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3話

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駆ける。

「……ない」

駆ける。

「……ない!」

駆ける。

「……ないっ!」

駆ける。
苛立ちが沸々と沸き立ちながら、息が荒くなりながら、それでも駆け続ける。
だが、どの店でもタバコを見つけることができずにいた。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

息を整えるために一端立ち止まり、大きく深呼吸する。
空を見れば薄暗さは無くなり、いつのまにか太陽がその姿を現している。
いったいどれだけ探し続けただろうか。

「……はぁ。にしても、タバコどころか食い物もないのは参ったな」

幾つもの店を回った。
コンビニも、ドラックストアも、スーパーも。
しかしどの店も中身は空っぽ。
日用品はいくらか残ってるものもあったが、食品に関しては全滅だ。
避難所ではろくに飲み食いできなくて空腹のまま飛び出してきたから、何処かで食料調達もしようと思ってたのに当てが外れた。

「とりあえずマッチ箱1つは手に入ったけど、これだけあってもなぁ」

事件が起こってから大分時間もたっているとはいえ、店の倉庫も含めて丸ごとないというのは変な話だ。

「……そういえば店の中に頭に風穴があいたゾンビがいたな。銃器持った奴等が、組織立って物資の回収でもしてるのかもな。警察か自衛隊か、はたまた銃器を手に入れた一般人か……前者であることを祈ろう」

ゾンビ映画を見てると、大抵一般人が銃を持つとろくなことをしないのだ。
仲間なのに意見の食い違いがあっただけで銃を向けたり、物資を全部自分の物にするために見つけた生存者を銃で脅したり。
まぁ、こんな状況だと警察や自衛隊の中にも、面倒事を起こす人が出てきそうだけど。
これもまた、ゾンビ映画の定番だ。

「誰かはわからないけど、組織立って物資の回収をしてるならここまで見つけられないのも納得だけど……それにしたって、タバコの1箱くらい残っててもいいもんじゃないの? なんでないんだよ、禁煙のご時世じゃなかったのかよ……」

食べ物が無いのはまだわかる。
皆、腹は空くだろうし、俺だって空いている。
まだゾンビ化してないからか、そこらで転がっている腐肉を食らいたいという欲求はなく、普通の食べ物が食べたいという意味で腹が空いている。
だけど食べ物に関しては、この際もうどうでもいい。
どうせいつかはわからないが、今日中には俺もゾンビになってしまうのだから。
腹が空いてるのは、この際我慢しよう。
俺の今の目的は、何よりもタバコを吸うことなんだ。
なのに、タバコの1箱すらどこにも転がっていない。

「ちっ、禁煙禁煙とか言いながら、結局皆吸いたいんじゃないか!」

全員が全員そうだとは思わないが、結局のところ周りに流されて禁煙してる人も多かったのだろうな。
どこもかしこも禁煙のご時世だったし。
それがこの事態になり、自制心が崩壊した。
俺みたいにタバコを吸いたいと思う奴が本当は大勢いて、それで食べ物だけでなくタバコすらも回収していったのだろう。
……それにしたって、どの銘柄も残されてないのは見境がなさ過ぎないか?

「普通のタバコはもとより葉巻もシガリロもない、手巻きタバコもパイプタバコもない。不人気で、もう少しで廃番になるんじゃね? とか言われてた銘柄すらない! この際なんでもいいってか!? 俺も何でもいいから吸わせろよ! おらっ!」

「ガッ」

八つ当たりに、俺に向かってノロノロ歩いてきたゾンビの頭を鉄パイプでホームラン。
吹っ飛んだゾンビが塀にぶつかり、そのまま動かなくなった。

「ったく。こんな状況で他人のことまで気にしてられないのかもだけど、手当たり次第に持って行くのは止めてくれよ」

手持無沙汰に鉄パイプをクルクル回しながら、これからどうするか考える。

「……俺がいた避難所にはタバコなんてなかったけど、別の避難所にならあるか? だったら分けてもらいに……いや、仮にあったとしても俺、噛まれてるしなぁ」

仮に俺が他所の避難所に行っても、まずは体を調べられるだろう。
そうすれば間違いなく、手の噛み跡は見つけられる。
そこで追い出されるならともかく、隔離されようものならたまったものじゃない。

「最期の頼みで1本だけ分けてくれる優しい人がいるのを期待するか? ……いや、最悪ゾンビになる前に殺すとかいう避難所に当たるかもしれないし」

大抵は追い払うか隔離かになるだろうが、おそらく何処かにはそういう所もあるだろう。
噛まれたらゾンビになる、治療薬の情報も今の所ない。
耐性があってゾンビ化しないとかご都合展開でもない限り、噛まれた以上ゾンビになることは決定づけられている。
日本人的倫理観を持ってる人なら大抵は殺すことに躊躇するものだろうけど、状況が状況だ。
誰だって自分の身が可愛いもので、自分に危害が及ぶかもしれないならその前に……そう考える人がいてもおかしくはない。

