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※44.初めての夜②

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 なんだこれなんだこれなんだこれ! 知らない! こんな快感知らない! 強すぎて目が回りそう!
 流星とは何度も体を重ねてきた。だから体に伝わる快感がどんなものかを知っている。だけどユリウスから与えられるものは今までとは全く違い、目の前にちかちかと星が散る。閉じることのできない口からは悲鳴にも似た声が出た。
 その強すぎる刺激から逃れようと、手は自然とシーツを強く握りしめていた。そのまま上へと少し体をずらすものの「逃がすか」とユリウスの捕食者たる鋭い声が耳に届く。

「んうっ……んんっ!」
 
 ユリウスは上体を倒すと俺を羽交い絞めにするかのように強く抱きしめた。そのまま噛みつかれるような激しいキスをお見舞いされるも腰の動きは止まらない。与えられる快感はずっと強いままだ。それと同時に激しいキスによって呼吸もままならない。俺は初めて腹上死する可能性を感じてしまった。

「ぐっ……俺もイクッ……!」

 ユリウスはキスを止めると同時に体を起こした。俺の腰を掴むと更に抽挿が激しくなる。もう何がなんだかわからない。過ぎた快感はただ苦しいのだと初めて知った。
 なのにここまで興奮してくれていることに喜びを感じている俺は馬鹿なのだろう。ユリウスは今まで誰とも付き合ったことも誰かを抱いたこともない。初めての相手が俺で、俺にここまでガツガツと欲望をぶつけてくれて嬉しくないわけがない。
 ユリウスの額からは汗が零れ落ち、艶めかしい表情で熱い吐息を吐いている。カッコ良すぎて辛い。この人が俺の彼氏だなんて最高かよ。

「イってッ……中に、出してっ……!」

 流星とヤッてた時は中に出されるのが嫌だった。その後の処理はいつも自分でやらなきゃいけなかったし、それでお腹を壊したこともある。
 でもユリウスだったら嫌だとは思えない。むしろ中に出して欲しくてたまらなかった。相手が違うだけで、愛しいと思えるなんて驚きだ。
 攻め立てられる激しい抽挿が続き、さっき出したばかりだというのに俺もまたイキそうになる。

「出すぞっ……ぐっ……!」
「うあっ! アッ……んあああっ!」

 ユリウスの腰が一際強くグン! と奥へ打ち付けられると同時に、俺も絶頂し体が激しく痙攣をおこす。口をパクパクとさせてとにかく酸素を吸い込むのが精いっぱいだ。ユリウスもはぁはぁと荒く息を吐いている。

「ハルト、大丈夫か?」

 ユリウスに顔を覗き込まれ、頬をそっと撫でられた。涙でぼやけているが、ユリウスが優しい表情を浮かべているのはわかる。ああ、愛されているなぁと疑いもなく素直に思えた。まだ息が整わず話せないので、返事の代わりに頬に当てられた手にすり寄った。
 両腕を伸ばしユリウスをぎゅっと抱きしめる。ユリウスも俺を抱き込み、首筋に顔を埋めた。
 やっとユリウスと出来た。嬉しいのと同時に、ユリウスへの気持ちが更に膨れ上がる。誰かをこんなにも好きになったのは生まれて初めてだ。今までの恋は一体何だったのかという程、気持ちの大きさが全然違う。
 人生は何が起こるかわからないけど、ユリウス以上の気持ちを他の誰かに抱くことはない。そんな風にふと思った。

「好き。好きだよユリウス。今までの誰よりも好き」
「俺もだ、ハルト。俺は初めて人を好きだと思えた。それがハルトでよかった」

 ユリウスがちゅっと軽いキスをしてくれた。触れるだけのキスでも心がこんなにも満たされる。幸せとはこういうことなんだと思える。この世界に来て、ユリウスに出会えてよかった。

「こんなことならもっと早くハルトを抱くんだった」
「ふふ。俺ももっと早く言えばよかった」
「だが今度から自分で準備するのはナシだぞ。俺の楽しみを奪わないでくれ」
「わかった。そうするよ」

 自分で解したのはユリウスを夜這いするためだったし、ユリウスがしたいのなら別にそれで構わない。それにそれを『俺の楽しみ』と言ってくれるのは単純に嬉しい。自分一人が気持ちよくなるためとか、性欲処理したいからじゃないと思えるから。
 ユリウスは本当に俺が好きなんだ。でもここで安心せず、ユリウスにずっと好きだと言って貰えるような人でいよう。ユリウスが俺を好きになったことを後悔しないためにも。

「ハルト、明日の出かける予定はナシでもいいか?」
「え? どういう、こと?」
「今日はどうやら止まれないみたいだ。それにハルトの体液のお陰で俺はまだまだやれるぞ」
「……あー!」

 そうか! キス! キスで俺の唾液を摂取したからユリウスは元気になっちゃったってそういうこと!? え、ということは。俺とキスし続ければユリウスは半永久的に動けるってこと!? 空腹や眠気は流石にどうにもできないから、それらの限界がくるまでユリウスはずっとヤれちゃうってこと!?

「それににも回復薬が落ちているな」
 
 ユリウスはそう言って俺のお腹に散らばった白濁を指で掬うとぺろりと舐めた。それを見た俺はサァ……と青褪めるのを自分で感じる。

「ベッドを見てみろ。ハルトの汗で浄化されて綺麗なままだ」

 その言葉に合わせてそろりと視線を動かし、シーツをさっと撫でてみる。うん。まるで洗い立てのような手触りだわね。
 ということは、お互い体が汚れることもなく、ベッドも綺麗なままで、ユリウスの体力精力はほぼ無限。

「実はハルトが部屋に来る前に一度自分で抜いていたんだ。だけどさっき放った分も含めて全回復だ」

 ユリウスは俺と恋人関係になってからずっと我慢をしていた。でも抱きたいという欲求を止められず、ずっと毎晩寝る前に自分で抜いて処理していたんだそうだ。
 そして今日ももちろんそうしたわけだから、もう既に二回放っていることになる。でもそれが全てチャラになって全回復してしまった。

「あ……」

 そういえばユリウスはまだ俺の中から抜いていない。しかも既にガチガチに大きく育っていらっしゃる。

「今日は今までの分を全部取り返そうな。折角ハルトがこうして煽ってくれたんだ。きっちりお返しさせてもらうぞ」
「え、嘘……え、俺、そんなに体力なっ――ってあっ、やぁっ……! んんっ、あっ……アッ!」

 そこから問答無用でユリウスの激しい抽挿が始まった。その後どれくらいの時間えっちをし続けていたのかなんてわからない。
 とにかくいろんな体位で突き上げまくられ、前からは白いものではなく潮を吹くようになった。しかも俺は初めて後ろだけでイクことが出来るようにもなり、それを見たユリウスは大変ご満悦だった。
 ユリウスが何回イッたかもわからない。俺は過ぎた快感で気絶していたし。でも途中意識を取り戻したことから、俺が気を失った後もユリウスはずっと腰を動かし続けていたようだ。

 キスだって何度もされるし、目から零れ落ちる涙や噴き出た汗まで舐められる。お陰でユリウスはずーっと元気だった。
 体液の持ち主である俺自身にそれは効かない。なんでだよ! おかしいだろ!

 こうして初めての夜は、ユリウスに散々貪られて過ぎていった。
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