2 / 2
高野家の小学生について。
しおりを挟む
高野家には、お母さん思いのちょっと生意気な小学生がいる。五男の知己だ。
「お母さんおはよう!!」知己が朝から元気に挨拶をする。小学生らしくて大変結構なのだが、一つ問題がある。
「ちょっと知己!!ここにはお母さんだけじゃなくてあたしもいるでしょ!?」高い声でしかるのは、長女のあきら。お母さんと一緒に朝食を作っている。
「俺もいるぞ!」と試食係の朝陽も参戦した。ところが知己は何事もなかったかのようにお母さんの近くに行き、
「今日の朝ごはんはなに??」
上目遣いでお母さんの顔を見上げて、愛らしい声で聞く。自分のかわいさを自覚しているに違いない。
「お姉ちゃんたちに挨拶したら教えてあげる」お母さんはそう言うと、知己に意地悪そうな笑顔を向ける。知己はそう言われてから渋々二人に向かって声を出した。
「……おはようお姉ちゃん、お兄ちゃん」顔をちょっと気まずそうにして、もじもじしながらいうその姿に、二人の顔があっという間に緩む。
「おはようっ!!!」あきらがおもいっきり知己に抱きついた。一見ほほえましいのだが、朝陽は見てしまった。知己の顔がいかにも
「計算通り」という顔になっている。要するにまあ、姉に素直に甘えるのが恥ずかしいのだろう。可愛いところもある。
「私知己に嫌われてるのかなー…」例のごとく冷たい反応をされた彩苺が、登校中に嘆く。朝陽は真実を知っているから悲しくはならないが、にぶい彩苺はそういうわけにもいかない。
「そんなことないって!」適当に誤魔化してその場をやり過ごす。
帰ったら知己に彩苺が寂しがってるって報告しよう。きっとあせるだろうな。あたふたして彩苺のところに飛んでいくんだろうな。そんなことを考えながら歩いていると、自然と顔が緩んでしまう。本人は上手く隠しているかもしれないが、兄である朝陽には知己の考えていることはバレバレなのである。
生意気ながらもまだまだ考え方がかわいらしい、そんな末っ子は皆からとても愛されている。
「お母さんおはよう!!」知己が朝から元気に挨拶をする。小学生らしくて大変結構なのだが、一つ問題がある。
「ちょっと知己!!ここにはお母さんだけじゃなくてあたしもいるでしょ!?」高い声でしかるのは、長女のあきら。お母さんと一緒に朝食を作っている。
「俺もいるぞ!」と試食係の朝陽も参戦した。ところが知己は何事もなかったかのようにお母さんの近くに行き、
「今日の朝ごはんはなに??」
上目遣いでお母さんの顔を見上げて、愛らしい声で聞く。自分のかわいさを自覚しているに違いない。
「お姉ちゃんたちに挨拶したら教えてあげる」お母さんはそう言うと、知己に意地悪そうな笑顔を向ける。知己はそう言われてから渋々二人に向かって声を出した。
「……おはようお姉ちゃん、お兄ちゃん」顔をちょっと気まずそうにして、もじもじしながらいうその姿に、二人の顔があっという間に緩む。
「おはようっ!!!」あきらがおもいっきり知己に抱きついた。一見ほほえましいのだが、朝陽は見てしまった。知己の顔がいかにも
「計算通り」という顔になっている。要するにまあ、姉に素直に甘えるのが恥ずかしいのだろう。可愛いところもある。
「私知己に嫌われてるのかなー…」例のごとく冷たい反応をされた彩苺が、登校中に嘆く。朝陽は真実を知っているから悲しくはならないが、にぶい彩苺はそういうわけにもいかない。
「そんなことないって!」適当に誤魔化してその場をやり過ごす。
帰ったら知己に彩苺が寂しがってるって報告しよう。きっとあせるだろうな。あたふたして彩苺のところに飛んでいくんだろうな。そんなことを考えながら歩いていると、自然と顔が緩んでしまう。本人は上手く隠しているかもしれないが、兄である朝陽には知己の考えていることはバレバレなのである。
