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別離
04
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できるだけ自分の力でなんとかしたいのが本音だが、俺一人でできることなどたかが知れている。あと二年、いやせめてあと数ヶ月先であったならもっと自由になれたのではないだろうか。そんな風に思ってしまう自分がいる。
いつだって俺は自分の無力さを思い知る。あの人を守りたいと思いながらも、なに一つうまくできない。他人の力にねじ伏せられて、無様にあげくしかできない。そんな自分が心底嫌だと思う。
「充電器、買わないと駄目か」
いま頼りになりそうな人物へ電話をかけようと思ったが、充電の残量があまりなかった。仕方なく要件のメールだけ済ませてため息を吐き出した。財布は確かズボンのポケットに入っていたはずだ。だが手術後すぐに車椅子を使わせてはもらえないだろう。買ってきてもらうことはできるだろうか。このままだと夕方には充電がなくなりそうだ。
会う前に佐樹さんの声だけでも聞きたいと思っていたが、電源の確保ができるまで無理そうだ。見舞いに来てくれるほうが先かもしれない。
「早いな」
送信して十分ほど過ぎるとメールに素早く返信が来た。そのメールは長文だが簡潔に俺たちの事件についてまとめられていた。二つの事件はほかに大きな事件が重なり大きく報道はされていないようだ。特にあいつが起こした事件は名前を連ねる会社からの圧力を受けて、今後も取り上げられる可能性はないだろうとのことだった。そして一番気になっていた佐樹さんの名前は公表されていないらしい。どうやら事件に巻き込まれたのは俺一人になっているようだ。
鳥羽からのメールに目を通して俺は息をついた。
「情報が早くて助かる」
また新たな情報が入ったら連絡が欲しいと、礼を含めて返信を返す。メールには後見人や離婚についても調べておくと追記されてはいたが、こちらはあまり期待はしないで欲しいとあった。やはり資産のある親族が後見人に名乗り出れば、自ずとして結果は見えてくるか。
「まあ、いい。もしもの時は腹をくくる」
そんなことより佐樹さんにメールだけでもしてみようか。電話ができなくても目が覚めたことくらいは伝えられる。そう思いアドレスを探して受信欄をさかのぼっていると、一通のメールを受信した。
「あ、佐樹さん」
そのメールはいままさに連絡を取りたいと思っていた彼からだった。どうやら病院に問い合わせて見舞いができる日取りを聞いたようだ。四日後にはこちらに来ると書いてある。俺としてはすぐにでも会いたい気分だが、多分彼のことだからその日が一番早い日程なのだろう。まだ一応は術後経過の観察中になるのか。しかしあと四日とは随分先なような気がする。
「電話したいな」
会えないならせめて声が聞きたい。充電は残りわずかしかないけれど、気がつけば俺は彼の電話番号をダイヤルしていた。今日は祝日で、教師陣も休みなのだと言っていた気がする。いまは家にいるだろうか。
受話口を耳元に当てるとコール音が響く。一度、二度と響く音を聞いていたら三度目が鳴る前にそれが途切れた。
「藤堂!」
「佐樹さん」
「よかった。さっき病院に問い合わせて目が覚めたことは聞いたんだけど、よかった。本当にいま安心した」
電話口に出た彼の声はいつもより早口で、珍しくどこか落ち着きのない雰囲気だった。その声を聞くとどれだけ心配をかけていたか、それがよくわかる。何度もよかったと繰り返す彼をできるならば抱きしめてあげたいと思った。
「心配をかけてすみません」
「いや、元はと言えば僕のせいでもあるから、こっちこそごめん」
「謝らないでください。発端はきっと俺のせいです」
「やっぱり、お母さんが関わっているのか?」
どこまで話したらいいのだろう。あまり深い話をして佐樹さんをこれ以上巻き込むわけにもいかない。あいつが離婚に頷いたのだから、川端がこれ以上彼になにかをするとも考えにくいが、なにもしないと決まったわけではない。
「詳しくは話せないんですけど、ことの発端はあの女で間違いないです」
「そうなのか。でもお前が悪いわけじゃないよ」
「いいえ、俺がもっと早くに気づいていれば、こんなことにはならなかった。あいつの言葉を鵜呑みにしてしまったから、気づくのに遅れたんです」
創立祭の前、まだ佐樹さんのことまで調べ上げていない口ぶりだった。でも届いた写真はそれより前のものもあった。ということはすでにもうたどり着いていたんだ。猶予を与えるようなことを言っていたけれど、いつでもあいつは俺の首を絞められる状況だった。
なぜ俺に時間を与えたのか、それはわからないけど。もっとあいつの様子をしっかりと見ておけばよかった。
「藤堂、お前はすぐになんでも自分で背負い込もうとする。お前だけが悪いわけじゃない。それを言ったら、今回のことは僕の不注意で起きたことだ。お前が自分を責めることはない。僕が悪かった。ごめんな。でも、お前が目を覚ましてくれてよかった」
「俺も、佐樹さんが無事でほっとした」
大きな怪我をさせてはしまったが、彼にもしものことがなくて本当によかったと思う。そうでなければ俺が正気でいられる自信がない。
「僕なんかより、お前のほうが大変だったんだぞ。まさか電話が来ると思わなかったからびっくりした。具合は大丈夫なのか」
「残念ながらいまはベッドからほぼ動けない状態ですけどね。話では全治一ヶ月といったところらしいです」
「一ヶ月か。けど急いても仕方がないし、いまはゆっくり治すことに専念しろよ。なるべく会いに行くから」
「佐樹さん、学校は?」
腕以外は支障はないとしても怪我をしたのは利き腕だ。痛みなどもあるだろうし動かすのも困難に違いない。そんな状況で授業などできるのだろうか。
「うん、二週間くらいは安静にって言われているから、休みになるかな。それ以降は少し相談になると思う。早く筆記具が持てるようになればいいんだけど」
「無理しないでくださいね」
「大丈夫だ。母さんも数日こっちに出てきてくれるって言っていたから」
「そうですか」
真面目な人だから後ろめたさを感じて無理しなければいいのだが、傍にいて見ていられないのが少し悔しい。でもお母さんが来てくれると言うのならば身の回りの心配はいらないだろう。
「藤堂のところは大丈夫か?」
「え?」
「身の回りのこととか入院中に色々あるだろう」
「ああ、そうですね。あんまり考えてなかったけど、あずみと弥彦のところにでも頼もうと思います」
ほかに自分の身の回りのことを頼めそうな相手もいない。それにあの二人に頼んでおくのが一番話が早いと思う。弥彦の父親とあずみの母親にも面倒をかけることになるかもしれないが、今回ばかりは頼らせてもらうほかないだろう。
できるだけ川端の世話にはなりたくないが、とりあえず金銭面は腹をくくろう。それに入院費くらいなら貯金でなんとかなるはずだ。
「あ、電話の充電がそろそろなくなりそうなので」
耳元に充電残量がなくなったアラート音が聞こえてきた。まだもう少し声を聞いていたいが、どうやらここまでのようだ。
「そうか、わざわざ電話ありがとうな」
「佐樹さん」
「ん?」
「俺とのことを聞かれたら、なにもないって言ってくださいね」
伝えておきたかった言葉を告げると、電話の向こうで息を飲む気配を感じた。昨日の今日だ。いまはまだ警察の事情聴取は受けていないのだろう。でも必ず俺とのことを聞かれる時は来るだろう。
事件の原因を突き詰められれば、なぜあいつが佐樹さんに手を出したのか。それを知られることになる。だけど佐樹さんの気持ちをほかの誰かに知られるわけにはいかない。
「藤堂、それは」
「約束してください」
少し戸惑ったような気配を感じる。けれど俺は念を押すように約束を持ちかけた。
「……わかった」
逡巡するように佐樹さんは返事を躊躇っていたが、ようやく言葉を紡いでくれた。その言葉に俺は安堵の息を吐き出した。
それから少しだけ言葉を交わし、名残惜しい気持ちで通話を切った。そしてしばらく俺は充電のなくなった携帯電話を見つめた。
いつだって俺は自分の無力さを思い知る。あの人を守りたいと思いながらも、なに一つうまくできない。他人の力にねじ伏せられて、無様にあげくしかできない。そんな自分が心底嫌だと思う。
「充電器、買わないと駄目か」
いま頼りになりそうな人物へ電話をかけようと思ったが、充電の残量があまりなかった。仕方なく要件のメールだけ済ませてため息を吐き出した。財布は確かズボンのポケットに入っていたはずだ。だが手術後すぐに車椅子を使わせてはもらえないだろう。買ってきてもらうことはできるだろうか。このままだと夕方には充電がなくなりそうだ。
会う前に佐樹さんの声だけでも聞きたいと思っていたが、電源の確保ができるまで無理そうだ。見舞いに来てくれるほうが先かもしれない。
「早いな」
送信して十分ほど過ぎるとメールに素早く返信が来た。そのメールは長文だが簡潔に俺たちの事件についてまとめられていた。二つの事件はほかに大きな事件が重なり大きく報道はされていないようだ。特にあいつが起こした事件は名前を連ねる会社からの圧力を受けて、今後も取り上げられる可能性はないだろうとのことだった。そして一番気になっていた佐樹さんの名前は公表されていないらしい。どうやら事件に巻き込まれたのは俺一人になっているようだ。
鳥羽からのメールに目を通して俺は息をついた。
「情報が早くて助かる」
また新たな情報が入ったら連絡が欲しいと、礼を含めて返信を返す。メールには後見人や離婚についても調べておくと追記されてはいたが、こちらはあまり期待はしないで欲しいとあった。やはり資産のある親族が後見人に名乗り出れば、自ずとして結果は見えてくるか。
「まあ、いい。もしもの時は腹をくくる」
そんなことより佐樹さんにメールだけでもしてみようか。電話ができなくても目が覚めたことくらいは伝えられる。そう思いアドレスを探して受信欄をさかのぼっていると、一通のメールを受信した。
「あ、佐樹さん」
そのメールはいままさに連絡を取りたいと思っていた彼からだった。どうやら病院に問い合わせて見舞いができる日取りを聞いたようだ。四日後にはこちらに来ると書いてある。俺としてはすぐにでも会いたい気分だが、多分彼のことだからその日が一番早い日程なのだろう。まだ一応は術後経過の観察中になるのか。しかしあと四日とは随分先なような気がする。
「電話したいな」
会えないならせめて声が聞きたい。充電は残りわずかしかないけれど、気がつけば俺は彼の電話番号をダイヤルしていた。今日は祝日で、教師陣も休みなのだと言っていた気がする。いまは家にいるだろうか。
受話口を耳元に当てるとコール音が響く。一度、二度と響く音を聞いていたら三度目が鳴る前にそれが途切れた。
「藤堂!」
「佐樹さん」
「よかった。さっき病院に問い合わせて目が覚めたことは聞いたんだけど、よかった。本当にいま安心した」
電話口に出た彼の声はいつもより早口で、珍しくどこか落ち着きのない雰囲気だった。その声を聞くとどれだけ心配をかけていたか、それがよくわかる。何度もよかったと繰り返す彼をできるならば抱きしめてあげたいと思った。
「心配をかけてすみません」
「いや、元はと言えば僕のせいでもあるから、こっちこそごめん」
「謝らないでください。発端はきっと俺のせいです」
「やっぱり、お母さんが関わっているのか?」
どこまで話したらいいのだろう。あまり深い話をして佐樹さんをこれ以上巻き込むわけにもいかない。あいつが離婚に頷いたのだから、川端がこれ以上彼になにかをするとも考えにくいが、なにもしないと決まったわけではない。
「詳しくは話せないんですけど、ことの発端はあの女で間違いないです」
