素直になれなくて

 彼女に呼び出された神社の境内。

 私にはその気持ちが無くて、最初は驚いた。そして考えて、彼女だったからそれを受け入れた。
 彼女と同じ気持ちを抱けはしないけれど、決して嫌ではなかった。それも楽しそうだなと、そう思ったから。

 そして、その日々はとても楽しかった。それは日に日に私の中に降り積もっていき、気付けば私の方が彼女に依存していたのだろう。
 でも、私はそれに対してとても面倒臭い性格だったらしい。
 彼女へのそれが日増しに強くなっていく一方、逆に素直な気持ちを出せなくなっていった。ひねくれた返事しか返さない私に、困り顔をする彼女を見る機会も多くなった。

 だからだろう。この思い出の場所に呼び出されたのは……。

 優しい彼女のことだから、別れを告げるのにも伝え方を選んだのだろうと……。

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