7 / 23
7.隻腕聖女
しおりを挟む
一艘の船が近づいてきて、数名の兵士が桟橋に降りた。
ほかの船は川に落ちたものの救助をしているようだ。
「大丈夫か!」
最初に降り立った赤い髪の男が声をかけた。日に焼けていて、体格がよく、歳は二十代前半くらいに見える。
「ええ、焼けているので出血はわずかです」
「い、いや……出血とかそういう問題ではなく……腕が」
「大丈夫です。傷口は霊力でなんとかします」
「霊力? そ、そうか。あれは、いったい……」
「長いのは邪神の眷属で『忌まわしき狩人』とか『狩り立てる恐怖』とか呼ばれるものです。炎の邪神は、それをなんとかするためにわたしが呼び出しました」
「おまえが……あの火の玉を?」
「邪神に敵対する別の邪神を召喚したのです。さすがにタダというわけにはいかず、腕を一本持っていかれましたが」
「呼び出した邪神が代償として奪っていったということか」
「ええ……まあ、命までは取られなかったので安くつきました」
「なんとも豪胆な……我々はエキドナ王国のものだ。おれはウガイ城の警護をしているグレゴリー・ペダンという。おまえは何者だ?」
「わたしはナタ・デ・ココ。ヴァンバルシアの聖女でしたが、追放されてこの森で暮らしています」
「追放? こんな子どもが聖女でこんな場所に追放とは、よほどの事情がありそうだな」
「正確には『大聖女候補』です。子どもでもありません。話せば長くなりますが」
「そうだな、まずは手当が先だ。話はあとで聞こう」
ココは船に乗せられた。
船には女も乗っており、彼女たちが身体を拭いて着替えもさせてくれた。
傷口は治療の必要がないほどふさがっていた。
「こちらのほうは大丈夫です。わたしも怪我人の手当てをお手伝いしましょう」
逆に、救助中の船に行って傷ついたものや溺れたものを霊力で治療した。
残った左の手のひらをかざし念を込める。怪我が一瞬で治るということはないが、徐々に回復していく。そのあいだにほかのものが応急処置をした。
「聖女殿、こちらもお願いします!」
「聖女殿、こっちも!」
怪しげな術をつかう異国の少女に、そこかしこから声がかかった。
それほど現状は逼迫していたし、命が助かるなら魔術にでもなんでもすがりたいというのはだれでも思うことだった。
ココは船から船へと移って治療をつづけた。
「あなたのおかげで多くの命が救われました」
怪我人の手当てがひと通り終わり、ぐったりと座り込んだココの横に、治療の指揮をとっていた初老の男が立って言った。
「いえ、わたしにもっと霊力があればよかったのですが……まだ助けられた命もあったはず」
どんな霊力を持ってしても、死んだものを生き返らせることはできない。
目の前で息を引き取ったものもいた。その死を悼む間も無く、つぎの患者へと移らなければならない。助けられたもののことよりも助けられなかったもののことを考えてしまう。これまでにないつらい経験だった。
「被害を最小限に食い止めることができました。これ以上望みようがないほどに。聞けば、魔物もあなたが追い払ってくれたとのこと、お礼の言いようがありません」
「いえ……お礼なんて」
ヴァンバルシアで霊力をつかい果たして身体が成長しなくなったときは悲しかった。ウガイの森でひとりぼっちになったときは絶望した。しかし、まだまだそれを超えるような悲しみも絶望もあるのだった。人生にはいったいどれほどの不幸が用意してあるのだろう。
ココはうつむいて左の手のひらを見つめていた。
霊力が消耗している。
治療につかったからではない。生きる気力が失われると霊力は激減するようだった。
「いや、礼は言わせてもらおう」
後ろから別の男の声がした。
ふり向くと、いかにも身分の高そうな服を着た年配の男がいた。そのとなりにはココとおなじくらいの年齢——実年齢ではなく見た目——の少年が寄り添っている。さらに、両脇を守るように数人の兵士が立っていた。その中にはグレゴリー・ペダンもいて、ココと目が合うとコクリとうなずいた。
「ずいぶんと世話になったからのう」
身分の高そうな男が言った。顔は白い髪と髭で囲われている。そのせいで年寄りに見えるが、実際は五十歳くらいだろうと思われる。
「聖女が追放とはよほどの事情がありそうだな……わしはエキドナ国の王、レイモンド。こっちはせがれのアルバートだ」
男は脇に立つ少年の肩をポンと叩いた。
「エキドナ王国の国王陛下と王太子殿下であらせられましたか、これはご無礼を」
ココはうやうやしく膝をついた。
「かしこまらずともよい。そなたは命の恩人だ。疲れているところをすまんが少し話を聞かせてもらおう」
王と王子は臣下の持ってきた椅子に座った。