「ゾンビになる前に殺すってのも、見方を変えれば1つの情けではあるんだろうけどなぁ」

ゾンビになって人を襲う化け物になる前に、人間であるうちに死なせてやるというのも。
まぁ、俺は御免だけど。
銃とかで一発で死なせてもらえるならともかく、大抵の所だとそんなものないだろうし。
鈍器や刃物で痛い思いをしながら死んでいくとか、ゾンビに食い殺されるのと同じくらい嫌だ。

「死ぬ前にお情けで1本とか言って……貰えるか? ……貰えないかなぁ……うん、止めとこ」

結局のところ、どれだけ考えても憶測の域を出ない。
1本くらいはと分けてくれるかもしれないし、分けてもらえず殺されるかもしれない。
それは実際に行ってみなければわからないことだ。
だけど、これだけはわかる。
すでに噛まれている俺を快く受け入れてくれる場所なんて、この世界のどこにもないということ。
人の善性に期待出来るほど、俺の心は綺麗ではない。

「少し遠くまで探しに行くしかないか……持つかなぁ、俺の体」

布の切れ端で巻かれた右手を見つめる。
あの後、近場にあった公園の水道で噛まれた手を洗い、店に入った時に見つけた比較的綺麗そうな布を破って右手に巻いて簡単な応急処置とした。
できれば消毒液とか薬とかも使いたかったけど、流石に医薬品も抜け目なく持っていかれていたらしく見つけることができなかった。
今更衛生とか気にしても仕方ないかもだけど、噛まれたまま放っておくのは俺の精神衛生上よくなかったのだ。

「今のところ体にそれらしい変調はないけど、いつまでもこのままってわけでもないだろうし」

噛まれた跡は浅かったおかげかあまり血も出てなく、鈍痛はするが動かす分には問題ない。
体の調子は腹が減っているのと疲労で少し怠いくらいで、まだゾンビ化する様子はない。
だけどそれは今はまだというだけで、時期にその兆しも出てくるだろう。
いったいどこまで持ってくれるのだろうか、俺の体は。
考え事をしながら歩いていると、目の前に新たにコンビニを見つけた。

「……これで何件目のコンビニだろうな」

さっきまでの光景を思い出せば、あまり期待はしない方がいいだろう。
期待し過ぎて、それで期待が外れて落ち込んでいたらきりがない。
だけどせめて1本くらいは、そんな僅かな期待はどうしてもしてしまう。

「せっかく避難所を脱出してきたんだし、このまま1本も吸えないでゾンビになるなんて御免だ……お、ラッキー! お菓子めっけ! って、飲み物もあるじゃん! それもこんなに!?」

コンビニに入って中を漁ろうとしたら、お菓子の棚にはまだいくつもの品が並んでいた。
そして飲み物も、お酒も含めていくつもある。
店内が荒らされているところを見ると人は入ったのだろうけど、持ちきれなくて全ては持っていけず置いていったのだろうか。
通路には倒れているゾンビや、ゾンビに噛まれて死んだように見える死体が何体かある。
念のため頭に鉄パイプを突き刺し、完全に死んでいることを確認しながら進む。
もう噛まれているとはいっても、無駄に噛まれて痛い思いなんてしたくはない。
店内に横たわる死体をすべて処理し、物の影や曲がり角に注意しながらバックヤードの方も見てみる。
すると、こちらにはまだ箱から出されていない飲食物が積まれていた。
ちょっとしたお宝を見つけたみたいで、気分がグングン上がっていく。
……だけど、こんなに物資がある中でもタバコは1箱もなく、上がった気分が急降下していった。

「何で食い物とか飲み物は残されてるんだよ。タバコ目当てで来たのかってくらい、どこにもタバコないんだけど」

ふざけんなと言いたい。
まずは食べ物だろ? 飲み物だろ?
いつまで隠れ潜んでいなければならないか分からない状況で、まず考えなくてはいけないのは腹を満たすことだろ?
何で趣向品を優先するんだよ。

「……まぁ、有り難くこいつは貰っていくけどさ」

床に無造作に置かれていた大きめのバックの中身を放りだし、食べ物と飲み物を詰めていく。
流石に箱ごとは持っていかない。
鉄パイプを振るのにも、ゾンビから逃げるのにも大荷物は邪魔なだけだ。
そもそもどうせ今日中にゾンビになる俺に、こんな大量の食べ物も飲み物もいらない。
残りは生き残ってる人達で食べればいいさ。
ついでに残ってるお酒の中から、一番度数の高いものを傷口にぶっかけて新しく布を巻いておく。
運よくそれは、俺が気に入ってよく買ってるブランデーだった。
飲料目的のお酒だと度数が高くても消毒に向いてないらしいけど、これも気分的な問題だ。
少しは消毒した気持ちになれば、俺の精神衛生上では良いのだ。

