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第三章 誠実な恋人たち
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ここ数日、王宮は緊張と喜びの空気が入り混じり、落ち着かない空気が流れていた。
側妃アメーリアが出産間近なのだ。
医師や助産師たちが待機し、何があってもいいように万全の体制で備え、占星術士と歴史学者たちが集められ、複数の名前の候補が用意されていた。
(ああ、気分が悪い)
王太子妃シャーロットはため息をついた。
浮ついた空気は自室にいても感じられた。――その空気を持ち込んでいるのは王太子メイナードだ。
最初側妃を娶ることに否定的だったメイナードだったが、アメーリアが妊娠したという報を聞いて以来、彼女を気遣い、その元へ行く頻度も増えていった。
そうしてここ数日は、シャーロットと共にいても心ここにあらずといった感じなのだ。
「子供……」
シャーロットはそっと自分のお腹を撫でた。
相変わらず妊娠の気配はない。
生理も規則正しく来ているし、前世の知識を元に妊娠しやすい時期を選んでいるのだけれど。
(やっぱりストレス……だよね)
『お妃様に子ができないのは――』
先日ふと耳に入った侍女の会話が蘇った。
『やっぱり呪いなんじゃないかしら』
『呪い?』
『噂で聞いたの、王太子殿下の元の婚約者様を追い出して死なせたから、その呪いで子供ができないんですって』
『ええ、こわーい』
(そんなんじゃない。だって私は『ヒロイン』だもの)
パトリシアが追放されたのは、悪役令嬢だからだ。
彼女が死んだのはその役目をきちんと果たさなかったから、そのバチが当たったんだ――。
不意に外が騒がしくなったような気配を感じた。
「生まれたんですって!」
「まあ、どっち?」
「元気な男の子よ!」
「良かった、お世継ぎね!」
ドアの向こうから浮ついた声が聞こえる。
「……男――」
シャーロットは震える手をきつく握りしめた。
「殿下によく似たお子ですわ」
そう言って助産師は、メイナードたちが顔を見やすいように赤子を抱き抱え直した。
「本当ね。なんて可愛いのかしら」
王妃が喜びの声を上げた。
『クリストファー』と名付けられた、ふわふわとした銀色の髪に青い瞳の赤子は確かに父親によく似ているようだった。
「抱いてみますか? 殿下」
「……ああ」
促され、メイナードは恐る恐る赤子を受け取った。
「――こんなに小さいのに、生きているんだな」
小さな温もりを抱き抱えてメイナードは不思議そうに呟いた。
「ふふ、陛下もあなたが生まれた時同じことを言ったわ」
「父上も?」
「やっぱり親子なのねえ」
笑顔でそう言うと、王妃は助産師を見た。
「アメーリアの容態は?」
「はい、落ち着いており明日にはベッドから出られるかと」
「それは良かったわ」
「では私はアメーリアの元へ行ってきます」
メイナードが言った。
「ちゃんと労ってあげるのよ」
「分かっています」
そう言い残して、メイナードは赤子を王妃へ預けると隣の部屋へと向かった。
出産したのは昨日だったが、かなりの難産だった。
赤子は無事元気に産まれたもののアメーリアは体力を消耗しきっており、面会することができなかったのだ。
部屋に入るとベッドの上に座っていたアメーリアがこちらを向いた。
「殿下」
「ご苦労だった」
メイナードはベッドの傍に置かれた椅子へ腰を下ろした。
「体は大丈夫なのか」
「ええ」
アメーリアは小さく頷くと微笑んだ。
「クリストファーには会いましたか」
「ああ。不思議なものだな、自分の子というのは。それにあんな小さいのに生きていて……本当に、不思議だ」
「まあ」
メイナードの言葉にアメーリアは微笑んだ。
「子供の成長は早いですから、すぐに大きくなりますわ」
「そうか。それは楽しみだ」
頬を緩めたメイナードを見て、アメーリアは小さく息を吐いた。
「――これで、最低限の務めが果たせました」
「……ああ。ありがとう」
王太子の子を成すために側妃となったアメーリアにとって、この出産はかなりの重圧だっただろう。――しかも夫となった王太子は、アメーリアの親友を死なせた……いわば仇のようなものなのだ。
様々な葛藤を抱えて、それでも男子を産むという務めを果たしてくれたアメーリアには、きっと一生頭が上がらないだろう。
「これでエリオット殿下とルーシーの婚約の件も進展しますね」
「――そうだな」
メイナードは頷いた。
エリオットとブリトニーの婚約解消は未だ保留となっていた。
その理由の一つが、ルーシーと再婚約する場合、エリオットはアングラード家に婿入りすることになるからだ。
王位継承権を持つ者の内、現王の直系はメイナードとエリオットの二人。エリオットが抜ければメイナード一人となってしまう。
王妃やアメーリアに気に入られているルーシーとエリオットの仲は、既に王宮内でも公然のものとなっていたが、二人を婚約させられないのはそれが大きな理由だった。
だがメイナードの息子が産まれたことで、王位継承者が増えた。子供一人では不安定だが、今後まだ産まれる可能性は十分にあるのだ。
「母上も同じことを言っていた。……本当に皆、ルーシー嬢のことが好きなのだな」
「別人だとは分かっていても、どうしても重ねて見てしまうものですわ」
独り言のようなメイナードの言葉にアメーリアはそう答えた。
「あの子には幸せになってもらいたいんです」
「そうか……そうだな」
ふ、とメイナードは息を吐いた。
「今まで考えないようにしていたが……昔のことをよく思い出すんだ」
窓の外へと視線を移してメイナードは言った。
「もっと別の道があったはずなのに……どうすれば良かったのかと」
「――それは私もよく考えますわ。助けられることがあったのではと」
そう言って、アメーリアはメイナードの横顔を見つめた。
「どうして……追放などしたのです?」
「――あの時はそれが正しいと、そう思っていた」
メイナードは答えた。
「若気の至りだったと……そんな言葉で片付けられるものではないが。だが、どうしてあんなことをしたのか……自分でも愚かだったと思っている」
あまりにも大きい代償だった。
その代償と引き換えに手に入れたものは……それは、パトリシアの命よりも重要なものだっただろうか。
「時間を戻せたならばやり直せるだろうかと、そんなことを最近よく思うんだ」
遠くを見つめたままメイナードは呟いた。
側妃アメーリアが出産間近なのだ。
医師や助産師たちが待機し、何があってもいいように万全の体制で備え、占星術士と歴史学者たちが集められ、複数の名前の候補が用意されていた。
(ああ、気分が悪い)
王太子妃シャーロットはため息をついた。
浮ついた空気は自室にいても感じられた。――その空気を持ち込んでいるのは王太子メイナードだ。
最初側妃を娶ることに否定的だったメイナードだったが、アメーリアが妊娠したという報を聞いて以来、彼女を気遣い、その元へ行く頻度も増えていった。
そうしてここ数日は、シャーロットと共にいても心ここにあらずといった感じなのだ。
「子供……」
シャーロットはそっと自分のお腹を撫でた。
相変わらず妊娠の気配はない。
生理も規則正しく来ているし、前世の知識を元に妊娠しやすい時期を選んでいるのだけれど。
(やっぱりストレス……だよね)
『お妃様に子ができないのは――』
先日ふと耳に入った侍女の会話が蘇った。
『やっぱり呪いなんじゃないかしら』
『呪い?』
『噂で聞いたの、王太子殿下の元の婚約者様を追い出して死なせたから、その呪いで子供ができないんですって』
『ええ、こわーい』
(そんなんじゃない。だって私は『ヒロイン』だもの)
パトリシアが追放されたのは、悪役令嬢だからだ。
彼女が死んだのはその役目をきちんと果たさなかったから、そのバチが当たったんだ――。
不意に外が騒がしくなったような気配を感じた。
「生まれたんですって!」
「まあ、どっち?」
「元気な男の子よ!」
「良かった、お世継ぎね!」
ドアの向こうから浮ついた声が聞こえる。
「……男――」
シャーロットは震える手をきつく握りしめた。
「殿下によく似たお子ですわ」
そう言って助産師は、メイナードたちが顔を見やすいように赤子を抱き抱え直した。
「本当ね。なんて可愛いのかしら」
王妃が喜びの声を上げた。
『クリストファー』と名付けられた、ふわふわとした銀色の髪に青い瞳の赤子は確かに父親によく似ているようだった。