生意気ながらもまだまだ考え方がかわいらしい、そんな末っ子は皆からとても愛されている。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
土産物売りの少年
海帆 走 かいほ かける
青春
10歳の少年イスラはイースター島の土産物売り。
言語障害がある可愛い娘マリーアや幼い弟妹、気の良い仲間たちとイスラが繰り広げるヒューマンドラマ。
買い物に来る観光客とのやりとり、イースター島の暮らしで仲間や友人と成長するイスラを見てください。
坊主の決意:ちひろの変身物語
S.H.L
青春
### 坊主のちひろと仲間たち:変化と絆の物語
ちひろは高校時代、友達も少なく、スポーツにも無縁な日々を過ごしていた。しかし、担任の佐藤先生の勧めでソフトボール部に入部し、新しい仲間たちと共に高校生活を楽しむことができた。高校卒業後、柔道整復師を目指して専門学校に進学し、厳しい勉強に励む一方で、成人式に向けて髪を伸ばし始める。
専門学校卒業後、大手の整骨院に就職したちひろは、忙しい日々を送る中で、高校時代の恩師、佐藤先生から再び連絡を受ける。佐藤先生の奥さんが美容院でカットモデルを募集しており、ちひろに依頼が来る。高額な謝礼金に心を動かされ、ちひろはカットモデルを引き受けることに。
美容院での撮影中、ちひろは長い髪をセミロング、ボブ、ツーブロック、そして最終的にスキンヘッドにカットされる。新しい自分と向き合いながら、ちひろは自分の内面の強さと柔軟性を再発見する。仕事や日常生活でも、スキンヘッドのちひろは周囲に驚きと感動を与え、友人たちや同僚からも応援を受ける。
さらに、ちひろは同級生たちにもカットモデルを提案し、多くの仲間が参加することで、新たな絆が生まれる。成人式では、ロングヘアの同級生たちとスキンヘッドの仲間たちで特別な集合写真を撮影し、その絆を再確認する。
カットモデルの経験を通じて得た収益を元に、ちひろは自分の治療院を開くことを決意。結婚式では、再び髪をカットするサプライズ演出で会場を盛り上げ、夫となった拓也と共に新しい未来を誓う。
ちひろの物語は、外見の変化を通じて内面の成長を描き、友情と挑戦を通じて新たな自分を見つける旅路である。彼女の強さと勇気は、周囲の人々にも影響を与え、未来へと続く新しい一歩を踏み出す力となる。
【完結】遠くて近きは幼なじみ
カムナ リオ
青春
疎遠になっていた、二人の運命が交差するーー
仁科華は、待ちに待っていた0時から配信されるゲームをダウンロードしようとしていたが、突然の雷で家の電気が落ち、wifiが死に途方に暮れる。
二駅先のファミレスのwifiでゲームをダウンロードすべく、出かけようと思って窓の外を見たら、激しい雨が降ってきていた。
その時、昔仲が良かった近所の幼馴染の家の窓に、明かりが灯っている事に気がつく。華は、今はほぼ交流の無くなってしまったその幼馴染の家のwifiを借りれないか、一か八か連絡しようとするが……。
※この作品は他、小説サイトにも掲載しています。
そうして怪談だけが残った
こうやさい
青春
ここでするのもあれだけど私信。明日からVistaで某サイトが見えなくなるそうなのでしばらくは環境設定にかかりきりになります。コピペで済むのは未定だけど『叶わぬ夢を見たけれど』は完璧に止まります。あとこの部分はさすがに後で消す。近況ボード使えと言われそうだけどあれ苦手なんだよ、アリバイが消滅するから。だから初回完結日も苦手。。。
この学校には『『ハッピーバースディートゥーユー』を歌うスマホ』という怪談がある。
伏線はありませんが夢オチです(爆)。なのでカテゴリは変えましたが多少ホラーテイストのはずです。
なんかどっかにありそうな話だなぁ。
あとバス事故の要素等が少し出てきます。苦手な方はお気をつけ下さい。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる