174 / 249
疑惑
06
しおりを挟む
渉さんが歩いていった先には喫煙室があるらしく、長い撮影の合間にもし煙草を吸うならと、スタッフの人が場所を教えてくれた。けれど僕は生憎と喫煙者ではないので、気持ちだけ受け取って聞き流していた。
いまどきは禁煙禁煙と言われるが、やはり根を詰める仕事は喫煙者は多いのかもしれない。普段渉さんは僕の目の前では吸わないが、待ち合わせていると煙草を吸っている横顔をよく目にする。たまに香りがすることもあるから、頻度は多いのだろう。
「すいません! 十五分くらい休憩になります!」
しんとしていた室内に声が響くと、全体に張り巡らされていた緩やかな緊張が解きほぐされ、少しだけその場にいる人たちの声も大きくなった。にわかにざわめき始めた中で、僕はふと時計を見上げる。午前十時頃に始まって、いまはもう十七時になろうとしていた。ただ見ているだけでも少し緊張するくらいだから、携わっている人たちはもっと糸を張っているのだろう。長い間その中で仕事をするのは、想像以上に大変そうだ。
先ほどまでの緊張感と、打ち解けたいまの空気の違いに思わず息をつく。プロの仕事というのは、やはり並大抵のことではないのだなと思った。
「佐樹さん」
「あ、藤堂、お疲れ様」
ふいに名前を呼ばれて振り返ると、先ほどまで遠くにいた藤堂がすぐ傍に立っていた。それに気づいて笑みを返したら、じっとこちらを見ていた藤堂にいきなり片手を取られて、無言のままそれを引っ張られてしまう。それに驚いて声を上げそうになるが、そんな隙もないほど足早に藤堂は出入り口を抜けて建物の廊下へと進んでいく。
「藤堂?」
どんどんと進んでいく背中に戸惑いを覚えて、少しばかり上擦った情けない声で呼びかけてしまった。けれど強く握られた手は離れることもなく、藤堂の歩みも止まることはない。しばらく廊下を歩いた藤堂は、どこかの扉を開いたかと思えば、そこに身体を滑り込ませ僕の手を強く引いた。そして薄暗いそこで、引かれた勢いのまま僕は藤堂の胸に収まってしまう。
耳元にいつもより少し速い藤堂の心音が聞こえる。
「ここ、勝手に入って平気か?」
微かな照明が灯るそこは倉庫になっているのか、雑多にものがたくさん置いてあった。しばらく薄暗い中で視線を巡らしていると、意識がそれているのを咎めるかのように藤堂は抱きしめる腕の力を強くする。
「佐樹さん」
優しく甘えるように名前を呼ばれては、僕もその声の先を見上げずにはいられない。腕を伸ばして藤堂の背中を抱くと、嬉しそうに頬に顔を寄せてくる。そんな藤堂が可愛くて、でもなんだかくすぐったくて小さく笑ってしまった。
「ああ、やっと触れた」
「疲れたか?」
「疲れました」
長い息を吐く藤堂の髪をなだめるように優しく撫でると、まるでその手をねだるみたいに藤堂は頭や頬をすり寄せてくる。けれどあまり触り過ぎるとせっかくセットされた髪が乱れてしまう。それに気をつけながら再び髪を撫でれば、その手にやんわりと口づけられた。
「まだもうしばらく続きそうなので、充電させてください」
「なんだか悪かったな。こんなに大がかりだとは思ってなかったから、僕も驚いてる」
「まあ、一日の辛抱なので」
ため息交じりの声が耳元から聞こえてきて、僕はあやすみたいに藤堂の広い背中を軽く叩いた。するとふいに身を屈めた藤堂が僕の首筋に口づける。その突然の感触に肩を跳ね上げたら、その肩を逃すまいと掴まれてしまった。
「もっと触らせて」
「え! ちょっと、待った、藤堂?」
「佐樹さんが足りない」
唇で首筋をなぞり、手のひらは背中や肩を撫でる。その触れる感触に鼓動は急激に早まり、頬は自分でもわかるほどに熱くなった。慌てて身をよじるけれど藤堂の腕はそれを許してくれない。耳たぶを食み、着ているカットソーの上から身体のラインを辿るように手を滑らされれば、意識しなくとも身体がじんと痺れるような感覚に陥る。そしてそんな自分の反応に、顔の熱が全身に広まるような気がした。