兵士のあいだから文官らしき男があらわれてココにたずねた。
「ナタ・デ・ココとおっしゃるそうですね。ここにいるグレッグに聞きました。ヴァンバルシア王国の大聖女候補だったが追放されたと」
「はい」
ココは現在に至る境遇を憶測を交えず簡単に話した。
「なるほど、我々は『聖女』というものを深く理解していないのですが、あなたの追放には正当性が見受けられないように思います」
「どういった判断でこうなったのかは、わたしにはわかりません」
ココはババロアの顔を思い浮かべながら答えた。
「では、先ほどの魔物についておたずねします。あとからあらわれた邪神はあなたが呼び出したとして、先にあらわれた蛇のようなものはいったいどういうわけで……」
「わかりませんが、だれかが船を襲わせるつもりで召喚した可能性はあります」
「このような恐ろしいことをするものは急いで捕えなければ」
兵士のひとりが口をはさんだ。
「生きている可能性は低いと思います。召喚士は最初の餌食になったでしょうから」
「では、召喚したものはもう生きてはいないと」
文官は兵士を制して質問をつづけた。
「おそらく」
「目的を達成するために自分の命を捧げたか……それにしても召喚したものを食ってしまうとはなんとも理不尽な……」
「邪神に人間の常識は通用しません。かれらには善も悪もなく価値観もまったくちがうのです」
「たまたま出くわしたという可能性は?」
「ないとは言い切れませんが、わたしがここで暮らしているあいだ一度も目にしたことはありませんでした。前回あらわれたのは数十年も前だと聞いていますので、だれかに呼び出された可能性のほうが高いかと」
「過去の記録を調べておけ」
王が文官に命ずると彼は「はっ」と短く答えた。
「どうしてこんな支流のほうに」
今度はココがたずねた。
「魔物をよけているうちに支流深くに入ってきてしまったのだ。たまたまだったが、あなたがいてくれてよかった。まあそちらとしては災難だったかもしれんが……」
「この恩には厚く報いると誓おう」
王はココの肩口を見ながら言った。
「ここの暮らしは不便であろう。ぜひエキドナに来てほしい」
「陛下、他国の刑に服しているものですぞ」
文官が異議を唱えたが、王の意思は変わらなかった。
「命の恩人になにもしなかったというわけにはいかんだろう。それに、我々よりは魔物に詳しいようだから今後も相談することがあるかもしれん。ヴァンバルシアにはうまいこと言っておけ」
「またそんな無茶を」
そう言いながら、文官も本気で止める気はないようだった。
ココは、自分が国家間の争いの火種になるのは望まなかったが、皆がぜひにと言うので船に乗ってエキドナ王国へ行くことに同意した。
人と会話をすると、またひとりぼっちになるのがつらいという心情もあった。
出航の準備が整うまでまだ時間があったので、小船を借りて荷物を取りに住居にもどった。
「こんなところに六年もいたのですか……」
小船を漕ぐためについてきたふたりの兵士が、ぼろぼろの小屋を見て感心したようなあきれたような声をあげた。
「え、ええ……まあ、住めばなんとやらで」
ココはコンテナに荷物を詰めながら、顔を赤くして答えた。
どうしても必要なものというのはそう多くない。ノエルが送ってくれた道具はあらかたコンテナひとつに収まった。
そのコンテナを兵士が担いだ。ココは片腕なのでどうしようもない。
(ノエルに連絡を取る方法があればいいのだけど)
今後、また荷物が送られてきたとき、それを回収しなかったらなにかあったと心配するにちがいない。
ココはコンテナをバラした板の一枚に向かうと、釘で表面を削って文字を書いた。
桟橋にもどるとそれを橋けたの木材のあいだに立て札のように差した。
ふたりの兵士も手伝ってしっかりと固定した。
板には「エキドナへ」と書いてあった。
ほかの船は川に落ちたものの救助をしているようだ。
「大丈夫か!」
最初に降り立った赤い髪の男が声をかけた。日に焼けていて、体格がよく、歳は二十代前半くらいに見える。
「ええ、焼けているので出血はわずかです」
「い、いや……出血とかそういう問題ではなく……腕が」
「大丈夫です。傷口は霊力でなんとかします」
「霊力? そ、そうか。あれは、いったい……」
「長いのは邪神の眷属で『忌まわしき狩人』とか『狩り立てる恐怖』とか呼ばれるものです。炎の邪神は、それをなんとかするためにわたしが呼び出しました」
「おまえが……あの火の玉を?」
「邪神に敵対する別の邪神を召喚したのです。さすがにタダというわけにはいかず、腕を一本持っていかれましたが」
「呼び出した邪神が代償として奪っていったということか」
「ええ……まあ、命までは取られなかったので安くつきました」