「抱いてみますか? 殿下」
「……ああ」
促され、メイナードは恐る恐る赤子を受け取った。
「――こんなに小さいのに、生きているんだな」
小さな温もりを抱き抱えてメイナードは不思議そうに呟いた。
「ふふ、陛下もあなたが生まれた時同じことを言ったわ」
「父上も?」
「やっぱり親子なのねえ」
笑顔でそう言うと、王妃は助産師を見た。
「アメーリアの容態は?」
「はい、落ち着いており明日にはベッドから出られるかと」
「それは良かったわ」
「では私はアメーリアの元へ行ってきます」
メイナードが言った。
「ちゃんと労ってあげるのよ」
「分かっています」
そう言い残して、メイナードは赤子を王妃へ預けると隣の部屋へと向かった。
出産したのは昨日だったが、かなりの難産だった。
赤子は無事元気に産まれたもののアメーリアは体力を消耗しきっており、面会することができなかったのだ。
部屋に入るとベッドの上に座っていたアメーリアがこちらを向いた。
「殿下」
「ご苦労だった」
メイナードはベッドの傍に置かれた椅子へ腰を下ろした。
「体は大丈夫なのか」
「ええ」
アメーリアは小さく頷くと微笑んだ。
「クリストファーには会いましたか」
「ああ。不思議なものだな、自分の子というのは。それにあんな小さいのに生きていて……本当に、不思議だ」
「まあ」
メイナードの言葉にアメーリアは微笑んだ。
「子供の成長は早いですから、すぐに大きくなりますわ」
「そうか。それは楽しみだ」
頬を緩めたメイナードを見て、アメーリアは小さく息を吐いた。
「――これで、最低限の務めが果たせました」
「……ああ。ありがとう」
王太子の子を成すために側妃となったアメーリアにとって、この出産はかなりの重圧だっただろう。――しかも夫となった王太子は、アメーリアの親友を死なせた……いわば仇のようなものなのだ。
様々な葛藤を抱えて、それでも男子を産むという務めを果たしてくれたアメーリアには、きっと一生頭が上がらないだろう。
「これでエリオット殿下とルーシーの婚約の件も進展しますね」
「――そうだな」
メイナードは頷いた。
エリオットとブリトニーの婚約解消は未だ保留となっていた。
その理由の一つが、ルーシーと再婚約する場合、エリオットはアングラード家に婿入りすることになるからだ。
王位継承権を持つ者の内、現王の直系はメイナードとエリオットの二人。エリオットが抜ければメイナード一人となってしまう。
王妃やアメーリアに気に入られているルーシーとエリオットの仲は、既に王宮内でも公然のものとなっていたが、二人を婚約させられないのはそれが大きな理由だった。
だがメイナードの息子が産まれたことで、王位継承者が増えた。子供一人では不安定だが、今後まだ産まれる可能性は十分にあるのだ。
「母上も同じことを言っていた。……本当に皆、ルーシー嬢のことが好きなのだな」
「別人だとは分かっていても、どうしても重ねて見てしまうものですわ」
独り言のようなメイナードの言葉にアメーリアはそう答えた。
「あの子には幸せになってもらいたいんです」
「そうか……そうだな」
ふ、とメイナードは息を吐いた。
「今まで考えないようにしていたが……昔のことをよく思い出すんだ」
窓の外へと視線を移してメイナードは言った。
「もっと別の道があったはずなのに……どうすれば良かったのかと」
「――それは私もよく考えますわ。助けられることがあったのではと」
そう言って、アメーリアはメイナードの横顔を見つめた。
「どうして……追放などしたのです?」
「――あの時はそれが正しいと、そう思っていた」
メイナードは答えた。
「若気の至りだったと……そんな言葉で片付けられるものではないが。だが、どうしてあんなことをしたのか……自分でも愚かだったと思っている」
あまりにも大きい代償だった。
その代償と引き換えに手に入れたものは……それは、パトリシアの命よりも重要なものだっただろうか。
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遠くを見つめたままメイナードは呟いた。
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