「ムグムグ……さてと、次はどこにいこうかねぇ」

コンビニを出て次の行き先を考える。
乾いた喉をブランデーで潤し、お菓子で腹を満たしながら左右を確認する。
どこもかしこもゾンビだらけ、俺の姿を見てノロノロと迫ってきている奴もいる。

「あいつらも腹を満たしたい欲求で動いてるんだろうな。人間なんかより、よっぽど美味いもんは世の中にたくさんあるってのに。あぁはなりたくないもんだよ……まぁ、しばらくすれば嫌でもなっちゃうんだけどね」

酒が入って思考が少し鈍ったせいか、どこか他人事のようにそう思う。
自分の事のはずなのに、おかしなものだ。
とにかくこれ以上、思考が鈍ったら行動にも支障が出そうだ。
名残惜しいが後でタバコを見つけた時に一緒に楽しもうと、酒瓶はバックの中に突っ込んでおく。

「とにかく適当に歩くか。携帯があれば、どこに店があるかもわかるってのに。まいったなぁ」

いつも携帯に頼っていた弊害がここできた。
ここらは俺が住んでいた所の近くで、見覚えのある建物もあるにはある。
とはいえ用事のない場所になんて行かないし、用事があれば携帯で検索してマップ頼りに行けば済む話しだった。
携帯のない今となっては、どこに何の店があるのかわかりやしない。

「ゲームみたいにゾンビ倒してタバコがドロップすればいいのに……待てよ? 中年のおっさんっぽいゾンビなら、タバコ持ってる可能性もある、か? ……いや、流石にそれを吸うのはちょっと勇気いるな」

長時間ゾンビ化したおっさんが持っていた、封の空いたタバコなんて吸いたいとは思わない。
我ながらいつゾンビ化するかわからないのに、何を贅沢言ってるんだとは思うけど。

「ボックスタイプでも箱が潰れて、中に血とかが染み込んでたりしたら最悪だし……うん、無しだな。無し無し」

一瞬、オヤジゾンビ狩りでも始めようかとも考えたが、少し考えてその案は取り止めることにした。

「さーてと、どこを探せば「あ、あの」……ん?」

当てもなく歩ていると、ゾンビの呻き声しかしないと思っていた街中で人の声が聞こえた。
その方向を見ると、そこには家の扉から少しだけ顔を出してこちらを見る、小学生くらいの女の子がいた。

「女の子? ……こんな小さい子も、まだ生き残ってたんだな」

しかも、多分1人で。
もし家族の誰かがいたら扉から少しとはいえ、女の子1人で外に顔を出させるとは思えない。
まぁ、諸々の“家庭の事情”とかで、必ずしもそうとは言えないのが悩ましい所だけど。
その女の子の目は俺に……いや、俺が手にしているお菓子に向いているように見えた。

「あ、あの、その……お菓子、分けてもらえませんか?」

弱々しく、どこかかすれた様に聞こえる声。
そしてその姿は小学生くらいで小さいとしても、明らかに痩せているように見える。
多分ここしばらく、食べ物を口にしてないのだろう。

「……どうすっかなぁ」

「ぁ……うぅ」

バックの中を見ながら小さく呟くと、それを断られたと思ったのか悲し気な顔で涙を浮かべる。
俺がどうするかと言ったのは、どれくらい分けようかという意味でだったのだが。

「……はぁ」

ぼりぼりと頭を掻き、ため息をついて女の子に近づく。

「ほれ」

「……え?」

「やるよ」

女の子目線になるようにしゃがみ、肩に下げていたバッグを手渡す。
もちろん酒瓶とマッチは取り出して。

「い、いいんですか? こんなに」

「いいよ、別に」

俺も少しは腹は膨れたし、どうせこんなに持っていてもゾンビになる前に食べきれるかわからないし。
というかこんなに痩せてしまった女の子を見てしまっては、そのまま放っておくことはできなかった。

「あの、えっと……ありがとう、ございます」

「おう、どういたしまして。ちゃんとお礼が言えて偉いな」

と、女の子の頭を撫でる。
久しぶりに誰かと触れ合ったのか俺の手に一瞬ビクッとするが、女の子は動かず撫でられるままでいた。
何だか臆病な猫を撫でている気分で、少しだけ和む。
……平常時だとこんな所を誰かに見られたら、多分通報案件だろうな。

