとエージのにゃんこ★すたぁ【R-18】
#14
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廊下に出ると佐倉がいた。
「サク?」
驚くエージに手を上げて近づいてきた。
「店に行ったらここだって聞いて」
佐倉はそう言うと心配そうに病室の方を見た。
「彼、どうしたの?」
エージと2人。時間外の待合室の椅子に座って、佐倉は話を聞くと、眉間に深い皺を寄せて言った。
「そうか……それはひでぇな」
「近くに住んでるのは知ってた。もっと早く対応しとくべきだった……完全に俺の落ち度だな」
「で?どうする?被害届は?」
それを聞かれてエージは苦い顔をする。
「本人が訴えないと意味がない。でもアイツは嫌がるだろうな」
「まぁ報復ってのもあるしな。言いたくないことも聞かれるだろうし」
「……」
「男とはいえ、性被害に遭えば無傷じゃいられない」
「でも、だからって泣き寝入りは違うだろう?」
エージはそう言うと、激しい怒りを抑えるようにじっと俯いた。その横顔を佐倉が見つめる。
互いの脳裏に、共通の面影が一瞬浮かんで――消えた。
「なぁ……」
佐倉が聞いた。
「哲弥を傍に置くのは、過去の罪滅ぼしの為か?」
そう聞かれてエージは苦笑した。
「そんなんじゃない。ただ俺は……もう後悔したくないだけだ」
「……」
「アイツを助けてやりたい。それが出来なきゃ、何のためにこんな事してるのか―――!」
そう言うと、突然椅子から立ち上がりエージは歩き出した。佐倉も立ち上がると「エージ」と声を掛けた。
「無茶なことはするな。今のお前を……俺は守ってやれんぞ」
それを聞くと、振り返ってエージは笑った。
「分かってるよ。心配すんな」
病院を出て行くエージの背を、佐倉は不安な面持ちで見つめていた。
午前2時。
賑やかに笑いながらアパートの階段を上っていく3人の男を、エージは通りの向かい側からじっと眺めていた。
しばらくして、2階の角部屋の明かりがつく。
それを確認すると、エージはゆっくりとアパートに近づいた。
「サク?」
驚くエージに手を上げて近づいてきた。
「店に行ったらここだって聞いて」
佐倉はそう言うと心配そうに病室の方を見た。
「彼、どうしたの?」
エージと2人。時間外の待合室の椅子に座って、佐倉は話を聞くと、眉間に深い皺を寄せて言った。
「そうか……それはひでぇな」
「近くに住んでるのは知ってた。もっと早く対応しとくべきだった……完全に俺の落ち度だな」
「で?どうする?被害届は?」
それを聞かれてエージは苦い顔をする。
「本人が訴えないと意味がない。でもアイツは嫌がるだろうな」
「まぁ報復ってのもあるしな。言いたくないことも聞かれるだろうし」
「……」
「男とはいえ、性被害に遭えば無傷じゃいられない」
「でも、だからって泣き寝入りは違うだろう?」
エージはそう言うと、激しい怒りを抑えるようにじっと俯いた。その横顔を佐倉が見つめる。
互いの脳裏に、共通の面影が一瞬浮かんで――消えた。
「なぁ……」
佐倉が聞いた。
「哲弥を傍に置くのは、過去の罪滅ぼしの為か?」
そう聞かれてエージは苦笑した。
「そんなんじゃない。ただ俺は……もう後悔したくないだけだ」
「……」
「アイツを助けてやりたい。それが出来なきゃ、何のためにこんな事してるのか―――!」
そう言うと、突然椅子から立ち上がりエージは歩き出した。佐倉も立ち上がると「エージ」と声を掛けた。
「無茶なことはするな。今のお前を……俺は守ってやれんぞ」
それを聞くと、振り返ってエージは笑った。
「分かってるよ。心配すんな」
病院を出て行くエージの背を、佐倉は不安な面持ちで見つめていた。
午前2時。
賑やかに笑いながらアパートの階段を上っていく3人の男を、エージは通りの向かい側からじっと眺めていた。
しばらくして、2階の角部屋の明かりがつく。
それを確認すると、エージはゆっくりとアパートに近づいた。
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