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第二章 エルフ王国《スーランド》

第十九話 いざ王国へ

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俺ルイス・ヴィルヴィスタンは旅に出た。統一歴646年。ヴィットスタン帝国陸軍中佐の俺は、元帥令でスーランド王国に出向くことになった。

「はぁ…疲れたよー」

「まだ全然つかないぞ。まだカルベージ王国だからなアリア

ルイスとアリアは現在、カルベージ王国の首都パリストから約400km離れた、リンヨに居た。

そしてちなみに、アリアは中尉に昇進した。

「はぁ…わかったよ。でも今日はここで一泊ね」

「わーったよ!そのかわり明日から頑張れよ」

「はぁい…」

チェックインし、ルイスとアリアは宿へ入る。



「世界に散らばる100以上の物を集めるのはいささかめんどくさいとしか言えませんな…」

黒いスーツを着たものが言う。

「我ら人類の存在を神に近ずけるべき、終末の楽園へと誘わなければならない。そのために行うものに対し、そう考えるなら怠惰と言わざるおえんぞ」

黒い服に飾緒を付けた老人が言う。

世界のどこか、それしか分からない場所で3人の軍人と思われる人がいた。

「相変わらず、計画に対し忠実でありますね」

「第8委員会が我々にこの計画を遂行するように名を出したのは我々が優秀であり、いい駒だからだろう。見かけは忠実な所をみせ隙をつき崩す」

「やはり性格と行動は似るもんですね。ではこれで私は失礼致しますね」

黒いスーツの者はどこかに消えてしまった。

「ジェウス。お前はどこまで彼を利用する気だ」

茶色の軍服を着た老人ものが言う。

「神帝法典どおり進める。委員会が望むのはそれだ。今はそれでいい」

「…昔からお前は変わらないな」



にしても、エルフの国。スーランド王国。どんな感じなんだろうなー。異種族国家に行くのは初めてだし楽しみ。

「ねぇルイス。エルフと人間ってそんなに仲良くないんでしょ?なのに行って平気かな」

「元帥閣下が何を考えているかは正直分からない。けど命令だから行くしかないさ」

「ルイスも中佐っていう高級幹部なのに、元帥閣下の駒だもんね」

皮肉混じりに言うアリア。

「おちょくってんのか、」

「んなわけー中佐殿」

よく分からない会話をしながら、時間を潰す2人。



同日夜。

「はぁ…作戦報告書書くのめんどっ、。その分手当貰えるからええけど、」

時計を見ると22時を回っていた。そんな時。ノックがする。

「ん?アリアか…?入れ」

「失礼します」

アリアだと思っていたがそれは違った。

見知らぬ声に振り向くルイス。

「帝国陸軍省のスン・ブラージェルです。大臣がこれを、」

一通の手紙と紙をルイスに差し出す。

アストラブ閣下が?俺に?

その手紙にはこう書かれていた。

久しいな。ルイス。単刀直入に言うが、貴官が本作戦に失敗した場合、我々は王国に武力行使する羽目になる。くれぐれもミスを犯さずように。それとスーランド王国周辺にテロ組織がいるらしい、気をつけてくれ。

はっ、押しつけかよ

「ありがとう。この手紙は処分しといてくれ」

「はい。失礼しました」

…。陸軍省はこの作戦に命をかけてるな。そろそろグラウが、あの計画を始動し始めている頃合いだろうな。波乱の時代の幕開けだ…。



同時刻。ヴィットスタン帝国帝都。中央省庁街、帝国軍遠征軍司令部。

「そうか。彼奴は今リンヨか。順調なんだろうな」

遠征軍。遠征大参謀室。そこには1人の上級大将と1人の少佐がいた。そして、上級大将セルゲッターは副官、ラウ少佐に尋ねる。

「はい。現在遠征特殊群第五部隊が、追跡中です」

「スーランド王国。人が入ると人ならざるものにそれ帰ってき、スーランド王国の兵隊になってしまう。通称エルフの囁き。彼奴が交渉する時、魔力探知機などを使い、必ず発見しろ。エルフの囁きは国際問題になっている」

「セルゲッター閣下がそこまで危惧されるのですね」

「本件は元帥命令とされているが、本当は勅令なのだ。陛下も危険視されている」

「なるほど…、」
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