「駄目、だ。ほんとに、……っ、変な気分になる」
自分で言っていて恥ずかしいことこの上ないが、身体は正直だ。一度教え込まれた感触は忘れようがなくて、触れる唇が、そして手がじわりと奥底の熱を引き上げる。
「佐樹さん、いやらしくなったね」
「は? 馬鹿! 誰がそうし」
「俺ですね」
耳元で小さく笑われ囁かれた言葉に心臓が跳ね上がった。楽しげな雰囲気をまとう藤堂を睨んでやろうと思ったが、耳たぶを食んでいた藤堂の唇はそこを離れ、文句を紡ごうとした僕の唇に触れる。そして唇と舌先で僕の唇をたっぷり味わった藤堂は、ほんの少しの口づけだけで息を上げている僕に目を細めてさらに奥へと入り込んできた。
舌先が擦れ合い絡め取られれば、次第に僕は抱きつくというよりもしがみつくが正しい状態になってくる。涙でぼやけた視界で藤堂を見つめると、ますます口内を優しく舌先で撫でられた。身体を撫でる手と口内を撫でる舌先に頭が沸騰しそうになってくる。
「と、藤堂。ほんとに駄目、だ」
切れ切れの息でなんとかそう紡ぐと、唇がやっと離れてしっとりと濡れた僕の唇を藤堂の舌が辿るように撫でる。その感触に肩が震えて、熱くなる頬を誤魔化すように俯いた。そしてまっすぐ立っていられなくなった僕は背に回していた手を解くと、胸もとにしがみついて藤堂にもたれかかるように肩口に頬を寄せる。
「前より敏感になってきた?」
「そういうこと言うな」
「すみません、ちょっと可愛くて」
楽しそうに笑う藤堂の表情にむっと口を尖らせたら、指先で首筋から顎にかけてなぞられる。まだ肌が火照るいまはそれだけでも大きな刺激になってしまい、肩が無意識に跳ね上がってしまった。すると指先は頬を滑り、最後に僕が一番弱い耳の輪郭をなぞる。少し強めに縁を撫でる指先の感触に肌がざわめく。
「……んっ」
小さく声を漏らした僕に藤堂は小さく笑って、目を伏せた僕のまぶたに口づけを落とす。優しい口づけだけれど、いまその感触は心臓を締めつけるほど苦しいものなる。けれどそれは背徳感などではない。心に広がり侵食してしまうほどのもどかしさが胸を締めつけるのだ。
もっと触れたい、触れられたい、けれどそれがいまは叶わない。そんな想いがあるから胸が締めつけられる。
「来週も会えるか」
「泊まれるかはわからないですけど、日曜日は必ず佐樹さんの家に行きますよ」
「うん、少しでも一緒にいられるならいい」
そっと持ち上げられた指先に口づけられ約束をもらうと、胸を締めつけていた重くもやもやとしていた気持ちが少しだけ晴れた気がする。単純なやつだと自分でも呆れるけれど、こればかりはどうしようもないんだ仕方がない。
本当に好きとか愛してるっていうのは優しいばかりじゃない。貪欲で相手の心が欲しくてたまらなくて、愛おしさが溢れて仕方がない。
藤堂に出会って甘くて優しい恋も、ほろ苦くて切ない恋も知った。藤堂といると色んな世界が見えてくる。僕の中でなによりも色づいたこの想いは、これから先もきっとたくさんのことを覚えていく。そしてそのたびに何度も愛おしいと胸を募らせるだろう。
楽しいことばかりではないけれど、それでも藤堂といると心が安らぐ。早く二人だけでいられるようになればいい。そんなことを思いながら、僕は腕を伸ばして藤堂を強く抱きしめた。
いまどきは禁煙禁煙と言われるが、やはり根を詰める仕事は喫煙者は多いのかもしれない。普段渉さんは僕の目の前では吸わないが、待ち合わせていると煙草を吸っている横顔をよく目にする。たまに香りがすることもあるから、頻度は多いのだろう。
「すいません! 十五分くらい休憩になります!」
しんとしていた室内に声が響くと、全体に張り巡らされていた緩やかな緊張が解きほぐされ、少しだけその場にいる人たちの声も大きくなった。にわかにざわめき始めた中で、僕はふと時計を見上げる。午前十時頃に始まって、いまはもう十七時になろうとしていた。ただ見ているだけでも少し緊張するくらいだから、携わっている人たちはもっと糸を張っているのだろう。長い間その中で仕事をするのは、想像以上に大変そうだ。
