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転職はダー○神殿で
しおりを挟む結果だけを言えば。
私は待機命令を出された。
うん。そうだよね。お披露目があるからってすぐに魔王ww討伐に行くわけじゃないですもんね~。まとめ議会が勃発して、決まった行動方向は勇者様wwwは暫くの修行メイン。同時に内情や有力になりそうな情報収集。
かたや私は特に何もなし。その結論が早々に決定されてからのスレでの私の居た堪れなさといったら……くぅ、泣ける。
そんな訳で私は街と隣接している林に来ている。
え? 何故って? ゲームといえばレベルアップでしょう!! さすがにLV1のまま甘んじているほど私はゲーマーとして落ちぶれいません! 心外な。初エンカウントで超ビビったのは昔の話しさ。
「よっしゃ! 私のひのきの棒の威力を見せてやるっ!」
あれから地味に情報収集をすると、どうやらこの辺りのモンスターは比較的穏やかの上、遭遇しても子供でもどうにかなるらしい。確証はありますよ?
「ビビって腰引けてる奴がほざいてんじゃねーよ、クソ女」
隣にいるバイス様がそう仰っておりました。もうあの下ネタ事件からバイス様が私を見る目はとてもお変りになりました。きちんと詐称年齢通りに認識して下さったみたいです。
まあそれでも直ぐには信じて下さりませんでしたが、入浴中に突撃してみたりと少し大人気なく意地になっておりましたら無事、信じて頂けました。子供産んで29にもなりゃ恥じらいなんてとっくに捨ててるよ、私はな!! 間違えるなよ! 他の圧倒的多数ママさん達は違うというのを前提してね!!
「オイ!! なにぬるい目で俺を見てんだよ!! 外にいんだから少しはシャキっとしろ!」
「ああ、すまないね。もの思いに耽ってしまったよ、おばちゃん」
「おばちゃんて…お前、俺と5才しか違わねーだろ」
その言葉に私は最大限の生ぬるい視線で答えておく。知らぬが仏、ってね。
「…もういい。すこし奥にいくぞ」
そう言ってバイス様は木刀で塞がっていない左手で私の右手を握って、若干引きずる様に足早に進む。
遠い昔のように感じる右手の温もり。バイスには悪いがこの温かみを通して私は、バイスよりもとても小さく、柔らかい手の平に思いを馳せた。
出掛ける時いつも、ずっと繋いでいた、小さな愛しい手。
暖かく愛しい、切ない感傷。それも束の間、私は棒を振る。
無慈悲に棒を振る。機械的に棒を振る。容赦なく棒を振る。
珈琲が飲めない鬱憤を込めて棒を振る。醤油が無い怒りを込めて棒を振る。
米が食べれないフラストレーションをぶつける様に棒を振る。
打撲打撲打撲打撲打撲打撲打撲打撲。
撲殺撲殺撲殺撲殺撲殺撲殺撲殺撲殺。
「ははっあはははははは! ほ~ら、豚の様な悲鳴を上げて私を喜ばせろ!!」
笑いながらも私のひのきの棒は止まらない。打ちすえているグミみたいな感触でサッカーボール大のデロデロしてるモノがスライムとは私は認めぬ!! 隣でドン引いてるバイス様。これが正しいドン引きのリアクションです、と見本の様な体勢でドン引いてるけど全く気にしない!!
日本人のストレス蓄積量をなめるなあああああ!! 簡単にストレスを感じ、かつ、膨大に溜めれるんだぞ!! うおおおおおおおおおお!!!
私のストレス発散法が確定しました。
ドン引きから立ち直ったバイス様が私を羽交い絞めにして止めるまで、私のストレス発散打撲は続きました、まる。
初勝利を果たし、やけに疲れた顔をしたバイス様とは裏腹に、私はスッキリサッパリとした心地で足取り軽く帰路についた。
嬉々として自室でメニュー画面を開いた私がリアルOrzの姿勢になるとは、その時の私は思いもしなかった。
あんなにスライム(仮)倒したのになんで…………
1レベルさえも上がってないの?!
職業お母さんの困難さにダーマ神殿に駆け込みたくなった瞬間だった。
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