「じゃあ、俺は行くよ。お嬢ちゃんも大変だろうけど、気をつけてな」

「……あ、あのっ!」

「ん?」

立ち上がってそのまま去ろうとすると、女の子は声を上げて俺を呼び止めた。
どうしたのかと女の子を見ると、どこか言い難そうにしながらも意を決したように口を開いた。

「あの、えっと……お、おじさんと、一緒に行っちゃ、だめ、ですか?」

「……んん?」

その言葉に少し驚く。
普通初対面のおっさん相手に、そんなこと言う子がいるだろうか?
今時、小学生でも知らない人について行ってはいけませんとか、どこでも言われてるものだろう。
それだけ1人でいるのが辛かった、とも考えられるけど。

「……悪い。ちょっと事情があってな、お嬢ちゃんと一緒にいてやれないんだわ」

「そう、ですか」

しょんぼりと、また悲しげな顔を見せる。
そんな悲しそうにされると少し心に刺さるけど、それでも連れて行ってやることは俺にはできない。
いつゾンビになるか分からないのに連れて行くなんて、そんなの無責任というやつだろう。

「あっちの方にあるコンビニに、まだお菓子と飲み物が残ってるから。ゾンビが少ない時を見て取りに行きな。バックヤード、あー、奥の方に箱に入ったのもあるけど、無理ない程度の量を何回かに分けて持ってくるようした方がいいぞ。いつ襲われるか分からんのに、両手いっぱいに抱えてたらうまく逃げれないからな」

「……はい」

そう言うだけ言うと、女の子の悲し気な顔から逃げるように背を向けて歩き出す。
あ、とそこで再び女の子の方を見る。

「所で、お嬢ちゃん。君のお父さんかお母さん、タバコとか吸ってなかった? もし吸ってたらお菓子あげた代わりと言っちゃなんだけど、おじさんにそのタバコくれない?」

「え、えっと……お父さんもお母さんも、タバコは吸ってなかった、です」

「……そっかー」

少しがっかり。
というか、我ながら子供になに要求してるのだろうか。
時間がないとはいえ、少しなりふり構わな過ぎたかと言ってから後悔。

「……タバコ、体に悪い、ですよ? あと、お酒も」

「あー、うん、そだね。お嬢ちゃんは大人になっても、お酒もタバコもやらないようにしようね」

乾いた笑みを浮かべてそう言い、今度こそ女の子と別れた。

「……子供に言われると、結構くるものがあるなぁ。まぁ、止める気はないんだけど」

子供に言われて止めるくらいの気持ちなら、こんな苦労してまで外を出歩いて探してはいない。

「それにしても、ちょっともったいないことしちまったか。流石に全部はあげなくても良かったかもな。酒のつまみにもできたのに……っとぉ!?」

「グァ」

とぼとぼ歩いていると、曲がり角からゾンビが1体出てくるのに気づくのが遅れた。
距離が近い。
鉄パイプ、振るのに勢いをつける時間がない。
となると今手にあるのは……。

「そぉい! ……ふぅ、ビックリした……って、あ」

咄嗟にもう片方の手に持っていたもので、思い切りゾンビの頭を叩きつける。
その拍子にガシャンという音がし、そこで自分が何を相手にぶつけたのか気が付いた。
手に持っているのを見ると、割れて雫が滴るガラス片。
ブランデーの濃厚な香りが辺りに広がり、散っていく。

「せ、せっかく見つけた酒が……」

「ウゥ、グルゥ……」

「……いきなり出てくるんじゃねぇよ、コンニャロウ!」

自分でやったこととはいえ、流石にこれは応えた。
若干涙目になりながら、八つ当たりもかねて起き上がろうとしていたゾンビに思い切り鉄パイプを叩きつけてとどめを刺す。

「あ、あの! 大丈夫、ですか?」

「え? あ、あぁ、大丈夫大丈夫。おじさん強いから」

心配してか道路まで出てきた女の子に、乾いた笑顔を浮かべながら手を振る。
精神的には全然大丈夫じゃないけど。

「あー、とにかく、今出てきたら危ないぞ? ほら、来てる来てる」

「え? あっ」

今のガラスが割れる音に引き寄せられたのか、こちらに向かって歩いてくるゾンビが何体か見えた。
女の子は怯えて一瞬固まり、急いで家の中に入っていった。

「よしよし、ちゃんと家に入ったな。にしても……あーあー、こんなことならもう少し飲んでればよかったなぁ」

道路に零れて広がっていく酒を未練がましく少しだけ見つめ、両頬をパシンと叩き気合を入れ直す。

「よっし。いつまでも嘆いてたって仕方ないし、俺も行きますか!」

―――カンッ

鉄パイプを振り上げ、思い切り道路に打ち付ける。
甲高く鳴り響いた音に、女の子の方に向かっていたゾンビも俺の方を向く。
それを確認してから駆けだす。
少しでも女の子の家からゾンビを遠ざけるように、度々鉄パイプを叩きつけて音を立てながら。

「ほーら、お前らの好きな人間様のお肉はここにあるぞ! 食いたきゃ、ついてきやがれ!」



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