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後編
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「元婚約者との婚約を破棄し、新たに君との婚約を結びたいと申し出たんだ。最初は渋られたけど君が受け入れるなら許してくれると誓ってくれたよ」
「え、ええ?!」
王太子が懐から一通の封筒を取り出した。
中から取り出し、目の前に差し出された書類には…確かに父の署名で書かれてあった。
「いつの間に…」
「この書面が届いたのは昨日だ。卒業式に間に合って良かった」
「おとうさ…父がよく許してくれましたね…」
前から常々、私の嫁ぎ先は父の目が届く国内だと公言していたのに。
そして私が十七にもなって婚約者がいないのは…父が相手を選りすぐり過ぎて中々決まらなかったからなのに。
「最初は娘を国外に出したくないと言っていたが、側近が聞いた言葉を伝えたら態度を変えたのだ」
「聞いた言葉?」
「第二皇子が君の事を口にした時、こうも言ったそうだ。〝妹とはいえ腹違い、手を出してもいいだろう”と」
「げ」
私は淑女…いや皇女にあるまじき声を出してしまった。
一つ歳上の兄、第二皇子アレクシスは攻略対象の一人で、彼のルートの時に妹の私の話題が少し出てくるのだ。
身内に攻略対象がいるのに乙女ゲームの世界だと気づかなかったのは、母親が違い住む宮が異なるため、顔を合わせる事があまりないからだ。
それに兄の性質にも問題があった。
ゲームでの兄アレクシスは女好きのチャラ男で、ヒロインに出会う事で真実の愛に目覚める。
あのゲームは全年齢を対象にしていたため、女好きといっても甘い言葉を振りまく程度のものだったが。
現実の兄は十二歳で娼館デビューしてしまうような…好色の塊なのだ。
兄が性的な意味で手を出すのはプロの女性か、一夜の戯れが通用するような相手ばかりなのだが。
それでも甘いマスクと言葉に酔わされ、泣かされる令嬢達は少なくない。
その内腹を刺されるだろうと長兄などは言っている。
兄が留学できなかったのは私のせいではない。
ただでさえ奔放な兄を国外に出したら開放感のあまり何をし出かすか分からないから危険だと周囲が反対したからだ。
———皇子の下半身のせいで外交問題が起きるなど、醜聞も甚だしい。
「クラリッサ皇女」
王太子は私の肩に手を回すと顔を覗き込んできた。
「第二皇子は…これまで君に何かしたのか?」
「…いえ…兄とは滅多に会わなかったので…」
私が幼い頃は他の兄達と一緒に遊ぶ事もあった。
だが小さい時から侍女の身体を触りたがる兄が、私の事を触る、その触り方に妹を可愛がる以上のものを見て危険だと判断されたのだ。
公式の儀式以外、私は兄と顔を合わす事はなかった。
「本当か?」
先刻の言葉に強張った私の表情に何かを感じたのか、さらにその瞳が鋭くなる。
「…あの…少しだけ…」
「少し?」
「留学前に変なものを贈られまして…」
「変なもの?それは何?」
「ええとその…大人の……玩具的な?」
こんな事、私が口にしていいのか分からないけれど。
推しの強い眼差しに私は思わず正直に答えてしまった。
留学前、父と兄弟達とで食事会が開かれた。
その時に皆から餞別品を贈られたのだが、次兄アレクシスが贈ってきたのが…張型だったのだ。
「寂しかったらこれで俺を思い出して」という手紙と共に。
前世の記憶がなかったら、あれが何なのか箱入り皇女の私には分からなかっただろう。
だが使った事はなくとも画像やらで見た事のある私には分かってしまった。
