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高野家の中学生について。
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高野家には7人の子供がいる。
皆大変騒がしいが、とくに中学生コンビは酷い。
次女の彩苺と、四男の朝陽。今日はそんな二人の小話を1つ。
「朝陽!」
日曜の朝、まだ6時なのに彩苺の元気のいい声が家中に響き渡る。そして朝陽の部屋の扉をおもいっきり開ける。
「なんだよ…」まだ寝ていたのだろう。朝陽が寝ぼけたような声で返す。
「学校に宿題忘れてきちゃった!!」
「あー…?? しょーがねーなぁー…」といってベットからぬけだすと、彩苺を部屋の外に出して「着替えるから待ってろ」と言って扉を閉めた。
日曜日の朝七時。学校は二人しかいないような、それくらいの静かさだ。宿題を取りに行くなんて学校に着いて5分もしないうちに終わった。
「ありがとうございましたっ!」
元気のいい声が廊下に響く。
「別にいいけどよー…帰りにアイス奢ってくれるな…ら……」朝陽の目がある方向に釘付けになった。彩苺もつられて見てみると、そこには水のはったプール。そう言えば、来週からプール授業が始まる。朝早く、太陽の光を浴びて光っている水がやけに綺麗に見えるのは、気分が高揚してきたからだろうか。彩苺が朝陽を見ると、朝陽もこっちを見ていた。キラキラした目で!
二人ははいていた靴と靴下を脱いで、走り出した。
制服のまま水の中にダイブして、お互いまるで幼稚園生のようにはしゃいだ。先生にばれるとか、親に怒られるとか、これっぽっちも考えてない。ただ、今しかないこの時間を楽しんだ。二人が動くたびに跳ねる水が、とても眩しかった。
先生に一人でも見つかったら、今ごろ頭にタンコブがいくつもあったことだろう。
帰り道、彩苺は朝陽にアイスを買った。お互いずぶ濡れで、コンビニにもスーパーにも入るのが申し訳なく、自販機のアイスにした。それでも、二人にとってはどんな高級なアイスよりも特別に感じた。
「いい日曜日だなー…」
朝陽がアイスにかじりつきながら、まるで休日の父さんみたいなことをいう。彩苺は朝陽に向かって、満面の笑みで言い返す。
「何いってんの!!日曜日はまだまだこれからだよ!!」
そう、二人の日曜日は、まだ半分も終わってない。
ようやく暑くなってきたアスファルトの上を、二つの影が楽しそうに走っていく。
皆大変騒がしいが、とくに中学生コンビは酷い。
次女の彩苺と、四男の朝陽。今日はそんな二人の小話を1つ。
「朝陽!」
日曜の朝、まだ6時なのに彩苺の元気のいい声が家中に響き渡る。そして朝陽の部屋の扉をおもいっきり開ける。
「なんだよ…」まだ寝ていたのだろう。朝陽が寝ぼけたような声で返す。
「学校に宿題忘れてきちゃった!!」
「あー…?? しょーがねーなぁー…」といってベットからぬけだすと、彩苺を部屋の外に出して「着替えるから待ってろ」と言って扉を閉めた。
日曜日の朝七時。学校は二人しかいないような、それくらいの静かさだ。宿題を取りに行くなんて学校に着いて5分もしないうちに終わった。
「ありがとうございましたっ!」
元気のいい声が廊下に響く。
「別にいいけどよー…帰りにアイス奢ってくれるな…ら……」朝陽の目がある方向に釘付けになった。彩苺もつられて見てみると、そこには水のはったプール。そう言えば、来週からプール授業が始まる。朝早く、太陽の光を浴びて光っている水がやけに綺麗に見えるのは、気分が高揚してきたからだろうか。彩苺が朝陽を見ると、朝陽もこっちを見ていた。キラキラした目で!
二人ははいていた靴と靴下を脱いで、走り出した。
制服のまま水の中にダイブして、お互いまるで幼稚園生のようにはしゃいだ。先生にばれるとか、親に怒られるとか、これっぽっちも考えてない。ただ、今しかないこの時間を楽しんだ。二人が動くたびに跳ねる水が、とても眩しかった。
先生に一人でも見つかったら、今ごろ頭にタンコブがいくつもあったことだろう。
帰り道、彩苺は朝陽にアイスを買った。お互いずぶ濡れで、コンビニにもスーパーにも入るのが申し訳なく、自販機のアイスにした。それでも、二人にとってはどんな高級なアイスよりも特別に感じた。
「いい日曜日だなー…」
朝陽がアイスにかじりつきながら、まるで休日の父さんみたいなことをいう。彩苺は朝陽に向かって、満面の笑みで言い返す。
「何いってんの!!日曜日はまだまだこれからだよ!!」
そう、二人の日曜日は、まだ半分も終わってない。
ようやく暑くなってきたアスファルトの上を、二つの影が楽しそうに走っていく。
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