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第4話
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騎士団の人間に告白されたことなんて、何もなかったかのように日々は過ぎていった。少し上の人たちが慌ただそうにしているせいで、俺にストレスをぶちまけてくる奴もいるが。そんなあるとき、突然金髪の目つきの感じの悪い男が訪ねてきた。
コンコンコン、と寮のドアを鋭く音を鳴らす音が聞こえる。
俺は急いでドアノブを引く。
「はい、お待たせいたしました」
「遅いぞ、いつまで待たせる気だ」
「も、申し訳ありません」
15秒もかかっていないがと心の中で突っ込むが、もちろん顔には出さない。
その金髪男は中に導かれてもいないが、ずかずかと入ってくる。
「お前、騎士団長と密会しているな」
俺は突然のこと過ぎて体をこわばらせた。
「事実無根でございます」
「ウラは取れている俺の部下が、お前と一緒に裏庭で密会しているところを目撃している」
俺は目の前が暗くなっていくのを感じた。
男は気にせずに話を続ける。
「真実はこの際どうでもいい」
俺は顔を上げてどういうことかとまじまじと見つめる。
「事故のことも承知だよな」
俺は首をかしげるしかない
「そうか、知らなかったか。お前は奴隷だもんな」
男は顔を引き締めながら答えた。
「事故で記憶をなくしてしまった。記憶を取り戻すのには恋が良いそうだ」
俺はなにか嫌なフラグが立ったような気がした。
「俺はお前に恋人を演じてほしいと思っている。もし協力しないのであれば、密会の件を上に報告して島送りにしても良いが?」
俺はとぼとぼ歩いていた。
あの状況では、「はい」としかいようがない。もし、嫌だと言って告げ口されたら個室付きの奴隷身分をはく奪されて、20時間労働するような環境で、まともにごはんも食べられず、虱で痒い頭を抱えることになるだろう。嫌だ。絶対嫌だ。死ぬ気で頑張って個室付きの奴隷まで昇格したのに。この環境を手放して堪るか。
作戦を立てよう。仮に記憶が戻ったとしても俺の立場は危ういだけだ。あいつがゆするネタを持っている限り。それを逆手にして、彼の恋人を演じて記憶が戻ったとしても恋愛を続ける気はさらさらない。八方ふさがりだ。
俺は歩みを止める。すると蟻が視界に見えた。女王蟻に仕えて必死に働くありは、働く意義も何も考えていないだろう。何も考えていない。そうだ。洗脳しよう。俺のために何でもするような人間を作ろう。でも、どうやって。俺は学生時代に学んだことを必死に思い出そうと眉間をぐりぐり揉む。洗脳ってどうやるんだ…
とりあえず本でも読んで探してみるか。何としてもここを追放されるフラグはへし折らねばならない。
重い足取りで職場へと戻るのであった。
コンコンコン、と寮のドアを鋭く音を鳴らす音が聞こえる。
俺は急いでドアノブを引く。
「はい、お待たせいたしました」
「遅いぞ、いつまで待たせる気だ」
「も、申し訳ありません」
15秒もかかっていないがと心の中で突っ込むが、もちろん顔には出さない。
その金髪男は中に導かれてもいないが、ずかずかと入ってくる。
「お前、騎士団長と密会しているな」
俺は突然のこと過ぎて体をこわばらせた。
「事実無根でございます」
「ウラは取れている俺の部下が、お前と一緒に裏庭で密会しているところを目撃している」
俺は目の前が暗くなっていくのを感じた。
男は気にせずに話を続ける。
「真実はこの際どうでもいい」
俺は顔を上げてどういうことかとまじまじと見つめる。
「事故のことも承知だよな」
俺は首をかしげるしかない
「そうか、知らなかったか。お前は奴隷だもんな」
男は顔を引き締めながら答えた。
「事故で記憶をなくしてしまった。記憶を取り戻すのには恋が良いそうだ」
俺はなにか嫌なフラグが立ったような気がした。
「俺はお前に恋人を演じてほしいと思っている。もし協力しないのであれば、密会の件を上に報告して島送りにしても良いが?」
俺はとぼとぼ歩いていた。
あの状況では、「はい」としかいようがない。もし、嫌だと言って告げ口されたら個室付きの奴隷身分をはく奪されて、20時間労働するような環境で、まともにごはんも食べられず、虱で痒い頭を抱えることになるだろう。嫌だ。絶対嫌だ。死ぬ気で頑張って個室付きの奴隷まで昇格したのに。この環境を手放して堪るか。
作戦を立てよう。仮に記憶が戻ったとしても俺の立場は危ういだけだ。あいつがゆするネタを持っている限り。それを逆手にして、彼の恋人を演じて記憶が戻ったとしても恋愛を続ける気はさらさらない。八方ふさがりだ。
俺は歩みを止める。すると蟻が視界に見えた。女王蟻に仕えて必死に働くありは、働く意義も何も考えていないだろう。何も考えていない。そうだ。洗脳しよう。俺のために何でもするような人間を作ろう。でも、どうやって。俺は学生時代に学んだことを必死に思い出そうと眉間をぐりぐり揉む。洗脳ってどうやるんだ…
とりあえず本でも読んで探してみるか。何としてもここを追放されるフラグはへし折らねばならない。
重い足取りで職場へと戻るのであった。
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