わたしの専属魔法使いR-18

みずき

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私は軽く頭を下げてゆっくりと馬車をおりる

そしてシェイド王子がの前まで歩き改めて深く会釈をする

「マリー姫、お待ちしておりました」

そう言い手を差し出した

私はシェイド王子の手を取り

「お久しぶりです、今日からよろしくお願い致します」

シェイド王子は頷き、私の手を引いて歩き始めた

シェイド王子はこの前会った時とは違いとてもあたたかい笑顔で迎えてくれた
私は少し安心した

手を引かれて歩く
シェイド王子の手の温かさが伝わってくる

悪い人ではない
ただ私がユノウの事を想っているからシェイド王子の事を好きになれないだけなんだ

これからはユノウの事は忘れて
シェイド王子の事を好きにならなければ辛い思いをする

だって私は今日シェイド王子と結ばれるのだから

ゆっくりとお城の中に入る
そのまま国王様の部屋の前まで行く

「マリー姫、心の準備は大丈夫ですか?」

私は緊張しながら頷く

シェイド王子の手が離れて私の方をポンポンと叩いた

「緊張しないで、いつも通りのマリーで大丈夫だ」

シェイド王子が緊張をといてくれようとしている、私はなんだか照れくさくなってしまう

「シェイド王子、ありがとうございます」

私はシェイド王子の目を見つめ笑顔で答える

私と目が合うと照れくさそうに目線を逸らした

「ならいいんだ、行こう」

シェイド王子が合図をすると扉の近くにいたお手伝いさんが扉を開けてくれた

扉が開くと国王様が椅子に座っていた

「国王様、マリー姫をお連れしました」

ゆっくり頷いた

「マリー姫、待っておりましたぞ」

「国王様、まだまだ未熟な私ですがよろしくお願い致します」

私はゆっくり深く頭を下げる

「ああ、こちらこそよろしく頼む、今日は1日ゆっくり休んで明日の婚礼の儀にそなえてくれ、下がってよい」

「はい」

シェイド王子が返事をし、私の手を引き部屋を後にした

「私、大丈夫でしたか?」

「大丈夫だ、これからは家族なのだからそんなに怖がらなくてもいい」

私はシェイド王子の手をぎゅっと握る

優しく握り返してくれた

言葉を交わさないまま歩く

綺麗な白い扉の前でシェイド王子が立ち止まる

「ここがマリー姫の部屋です」

「私の部屋?」

「そうです」 

「部屋がいただけるなんて思ってもいませんでした」

「部屋がないなんてそんな訳ありません、大事な家族だから、家具はまだありません、マリー姫の好きな物を置きたいと思い準備しませんでした、落ち着いたら一緒に揃えましょう、とりあえずは2人で過ごす部屋へ行きましょう」

私は頷いた

手を引かれてそのまま少し歩くと今度は赤い大きな扉の前で立ち止まる

扉の前にはお手伝いさんが二人立っていて私たちに気付くと頭を下げた

そして扉をゆっくりと開けてくれた

扉が開くと
部屋の中は綺麗な真紅の赤で統一された家具が並べられていた

「すごく綺麗……」

「マリー姫のイメージに合わせて準備させたんだ、どうだろう?」

「とても、素晴らしいです、私……こちらに嫁いだら酷い目に合うんじゃないかって思っていて……」

「なぜ?どうしてそんな事を」

「私の勝手な考えで……ごめんなさい……」

「全く……悪く考えないでくれ、この結婚はお互いの国の為でもあるけど、マリー姫に恋をしていたのは本当だ」

「私に恋してた?」

「恥ずかしいが、マリー姫はいろんな国で噂になる程とても美しくとても国民思いな方だと」

「私がそんな噂に……」

「悪い噂ではないから、噂を聞くと他の国の王子達もマリー姫との結婚を望んでいたとか」

「そんな事になってたなんて全然知りませんでした」

「国王もそんな噂があったたとしてもマリー姫にお話する事はないのではありませんか?」

「なぜ?」

「大事な家族です、本当はずっと側に置いておきたいでしょうから」

シェイド王子は私の目を真っ直ぐに見つめる

「シェイド王子……?」

「ありがとう」

「え?」

「いろんな不安がある中でミユリフ王国へ嫁いできてくれてありがとう」

「そっ、そんな……」

「一生大事にする」

そんなまっすぐな瞳で
そんな言葉を言われたら

なんだか胸がざわざわしちゃう……

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