先ほどまでの緊張感と、打ち解けたいまの空気の違いに思わず息をつく。プロの仕事というのは、やはり並大抵のことではないのだなと思った。
「佐樹さん」
「あ、藤堂、お疲れ様」
ふいに名前を呼ばれて振り返ると、先ほどまで遠くにいた藤堂がすぐ傍に立っていた。それに気づいて笑みを返したら、じっとこちらを見ていた藤堂にいきなり片手を取られて、無言のままそれを引っ張られてしまう。それに驚いて声を上げそうになるが、そんな隙もないほど足早に藤堂は出入り口を抜けて建物の廊下へと進んでいく。
「藤堂?」
どんどんと進んでいく背中に戸惑いを覚えて、少しばかり上擦った情けない声で呼びかけてしまった。けれど強く握られた手は離れることもなく、藤堂の歩みも止まることはない。しばらく廊下を歩いた藤堂は、どこかの扉を開いたかと思えば、そこに身体を滑り込ませ僕の手を強く引いた。そして薄暗いそこで、引かれた勢いのまま僕は藤堂の胸に収まってしまう。
耳元にいつもより少し速い藤堂の心音が聞こえる。
「ここ、勝手に入って平気か?」
微かな照明が灯るそこは倉庫になっているのか、雑多にものがたくさん置いてあった。しばらく薄暗い中で視線を巡らしていると、意識がそれているのを咎めるかのように藤堂は抱きしめる腕の力を強くする。
「佐樹さん」
優しく甘えるように名前を呼ばれては、僕もその声の先を見上げずにはいられない。腕を伸ばして藤堂の背中を抱くと、嬉しそうに頬に顔を寄せてくる。そんな藤堂が可愛くて、でもなんだかくすぐったくて小さく笑ってしまった。
「ああ、やっと触れた」
「疲れたか?」
「疲れました」
長い息を吐く藤堂の髪をなだめるように優しく撫でると、まるでその手をねだるみたいに藤堂は頭や頬をすり寄せてくる。けれどあまり触り過ぎるとせっかくセットされた髪が乱れてしまう。それに気をつけながら再び髪を撫でれば、その手にやんわりと口づけられた。
「まだもうしばらく続きそうなので、充電させてください」
「なんだか悪かったな。こんなに大がかりだとは思ってなかったから、僕も驚いてる」
「まあ、一日の辛抱なので」
ため息交じりの声が耳元から聞こえてきて、僕はあやすみたいに藤堂の広い背中を軽く叩いた。するとふいに身を屈めた藤堂が僕の首筋に口づける。その突然の感触に肩を跳ね上げたら、その肩を逃すまいと掴まれてしまった。
「もっと触らせて」
「え! ちょっと、待った、藤堂?」
「佐樹さんが足りない」
唇で首筋をなぞり、手のひらは背中や肩を撫でる。その触れる感触に鼓動は急激に早まり、頬は自分でもわかるほどに熱くなった。慌てて身をよじるけれど藤堂の腕はそれを許してくれない。耳たぶを食み、着ているカットソーの上から身体のラインを辿るように手を滑らされれば、意識しなくとも身体がじんと痺れるような感覚に陥る。そしてそんな自分の反応に、顔の熱が全身に広まるような気がした。
「駄目、だ。ほんとに、……っ、変な気分になる」
自分で言っていて恥ずかしいことこの上ないが、身体は正直だ。一度教え込まれた感触は忘れようがなくて、触れる唇が、そして手がじわりと奥底の熱を引き上げる。
「佐樹さん、いやらしくなったね」
「は? 馬鹿! 誰がそうし」
「俺ですね」
耳元で小さく笑われ囁かれた言葉に心臓が跳ね上がった。楽しげな雰囲気をまとう藤堂を睨んでやろうと思ったが、耳たぶを食んでいた藤堂の唇はそこを離れ、文句を紡ごうとした僕の唇に触れる。そして唇と舌先で僕の唇をたっぷり味わった藤堂は、ほんの少しの口づけだけで息を上げている僕に目を細めてさらに奥へと入り込んできた。
舌先が擦れ合い絡め取られれば、次第に僕は抱きつくというよりもしがみつくが正しい状態になってくる。涙でぼやけた視界で藤堂を見つめると、ますます口内を優しく舌先で撫でられた。身体を撫でる手と口内を撫でる舌先に頭が沸騰しそうになってくる。
「と、藤堂。ほんとに駄目、だ」
切れ切れの息でなんとかそう紡ぐと、唇がやっと離れてしっとりと濡れた僕の唇を藤堂の舌が辿るように撫でる。その感触に肩が震えて、熱くなる頬を誤魔化すように俯いた。そしてまっすぐ立っていられなくなった僕は背に回していた手を解くと、胸もとにしがみついて藤堂にもたれかかるように肩口に頬を寄せる。
「前より敏感になってきた?」
「そういうこと言うな」
「すみません、ちょっと可愛くて」
楽しそうに笑う藤堂の表情にむっと口を尖らせたら、指先で首筋から顎にかけてなぞられる。まだ肌が火照るいまはそれだけでも大きな刺激になってしまい、肩が無意識に跳ね上がってしまった。すると指先は頬を滑り、最後に僕が一番弱い耳の輪郭をなぞる。少し強めに縁を撫でる指先の感触に肌がざわめく。
「……んっ」
小さく声を漏らした僕に藤堂は小さく笑って、目を伏せた僕のまぶたに口づけを落とす。優しい口づけだけれど、いまその感触は心臓を締めつけるほど苦しいものなる。けれどそれは背徳感などではない。心に広がり侵食してしまうほどのもどかしさが胸を締めつけるのだ。
もっと触れたい、触れられたい、けれどそれがいまは叶わない。そんな想いがあるから胸が締めつけられる。
「来週も会えるか」
「泊まれるかはわからないですけど、日曜日は必ず佐樹さんの家に行きますよ」
「うん、少しでも一緒にいられるならいい」
そっと持ち上げられた指先に口づけられ約束をもらうと、胸を締めつけていた重くもやもやとしていた気持ちが少しだけ晴れた気がする。単純なやつだと自分でも呆れるけれど、こればかりはどうしようもないんだ仕方がない。
本当に好きとか愛してるっていうのは優しいばかりじゃない。貪欲で相手の心が欲しくてたまらなくて、愛おしさが溢れて仕方がない。
藤堂に出会って甘くて優しい恋も、ほろ苦くて切ない恋も知った。藤堂といると色んな世界が見えてくる。僕の中でなによりも色づいたこの想いは、これから先もきっとたくさんのことを覚えていく。そしてそのたびに何度も愛おしいと胸を募らせるだろう。
楽しいことばかりではないけれど、それでも藤堂といると心が安らぐ。早く二人だけでいられるようになればいい。そんなことを思いながら、僕は腕を伸ばして藤堂を強く抱きしめた。
0
お気に入りに追加
174
あなたにおすすめの小説
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
【R18】溺愛される公爵令嬢は鈍すぎて王子の腹黒に気づかない
かぐや
恋愛
公爵令嬢シャルロットは、まだデビューしていないにも関わらず社交界で噂になる程美しいと評判の娘であった。それは子供の頃からで、本人にはその自覚は全く無いうえ、純真過ぎて幾度も簡単に拐われかけていた。幼少期からの婚約者である幼なじみのマリウス王子を始め、周りの者が
シャルロットを護る為いろいろと奮闘する。そんなお話になる予定です。溺愛系えろラブコメです。
女性が少なく子を増やす為、性に寛容で一妻多夫など婚姻の形は多様。女性大事の世界で、体も中身もかなり早熟の為13歳でも16.7歳くらいの感じで、主人公以外の女子がイケイケです。全くもってえっちでけしからん世界です。
設定ゆるいです。
出来るだけ深く考えず気軽〜に読んで頂けたら助かります。コメディなんです。
ちょいR18には※を付けます。
本番R18には☆つけます。
※直接的な表現や、ちょこっとお下品な時もあります。あとガッツリ近親相姦や、複数プレイがあります。この世界では家族でも親以外は結婚も何でもありなのです。ツッコミ禁止でお願いします。
苦手な方はお戻りください。
基本、溺愛えろコメディなので主人公が辛い事はしません。
もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ
中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。