「そうなのか。でもお前が悪いわけじゃないよ」
「いいえ、俺がもっと早くに気づいていれば、こんなことにはならなかった。あいつの言葉を鵜呑みにしてしまったから、気づくのに遅れたんです」
創立祭の前、まだ佐樹さんのことまで調べ上げていない口ぶりだった。でも届いた写真はそれより前のものもあった。ということはすでにもうたどり着いていたんだ。猶予を与えるようなことを言っていたけれど、いつでもあいつは俺の首を絞められる状況だった。
なぜ俺に時間を与えたのか、それはわからないけど。もっとあいつの様子をしっかりと見ておけばよかった。
「藤堂、お前はすぐになんでも自分で背負い込もうとする。お前だけが悪いわけじゃない。それを言ったら、今回のことは僕の不注意で起きたことだ。お前が自分を責めることはない。僕が悪かった。ごめんな。でも、お前が目を覚ましてくれてよかった」
「俺も、佐樹さんが無事でほっとした」
大きな怪我をさせてはしまったが、彼にもしものことがなくて本当によかったと思う。そうでなければ俺が正気でいられる自信がない。
「僕なんかより、お前のほうが大変だったんだぞ。まさか電話が来ると思わなかったからびっくりした。具合は大丈夫なのか」
「残念ながらいまはベッドからほぼ動けない状態ですけどね。話では全治一ヶ月といったところらしいです」
「一ヶ月か。けど急いても仕方がないし、いまはゆっくり治すことに専念しろよ。なるべく会いに行くから」
「佐樹さん、学校は?」
腕以外は支障はないとしても怪我をしたのは利き腕だ。痛みなどもあるだろうし動かすのも困難に違いない。そんな状況で授業などできるのだろうか。
「うん、二週間くらいは安静にって言われているから、休みになるかな。それ以降は少し相談になると思う。早く筆記具が持てるようになればいいんだけど」
「無理しないでくださいね」
「大丈夫だ。母さんも数日こっちに出てきてくれるって言っていたから」
「そうですか」
真面目な人だから後ろめたさを感じて無理しなければいいのだが、傍にいて見ていられないのが少し悔しい。でもお母さんが来てくれると言うのならば身の回りの心配はいらないだろう。
「藤堂のところは大丈夫か?」
「え?」
「身の回りのこととか入院中に色々あるだろう」
「ああ、そうですね。あんまり考えてなかったけど、あずみと弥彦のところにでも頼もうと思います」
ほかに自分の身の回りのことを頼めそうな相手もいない。それにあの二人に頼んでおくのが一番話が早いと思う。弥彦の父親とあずみの母親にも面倒をかけることになるかもしれないが、今回ばかりは頼らせてもらうほかないだろう。
できるだけ川端の世話にはなりたくないが、とりあえず金銭面は腹をくくろう。それに入院費くらいなら貯金でなんとかなるはずだ。
「あ、電話の充電がそろそろなくなりそうなので」
耳元に充電残量がなくなったアラート音が聞こえてきた。まだもう少し声を聞いていたいが、どうやらここまでのようだ。
「そうか、わざわざ電話ありがとうな」
「佐樹さん」
「ん?」
「俺とのことを聞かれたら、なにもないって言ってくださいね」
伝えておきたかった言葉を告げると、電話の向こうで息を飲む気配を感じた。昨日の今日だ。いまはまだ警察の事情聴取は受けていないのだろう。でも必ず俺とのことを聞かれる時は来るだろう。
事件の原因を突き詰められれば、なぜあいつが佐樹さんに手を出したのか。それを知られることになる。だけど佐樹さんの気持ちをほかの誰かに知られるわけにはいかない。
「藤堂、それは」
「約束してください」
少し戸惑ったような気配を感じる。けれど俺は念を押すように約束を持ちかけた。
「……わかった」
逡巡するように佐樹さんは返事を躊躇っていたが、ようやく言葉を紡いでくれた。その言葉に俺は安堵の息を吐き出した。
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