側にいた、それを見て硬直していた侍女に「どうやらお兄様は別の方への贈り物と間違えたようね。お父様を通じて返してくれる?」と渡しておいた。
その後、出立する時に兄の姿を見なかったから…おそらく父に締められていたのだろう。
あれは兄らしい?冗談だと思っていたのだが…側近が聞いた言葉といい…まさか妹の私に、本当にそんな感情を抱いていたのだろうか。
私は背筋が寒くなるのを感じた。
「…やはり君は国へは返せないな」
王太子の眼差しが険しくなった。
「え…?」
「君がまだ婚約を受け入れられないなら一度国に返しても良いかと思ったが…そんな危険な男の元になど返せぬ。学園に通いたかったらもう一年通ってもいい、交換留学生ではなく私の婚約者として」
そう言って、王太子は私を抱きしめた。
「君は私が守るから」
———ええと…兄が危険というならば…まだ婚約していない私をこうやって抱きしめる殿下も変わらないような…
先刻から想定外の事ばかりで混乱するまま流されていたけれど。
ようやく冷静になってきた。
「…殿下」
私の声に王太子は腕を緩めた。
「私は…殿下とお会いするのも、言葉を交わすのも今日が初めてです」
「…ああ」
「そんな私を密室で、こうやって抱きしめる殿下は『危険な男』ではないのですか」
目の前の瞳が大きく見開かれた。
「私は、まだ殿下の婚約者ではありませんし殿下のものでもありません」
私は今きっと、むくれ顔になっているだろう。
確かに王太子は前世で一推しのキャラだ。
顔も声も好きだし、結婚相手としても超優良物件だ。
それに私が受け入れられたらという条件とはいえ父が認めた相手だ、断るという選択肢はないだろう。
それでも。
私の気持ちを聞くより前に、既に自分のもののように振る舞われると———正直、ムッとするのだ。
少しくらい、不満をぶつけてもいいよね。
王太子は目を見開いたまま、ただ私を見つめていた。
どれくらい無言で見つめあっただろう。
耐えきれず、私は視線を落とした。
「…ああ…そうだな…それは、悪かった」
ため息と共に声が聞こえた。
「やっと片付いて君に表立って会えると、つい嬉しくなってしまった」
「子供ですか」
自分でも驚くくらい不機嫌な声が出てしまう。
「…目の前に愛する者がいれば触れたくなるだろう」
「それって殿下に纏わりついていたという令嬢と同じ事をしているんですよね」
私に触れていた手がピクリと震えた。
あ、しまった。
つい本音…いや余計な事を言ってしまった。
「———そうか、なるほど」
ぐ、と肩を抱く手に力が入る。
やばい、怒らせた…?
「あいつらの心理が分かった。そして拒絶されるほど手段を選ばなくなるのだな」
声色が変わる。
低くなった声も素敵———ってそうじゃない。
私は再び抱きすくめられた。
人の話聞いてた?!
「クラリッサ皇女…いや、クララ。やはり君は国に返さない」
「…え」
「私にそのような意見を言える女性は初めてだ。本当に君は私の理想的な妃だ」
「え、あの…」
「罪は犯さないけれど、君を手に入れるのに容赦はしないから」
私を見つめるその瞳は熱い光を帯びて…まるで獲物を捕らえた獣のようで…
あれ、これって…
王太子ルートの中でもレアな、自分が王太子に追いかけられる「逆攻略ルート」の時の顔なのでは…
「覚悟しておけ」
にやりと不敵な笑みを浮かべた、その顔がふいに近づいた。
そして…ちゅ、という音と共に頬に柔らかなものが触れる感覚。
「———!」
「ああ、やはりいいなその顔」
頬に口付けられて思わず睨みつけた私に、王太子は今度は嬉しそうに笑った。
「落としがいがある」
え…本当に私が…王太子に攻略されるの…?
いやだからどうして?!
私はヒロインじゃないのよ…!