※ 作品
「男装バレてイケメンに~」
「灼熱の砂丘」
「イケメンはずんどうぽっちゃり…」
こちらの作品を先にお読みください。
各、作品のファン様へ。
こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。
故に、本作品のイメージが崩れた!とか。
あのキャラにこんなことさせないで!とか。
その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)
前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています
矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜
――『偽聖女を処刑しろっ!』
民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。
何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。
人々の歓声に包まれながら私は処刑された。
そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。
――持たなければ、失うこともない。
だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。
『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』
基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。
※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)
まるで生まれる前から決まっていたかのように【本編完結・番外連載開始】
有泉
BL
【特殊能力・変身・人外・忠犬的苦労性攻 × 振り回し系我儘王子受】【溺愛・無自覚一目惚れ】
架空のファンタジー世界を舞台にした、わりとゆっくり関係が深まっていくタイプのラブストーリーです。そういうのがお好きな方に。ハッピーエンド&ラブH確約。
「きみよ奇跡の意味を知れ」(本編完結)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/887890860/321426272
と同世界観ですが、これ単体でも読めます。
☆ ☆ ☆
成望国が有する異形「騏驥」は、人であり馬でありそして兵器である。
そんな騏驥に乗ることを許されているのは、素質を持った選ばれし騎士だけだ。
ある日、護衛をまいて街歩きを楽しんでいた王子・シィンは、一人の騏驥と出会う。
彼の名はダンジァ。
身分を隠して彼に話しかけたシィンだったが、ダンジァの聡明さに興味を持つ。
親しくなる二人。
何事にも「一番」にこだわり、それゆえ「一番の騏驥」に乗りたいと望むシィンは、ダンジァに問う。
「お前たち騏驥の間で『一番』は誰だ?」
しかしその問いにダンジァは言葉を濁す。
それまでとは違う様子に、シィンはますます彼が気になり……。
☆直接的な行為及びそれなりの意図を持った性的シーンについては、タイトル横に*印がついています☆
【「ムーンライトノベルズ」にも同作を投稿しています】
Evergreen
和栗
BL
Black and Whiteに出てくる「春日部 涼(かすかべ りょう)」と「藤堂 和多流(とうどう わたる)」の話です。
エロは結構激しめです。
主観です。
Black and Whiteを読んでからの方が話が通じるかな、と思います。
単品でももちろん読めます。
よろしくお願いします。
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる