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世界冒険編/第一章

第二話 冒険者ルル

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「話聞いてる?」

「ん?あぁなんも。てか誰なん?」

「さっきも言ったでしょ!私はA級冒険者のルルよ」

どうやら知らないでは無く聞いてなかったようだ。

「だとしてもなんでついてんくんだよ」

「えーと、それは…私を訓練して欲しいの!もちろんお金は出すわ!」

「…はぁ…。金はいらない。訓練するからにはちゃんとついてこいよ」

と言い、ディルは洞窟を出る。



「きゃぁぁ!!!!」

ルルが山にぶつかり木々や岩が落ちる。

「おいおい。もっと強くなってS級に成り上がってくれよ」

「強すぎ…」

「俺は努力と行動しか信じない。口からでまかせはいくらでも吐けるからな」

「もう1回。お願い…」

と言いルルは足を引きづり気味に歩いてくる。

「そういう努力しようとする人。俺は好きだぞ」



その後、1ヶ月程鍛錬を積んだがルルはA級21位から20位までしか昇進しなかった。

「私って才能ないのかな」

「まずまず才能ないやつはB~E級約3100人の上位34人G級、S級、A級に入れないぞ」

普通、1ヶ月鍛錬を積み順位が1位上がるのはすごいと言える。しかしルルは最強と呼ばれるG級がコーチとして鍛錬を積んでいるのに1ヶ月でそれほどしか上がらないということに失望しているのである。

「そう言ってくれてありがと…」

拳を握り立ち上がるルル。

「でも私が目指すのはS級1位。今はA級20位だけど私は絶対目指す!」

ルルは空に手を伸ばしながら言う。その夢は叶うのか心配しながら…ディルは赤い目でルルを見る。

「頑張れよ─」

大きな音と共に煙が漂う。何かが落下あるいは何かが爆発した。その答えは─

「この覇気と容姿…恐らくMマグリティード6.8くらいか?つまりA級魔獣。ルル。やってやれー」

「ひとつ言うけど1ヶ月前まではA級21位よ!?24位中のね…勝てるかどうか」

「勝てるかどうかじゃなく勝つんだよ。S級になるんだろ?」

ルルは腰にある剣を抜き魔獣に向ける。

「わかった…私やるよ!」

「応。頑張れよ」

「ヘイドシッタ流…参式!湾曲皇線ウェリラ!」

曲線を描きながら魔獣に迫る。その速度は300km/sを超えただろう。そしてルルの剣先は魔獣の首元に迫る。瞬きをする時間よりも早く魔獣の首がカッ切れた。

「おみごと…」

思わずディルも声を漏らす。

ディルの目の前で巨大な爆発が起き爆風が視界を覆う。

「この力ではS級もそう遠くないかもな…」



『エネルギー流入率86.3%』

暗い部屋で何かをするもの達がいた。

「あと1年はかかるか…」

「???様こんなことしたら魔王ディスタ様との関係が悪化しますよ」

「ディスタもディスタで何かを企んどるんやろ?僕含めた世界の頂点に君臨する八神王は世界を操作する最高神イサルラを堕とすための存在でもある。けど第三神位の旧炎神帝ディスタはどうかな。同じ血の入ったもの。元は神という存在。僕はまだあの子を信用してないよ」



世界の果てにある場所、境界の森。その空にある城塞神殿《ディーヴァ・レスト》

「えー?この私の愛しのダーリンに攻撃しようとする者がいるの?で…その哀れな攻撃者は誰?」

可愛い女子かと思わせたら、一変し冷酷な王となる。

「レナ様。闇王セヴェ様の仕業と思われます」

「ちっ…またあのクズ野郎か…そろそろ殺し時か?」

「レナ様。綺麗なお顔が台無しです─」

レナの家来は一瞬で顔が吹き飛ばされ倒れ込んだ。

セティア家来を呼べ。この間の家来にさせる」

「はぁ…レナ様。家来を殺すのはやめてください。これでは何万人目ですか?」

「偽王軍元帥としての職を得たから大口を叩くようになったなディラヴ。貴様も殺されたいか?」

「いやぁ~やっぱ恐ろしいですね。秩序を乱し、行われた行為を否定する王『偽王』という人は…」



ルルが初めてA級魔獣をたおしてから約3ヶ月。

「A級17位に昇格させる!」

ルルはA級魔獣を3体倒し、A級17位まで昇格していた。

ルルもA級17位となった事だし、ベータンスレイ王国の王都にでも行ってみるか?ルルの好きなメープルシロップが付いてるパンもあるらしいからな。

「なぁルル。1回王都にでも行ってみないか?」

「ん?王都ぉぉぉぉぉおおおお!!!???」

え?王都に行くことってそんなに驚くことなのか?ここからだとただの隣町とも言えるじゃないか。

「ほほほ、本当に王都に行くつもりなの?」

「え?なんかそんなダメなことでも?」

「だってぇ~!王都はSランク都市!国の中でも随一厳しい都市だよ!?私小さい頃からヘマするから本当に怖いんだって!」

ほほぉ~、だからか。

「まぁ大丈夫なんとかなる!」

「それ本当に信じていいの…?」


色々あって3日後王都に到着した、ディルとルルは早速呼び止められていた。

「おいてめぇら!許可証は持ってるんかぁ!」

「え、え!?きょ、許可証!」

「Aランク以上の都市は許可証がないと入れないんだよ!」

「あのー。ちなみに俺G級冒険者なので…許可証無しでも入れますよね…?」

G級冒険者は、都市法で許可証なしでの入都を認められている。

「G、G級!?そんなでたらめ…あ、あるわけ…!」

ディルは冒険者身分証を見せた。

「G…級…ど、どうぞ…」

「行こう、ルル」

「それじゃ…し、失礼しま~す…」



ベータンスレイ王国王都。

「さすが王都。やっぱ建物がいちいち綺麗で豪華だ」

「だってSランク都市だよ?」

「まぁたしかにそうだな。けど…」

なぜ…なぜセヴェ八神王の闇王の魔力の残影がある。嫌な予感がする…
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