心の中で叫びながら、私はこのルートに入った王太子が本当に容赦しない事を思い出していた。
———推しにあんな事やこんな事をされたら逃れるのは無理かもしれない。
楽しそうに頭や額などにキスを落とす王太子の腕の中で、私は半ば諦めの境地になっていた。
おわり
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「え、ええ?!」
王太子が懐から一通の封筒を取り出した。
中から取り出し、目の前に差し出された書類には…確かに父の署名で書かれてあった。
「いつの間に…」
「この書面が届いたのは昨日だ。卒業式に間に合って良かった」
「おとうさ…父がよく許してくれましたね…」
前から常々、私の嫁ぎ先は父の目が届く国内だと公言していたのに。
そして私が十七にもなって婚約者がいないのは…父が相手を選りすぐり過ぎて中々決まらなかったからなのに。
「最初は娘を国外に出したくないと言っていたが、側近が聞いた言葉を伝えたら態度を変えたのだ」
「聞いた言葉?」
「第二皇子が君の事を口にした時、こうも言ったそうだ。〝妹とはいえ腹違い、手を出してもいいだろう”と」
「げ」
私は淑女…いや皇女にあるまじき声を出してしまった。
一つ歳上の兄、第二皇子アレクシスは攻略対象の一人で、彼のルートの時に妹の私の話題が少し出てくるのだ。
身内に攻略対象がいるのに乙女ゲームの世界だと気づかなかったのは、母親が違い住む宮が異なるため、顔を合わせる事があまりないからだ。
それに兄の性質にも問題があった。
ゲームでの兄アレクシスは女好きのチャラ男で、ヒロインに出会う事で真実の愛に目覚める。
あのゲームは全年齢を対象にしていたため、女好きといっても甘い言葉を振りまく程度のものだったが。
現実の兄は十二歳で娼館デビューしてしまうような…好色の塊なのだ。
兄が性的な意味で手を出すのはプロの女性か、一夜の戯れが通用するような相手ばかりなのだが。
それでも甘いマスクと言葉に酔わされ、泣かされる令嬢達は少なくない。
その内腹を刺されるだろうと長兄などは言っている。
兄が留学できなかったのは私のせいではない。
ただでさえ奔放な兄を国外に出したら開放感のあまり何をし出かすか分からないから危険だと周囲が反対したからだ。
———皇子の下半身のせいで外交問題が起きるなど、醜聞も甚だしい。
「クラリッサ皇女」
王太子は私の肩に手を回すと顔を覗き込んできた。
「第二皇子は…これまで君に何かしたのか?」
「…いえ…兄とは滅多に会わなかったので…」
私が幼い頃は他の兄達と一緒に遊ぶ事もあった。
だが小さい時から侍女の身体を触りたがる兄が、私の事を触る、その触り方に妹を可愛がる以上のものを見て危険だと判断されたのだ。
公式の儀式以外、私は兄と顔を合わす事はなかった。
「本当か?」
先刻の言葉に強張った私の表情に何かを感じたのか、さらにその瞳が鋭くなる。
「…あの…少しだけ…」
「少し?」
「留学前に変なものを贈られまして…」
「変なもの?それは何?」
「ええとその…大人の……玩具的な?」
こんな事、私が口にしていいのか分からないけれど。
推しの強い眼差しに私は思わず正直に答えてしまった。
留学前、父と兄弟達とで食事会が開かれた。
その時に皆から餞別品を贈られたのだが、次兄アレクシスが贈ってきたのが…張型だったのだ。
「寂しかったらこれで俺を思い出して」という手紙と共に。
前世の記憶がなかったら、あれが何なのか箱入り皇女の私には分からなかっただろう。
だが使った事はなくとも画像やらで見た事のある私には分かってしまった。
側にいた、それを見て硬直していた侍女に「どうやらお兄様は別の方への贈り物と間違えたようね。お父様を通じて返してくれる?」と渡しておいた。
その後、出立する時に兄の姿を見なかったから…おそらく父に締められていたのだろう。
あれは兄らしい?冗談だと思っていたのだが…側近が聞いた言葉といい…まさか妹の私に、本当にそんな感情を抱いていたのだろうか。
私は背筋が寒くなるのを感じた。
「…やはり君は国へは返せないな」
王太子の眼差しが険しくなった。
「え…?」
「君がまだ婚約を受け入れられないなら一度国に返しても良いかと思ったが…そんな危険な男の元になど返せぬ。学園に通いたかったらもう一年通ってもいい、交換留学生ではなく私の婚約者として」
そう言って、王太子は私を抱きしめた。
「君は私が守るから」
———ええと…兄が危険というならば…まだ婚約していない私をこうやって抱きしめる殿下も変わらないような…
先刻から想定外の事ばかりで混乱するまま流されていたけれど。
ようやく冷静になってきた。
「…殿下」
私の声に王太子は腕を緩めた。
「私は…殿下とお会いするのも、言葉を交わすのも今日が初めてです」
「…ああ」
「そんな私を密室で、こうやって抱きしめる殿下は『危険な男』ではないのですか」
目の前の瞳が大きく見開かれた。
「私は、まだ殿下の婚約者ではありませんし殿下のものでもありません」
私は今きっと、むくれ顔になっているだろう。
確かに王太子は前世で一推しのキャラだ。
顔も声も好きだし、結婚相手としても超優良物件だ。
それに私が受け入れられたらという条件とはいえ父が認めた相手だ、断るという選択肢はないだろう。
それでも。
私の気持ちを聞くより前に、既に自分のもののように振る舞われると———正直、ムッとするのだ。
少しくらい、不満をぶつけてもいいよね。
王太子は目を見開いたまま、ただ私を見つめていた。
どれくらい無言で見つめあっただろう。
耐えきれず、私は視線を落とした。
「…ああ…そうだな…それは、悪かった」
ため息と共に声が聞こえた。
「やっと片付いて君に表立って会えると、つい嬉しくなってしまった」
「子供ですか」
自分でも驚くくらい不機嫌な声が出てしまう。
「…目の前に愛する者がいれば触れたくなるだろう」
「それって殿下に纏わりついていたという令嬢と同じ事をしているんですよね」
私に触れていた手がピクリと震えた。
あ、しまった。
つい本音…いや余計な事を言ってしまった。
「———そうか、なるほど」
ぐ、と肩を抱く手に力が入る。
やばい、怒らせた…?
「あいつらの心理が分かった。そして拒絶されるほど手段を選ばなくなるのだな」
声色が変わる。
低くなった声も素敵———ってそうじゃない。
私は再び抱きすくめられた。
人の話聞いてた?!
「クラリッサ皇女…いや、クララ。やはり君は国に返さない」
「…え」
「私にそのような意見を言える女性は初めてだ。本当に君は私の理想的な妃だ」
「え、あの…」
「罪は犯さないけれど、君を手に入れるのに容赦はしないから」
私を見つめるその瞳は熱い光を帯びて…まるで獲物を捕らえた獣のようで…
あれ、これって…
王太子ルートの中でもレアな、自分が王太子に追いかけられる「逆攻略ルート」の時の顔なのでは…
「覚悟しておけ」
にやりと不敵な笑みを浮かべた、その顔がふいに近づいた。
そして…ちゅ、という音と共に頬に柔らかなものが触れる感覚。
「———!」
「ああ、やはりいいなその顔」
頬に口付けられて思わず睨みつけた私に、王太子は今度は嬉しそうに笑った。
「落としがいがある」
え…本当に私が…王太子に攻略されるの…?
いやだからどうして?!
私はヒロインじゃないのよ…!
心の中で叫びながら、私はこのルートに入った王太子が本当に容赦しない事を思い出していた。
———推しにあんな事やこんな事をされたら逃れるのは無理かもしれない。
楽しそうに頭や額などにキスを落とす王太子の腕の中で、私は半ば諦めの境地になっていた。
おわり
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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