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8 お散歩…いやお散飛?
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(アルベルティーヌside)
クロを拾ってから、早くも二週間。
クロを眺めていると、ふと思うことがある。
──クロ様は、本当に人間らしい仕草を見せるのよね……
他の鳥たちもたまに言葉が分かっているのではないかと思う瞬間があるけれど……
クロ様の仕草や相槌は別格だわ……!
今日も黙々と好物の兎肉を突っつくクロは愛おしい。
きゃーーーーーーー!
今日もクロ様は凛々しくて素敵ね!肉を食べるクロ様もワイルドで野性味溢れていて素敵……!
もしもクロ様が人間なら……艶やかな黒髪に金色の瞳のイケメンなのでしょうね!そうね、まるで国王陛下みたいだわ!
「さて、クロちゃん。私の勝手な希望なのだけど……あなたはもう勝手には飛んでいかないような気がするのよ」
『ピィィィィ』
「それでね、今日はちょっとお外にお散歩……いやお散飛……なのかしら?してみない?そろそろリハビリしないといけないわよね?」
『ピィィィ!!!!』
──ふふっ、なんだかクロ様、喜んでくれているみたいでよかった!
最近懐いてくれたことが嬉しくて、怪我も心配だし、ついつい過保護になってしまっていたわ!
鷹ですもの。やっぱり、たまにはお外にも出たいわよね?飛ぶ練習もさせなくてはね!
────
(クロヴィスside)
「ピィィィ!!」
「クロちゃん、疲れたら遠慮せずに肩に止まるのよ?」
俺は二週間ぶりの空とこの開放感に酔いしれていた。
まだ長く飛ぶには不安が残る。あと一、二週間もしたらここを出るつもりなので、コンディションを整えたい。
アルベルティーヌの歩くスピードに合わせ、頭上を低めにゆっくりと飛ぶ。
「クロちゃん、もし飛べるのならもっと高く飛んでもいいのよ?あと少しで薬草畑なの!初夏のこの季節はとっても緑が綺麗なのよ?ぜひ高いとこから見てほしいわ!……でも無理はしないでね?」
アルベルティーヌの言葉に甘えて、高く飛び上がり周囲を旋回した。
薬草の一大産地とあって、至る所に薬草畑と薬草を干すための小屋、農機具小屋などが眼前に広がっていた。
『綺麗だな……』
その時、景色の中にふと違和感を感じた。
『あれは……?』
おそらく地上からだと分からないであろう、森の中にぽっかりと開けた空間。
そこに点在する大きめの小屋。小屋には隠蔽の魔法が二重に掛けられていた。
場所はちょうど別邸の敷地の近くの森だった。
『これは王族か上位貴族並に魔力が強くないと見破れないレベルの隠蔽魔法だな。地上特化だから空からはまぁ見えるが……何故こんな辺鄙な場所に高度な魔法が……?きな臭いな……』
一回下に降り、アルベルティーヌの肩に乗ると、目線で森の方角を必死に伝える。
「なぁに?クロちゃんあの森が気になるの?あの森はね、モニエ家の敷地なのだけど今はデボラ様の命令で誰も入れないようになっているのよ。なんでも魔物が出るだとか、薬草狙いの盗賊が根城にしてるだとか?だからね、クロちゃん?危ないから近づいてはダメよ」
『ピィィィ。ピィィィ』
その後はアルベルティーヌを心配させないよう、何事も無かったかのように振る舞った。
アルベルティーヌのペースに合わせてお散飛を楽しみ、久しぶりにいい運動になった。
──この二週間で、少し体が重くなった気がする。
嬉しそうにおやつをくれるアルベルティーヌには申し訳ないが、食べ過ぎには気をつけようとそっと俺は決意した。
クロを拾ってから、早くも二週間。
クロを眺めていると、ふと思うことがある。
──クロ様は、本当に人間らしい仕草を見せるのよね……
他の鳥たちもたまに言葉が分かっているのではないかと思う瞬間があるけれど……
クロ様の仕草や相槌は別格だわ……!
今日も黙々と好物の兎肉を突っつくクロは愛おしい。
きゃーーーーーーー!
今日もクロ様は凛々しくて素敵ね!肉を食べるクロ様もワイルドで野性味溢れていて素敵……!
もしもクロ様が人間なら……艶やかな黒髪に金色の瞳のイケメンなのでしょうね!そうね、まるで国王陛下みたいだわ!
「さて、クロちゃん。私の勝手な希望なのだけど……あなたはもう勝手には飛んでいかないような気がするのよ」
『ピィィィィ』
「それでね、今日はちょっとお外にお散歩……いやお散飛……なのかしら?してみない?そろそろリハビリしないといけないわよね?」
『ピィィィ!!!!』
──ふふっ、なんだかクロ様、喜んでくれているみたいでよかった!
最近懐いてくれたことが嬉しくて、怪我も心配だし、ついつい過保護になってしまっていたわ!
鷹ですもの。やっぱり、たまにはお外にも出たいわよね?飛ぶ練習もさせなくてはね!
────
(クロヴィスside)
「ピィィィ!!」
「クロちゃん、疲れたら遠慮せずに肩に止まるのよ?」
俺は二週間ぶりの空とこの開放感に酔いしれていた。
まだ長く飛ぶには不安が残る。あと一、二週間もしたらここを出るつもりなので、コンディションを整えたい。
アルベルティーヌの歩くスピードに合わせ、頭上を低めにゆっくりと飛ぶ。
「クロちゃん、もし飛べるのならもっと高く飛んでもいいのよ?あと少しで薬草畑なの!初夏のこの季節はとっても緑が綺麗なのよ?ぜひ高いとこから見てほしいわ!……でも無理はしないでね?」
アルベルティーヌの言葉に甘えて、高く飛び上がり周囲を旋回した。
薬草の一大産地とあって、至る所に薬草畑と薬草を干すための小屋、農機具小屋などが眼前に広がっていた。
『綺麗だな……』
その時、景色の中にふと違和感を感じた。
『あれは……?』
おそらく地上からだと分からないであろう、森の中にぽっかりと開けた空間。
そこに点在する大きめの小屋。小屋には隠蔽の魔法が二重に掛けられていた。
場所はちょうど別邸の敷地の近くの森だった。
『これは王族か上位貴族並に魔力が強くないと見破れないレベルの隠蔽魔法だな。地上特化だから空からはまぁ見えるが……何故こんな辺鄙な場所に高度な魔法が……?きな臭いな……』
一回下に降り、アルベルティーヌの肩に乗ると、目線で森の方角を必死に伝える。
「なぁに?クロちゃんあの森が気になるの?あの森はね、モニエ家の敷地なのだけど今はデボラ様の命令で誰も入れないようになっているのよ。なんでも魔物が出るだとか、薬草狙いの盗賊が根城にしてるだとか?だからね、クロちゃん?危ないから近づいてはダメよ」
『ピィィィ。ピィィィ』
その後はアルベルティーヌを心配させないよう、何事も無かったかのように振る舞った。
アルベルティーヌのペースに合わせてお散飛を楽しみ、久しぶりにいい運動になった。
──この二週間で、少し体が重くなった気がする。
嬉しそうにおやつをくれるアルベルティーヌには申し訳ないが、食べ過ぎには気をつけようとそっと俺は決意した。
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