「なんとも豪胆な……我々はエキドナ王国のものだ。おれはウガイ城の警護をしているグレゴリー・ペダンという。おまえは何者だ?」
「わたしはナタ・デ・ココ。ヴァンバルシアの聖女でしたが、追放されてこの森で暮らしています」
「追放? こんな子どもが聖女でこんな場所に追放とは、よほどの事情がありそうだな」
「正確には『大聖女候補』です。子どもでもありません。話せば長くなりますが」
「そうだな、まずは手当が先だ。話はあとで聞こう」
ココは船に乗せられた。
船には女も乗っており、彼女たちが身体を拭いて着替えもさせてくれた。
傷口は治療の必要がないほどふさがっていた。
「こちらのほうは大丈夫です。わたしも怪我人の手当てをお手伝いしましょう」
逆に、救助中の船に行って傷ついたものや溺れたものを霊力で治療した。
残った左の手のひらをかざし念を込める。怪我が一瞬で治るということはないが、徐々に回復していく。そのあいだにほかのものが応急処置をした。
「聖女殿、こちらもお願いします!」
「聖女殿、こっちも!」
怪しげな術をつかう異国の少女に、そこかしこから声がかかった。
それほど現状は逼迫していたし、命が助かるなら魔術にでもなんでもすがりたいというのはだれでも思うことだった。
ココは船から船へと移って治療をつづけた。
「あなたのおかげで多くの命が救われました」
怪我人の手当てがひと通り終わり、ぐったりと座り込んだココの横に、治療の指揮をとっていた初老の男が立って言った。
「いえ、わたしにもっと霊力があればよかったのですが……まだ助けられた命もあったはず」
どんな霊力を持ってしても、死んだものを生き返らせることはできない。
目の前で息を引き取ったものもいた。その死を悼む間も無く、つぎの患者へと移らなければならない。助けられたもののことよりも助けられなかったもののことを考えてしまう。これまでにないつらい経験だった。
「被害を最小限に食い止めることができました。これ以上望みようがないほどに。聞けば、魔物もあなたが追い払ってくれたとのこと、お礼の言いようがありません」
「いえ……お礼なんて」
ヴァンバルシアで霊力をつかい果たして身体が成長しなくなったときは悲しかった。ウガイの森でひとりぼっちになったときは絶望した。しかし、まだまだそれを超えるような悲しみも絶望もあるのだった。人生にはいったいどれほどの不幸が用意してあるのだろう。
ココはうつむいて左の手のひらを見つめていた。
霊力が消耗している。
治療につかったからではない。生きる気力が失われると霊力は激減するようだった。
「いや、礼は言わせてもらおう」
後ろから別の男の声がした。
ふり向くと、いかにも身分の高そうな服を着た年配の男がいた。そのとなりにはココとおなじくらいの年齢——実年齢ではなく見た目——の少年が寄り添っている。さらに、両脇を守るように数人の兵士が立っていた。その中にはグレゴリー・ペダンもいて、ココと目が合うとコクリとうなずいた。
「ずいぶんと世話になったからのう」
身分の高そうな男が言った。顔は白い髪と髭で囲われている。そのせいで年寄りに見えるが、実際は五十歳くらいだろうと思われる。
「聖女が追放とはよほどの事情がありそうだな……わしはエキドナ国の王、レイモンド。こっちはせがれのアルバートだ」
男は脇に立つ少年の肩をポンと叩いた。
「エキドナ王国の国王陛下と王太子殿下であらせられましたか、これはご無礼を」
ココはうやうやしく膝をついた。
「かしこまらずともよい。そなたは命の恩人だ。疲れているところをすまんが少し話を聞かせてもらおう」
王と王子は臣下の持ってきた椅子に座った。
兵士のあいだから文官らしき男があらわれてココにたずねた。
「ナタ・デ・ココとおっしゃるそうですね。ここにいるグレッグに聞きました。ヴァンバルシア王国の大聖女候補だったが追放されたと」
「はい」
ココは現在に至る境遇を憶測を交えず簡単に話した。
「なるほど、我々は『聖女』というものを深く理解していないのですが、あなたの追放には正当性が見受けられないように思います」
「どういった判断でこうなったのかは、わたしにはわかりません」
ココはババロアの顔を思い浮かべながら答えた。
「では、先ほどの魔物についておたずねします。あとからあらわれた邪神はあなたが呼び出したとして、先にあらわれた蛇のようなものはいったいどういうわけで……」
「わかりませんが、だれかが船を襲わせるつもりで召喚した可能性はあります」
「このような恐ろしいことをするものは急いで捕えなければ」
兵士のひとりが口をはさんだ。
「生きている可能性は低いと思います。召喚士は最初の餌食になったでしょうから」
「では、召喚したものはもう生きてはいないと」
文官は兵士を制して質問をつづけた。
「おそらく」
「目的を達成するために自分の命を捧げたか……それにしても召喚したものを食ってしまうとはなんとも理不尽な……」
「邪神に人間の常識は通用しません。かれらには善も悪もなく価値観もまったくちがうのです」
「たまたま出くわしたという可能性は?」
「ないとは言い切れませんが、わたしがここで暮らしているあいだ一度も目にしたことはありませんでした。前回あらわれたのは数十年も前だと聞いていますので、だれかに呼び出された可能性のほうが高いかと」
「過去の記録を調べておけ」
王が文官に命ずると彼は「はっ」と短く答えた。
「どうしてこんな支流のほうに」
今度はココがたずねた。
「魔物をよけているうちに支流深くに入ってきてしまったのだ。たまたまだったが、あなたがいてくれてよかった。まあそちらとしては災難だったかもしれんが……」
「この恩には厚く報いると誓おう」
王はココの肩口を見ながら言った。
「ここの暮らしは不便であろう。ぜひエキドナに来てほしい」
「陛下、他国の刑に服しているものですぞ」
文官が異議を唱えたが、王の意思は変わらなかった。
「命の恩人になにもしなかったというわけにはいかんだろう。それに、我々よりは魔物に詳しいようだから今後も相談することがあるかもしれん。ヴァンバルシアにはうまいこと言っておけ」
「またそんな無茶を」
そう言いながら、文官も本気で止める気はないようだった。
ココは、自分が国家間の争いの火種になるのは望まなかったが、皆がぜひにと言うので船に乗ってエキドナ王国へ行くことに同意した。
人と会話をすると、またひとりぼっちになるのがつらいという心情もあった。
出航の準備が整うまでまだ時間があったので、小船を借りて荷物を取りに住居にもどった。
「こんなところに六年もいたのですか……」
小船を漕ぐためについてきたふたりの兵士が、ぼろぼろの小屋を見て感心したようなあきれたような声をあげた。
「え、ええ……まあ、住めばなんとやらで」
ココはコンテナに荷物を詰めながら、顔を赤くして答えた。
どうしても必要なものというのはそう多くない。ノエルが送ってくれた道具はあらかたコンテナひとつに収まった。
そのコンテナを兵士が担いだ。ココは片腕なのでどうしようもない。
(ノエルに連絡を取る方法があればいいのだけど)
今後、また荷物が送られてきたとき、それを回収しなかったらなにかあったと心配するにちがいない。
ココはコンテナをバラした板の一枚に向かうと、釘で表面を削って文字を書いた。
桟橋にもどるとそれを橋けたの木材のあいだに立て札のように差した。
ふたりの兵士も手伝ってしっかりと固定した。
板には「エキドナへ」と書いてあった。
1
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
聖女追放。
友坂 悠
ファンタジー
「わたくしはここに宣言いたします。神の名の下に、このマリアンヌ・フェルミナスに与えられていた聖女の称号を剥奪することを」
この世界には昔から聖女というものが在った。
それはただ聖人の女性版というわけでもなく、魔女と対を成すものでも、ましてやただの聖なる人の母でもなければ癒しを与えるだけの治癒師でもない。
世界の危機に現れるという救世主。
過去、何度も世界を救ったと言われる伝説の少女。
彼女こそ女神の生まれ変わりに違いないと、そう人々から目されたそんな女性。
それが、「聖女」と呼ばれていた存在だった。
皇太子の婚約者でありながら、姉クラウディアにもジーク皇太子にも疎まれた結果、聖女マリアンヌは正教会より聖女位を剥奪され追放された。
喉を潰され魔力を封じられ断罪の場に晒されたマリアンヌ。
そのまま野獣の森に捨てられますが……
野獣に襲われてすんでのところでその魔力を解放した聖女マリアンヌ。
そこで出会ったマキナという少年が実は魔王の生まれ変わりである事を知ります。
神は、欲に塗れた人には恐怖を持って相対す、そういう考えから魔王の復活を目論んでいました。
それに対して異議を唱える聖女マリアンヌ。
なんとかマキナが魔王として覚醒してしまう事を阻止しようとします。
聖都を離れ生活する2人でしたが、マキナが彼女に依存しすぎている事を問題視するマリアンヌ。
それをなんとかする為に、魔物退治のパーティーに参加することに。
自分が人の役にたてば、周りの人から認めてもらえる。
マキナにはそういった経験が必要だとの思いから無理矢理彼を参加させますが。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる